赤木沢(リーダー養成)山行報告
NO.
日付
沢名
参加者
会員 障害者
0名
健常者
4名
1
平成19年8月17日〜19日 赤木沢(黒部川) 合計 4名 会員外
(賛助員含む)
障害者
0名
健常者
0名
  コースタイム:
8/17 折立(7:45)…1870m三角点(9:30-9:45)…太郎平小屋(12:35-12:50)…
    薬師沢小屋(15:05)
8/18 薬師沢小屋(5:55)…赤木沢出合(7:30)…ウマ沢(7:45)…
    長いトロ上の2段15m滝の上(8:15-8:30)…二俣(9:50)…中俣乗越(11:55-12:00)…
    北ノ俣岳(14:00-14:20)…太郎平小屋(15:40)
8/19 太郎平小屋(6:10)…1870m三角点(7:45-7:55)…折立(8:55)
天候:
8/17 晴れ後曇り、
8/18 曇り時々晴れ、
8/19 快晴

★8月17日
 前夜の夜行バスで富山に到着した。富山駅で赤木沢に登るみどりの風のみなさんと合流する。折立から登山を開始する。猛暑続きで参っていたが、さすがに折立は涼しい。1870mの三角点までは急登が続く。三角点に立つと、薬師岳が見えてきた。太郎平山までは緩やかだが登りが続く。イワショウブやチングルマの綿毛が楽しませてくれる。振り返ると有峰湖が横たわって見える。

 五光岩ベンチに着くと、太郎平小屋が見えてくる。緩やかに登っていき、太郎平小屋に到着。この小屋を見るのは、28年ぶりだろうか? その時は、天気が悪く何も見えなかったが、小屋前の広場からは、水晶岳、祖父岳、雲ノ平、鷲羽岳などが見える。トイレを済ませ、薬師沢小屋に向かって下る。沢に下り立った時、ヘリが上空を飛んでいた。沢に腰を下ろしている人を見ると、右足首にタオルを巻いているのが分かった。この人が救助を待っているのだなと思い、ヘリに向かって手を振った。HさんとYさんは、救助を待つ人たちのところに行って、荷物などを整理してあげていた。私も行ってみようと思ったが、ヘリが近づくと猛烈な風で、小石が飛んだり沢の水がかかったりで、目も開けていられず、とても移動できない。じっとこらえて、ヘリが作業を終えるのを待つより他になかった。

 ハプニングがあったが、沢づたいに下っていく。花の下が白いチョウジギクなどが咲くやや危険なところを通過し、カベッケヶ原を過ぎると、薬師沢の小屋に到着した。1部屋全てをもらった。黒部川の澄んだ水面を見ながら、明日のために英気を養った。

★8月18日
 今日はいよいよ沢登りだ。足が切れそうなほどつめたい黒部川にできるだけ入らないように、奥ノ廊下を遡っていく。赤木沢出合の手前にあった急流を右岸に渡って、さらに左岸に渡り返して越える。足を滑らせたら、急流に流されるため、先に渡ったHさんとYさんが、お助けひもを出してくれた。

 赤木沢出合の美しい黒部川で、記念写真を撮る。ここから、巻き道を通って、赤木沢に出る。Hさんは、巻かずに岩をつたって赤木沢に下り立った。

 赤木沢にはいると、沢床の岩が赤くなり、まさに赤き沢だ。すぐに現れた2段15mの滝を右側から登る。さらにナメ滝を登ると、ウマ沢が左から入っている。

 4段の滝は、右側の草付きから巻くが、3段目の滝は、HさんとYさんは、胸まで水に浸かって取り付き、直登してきた。3段8mを過ぎると、細長いトロと2段15m滝を登る。とにかく水が澄み、エメラルドグリーンの輝きがあって美しい。美渓だという声が聞こえ、みんな美しさに酔いしれているようだった。

 その後しばらくは平凡な河原歩きが続く。行く手には稜線も見えてきた。右手の尾根に続く斜面もみどりが美しい。そして、5mナメ滝からまた美しい滝が連続する。4段20mの滝や3段15mの滝を過ぎ、3mのナメ滝を過ぎると、クライマックスの大滝2段35mが現れる。小尾根の影にあるため、尾根を回り込んで全景を見てみる。垂直に近い1枚岩を流れ落ちている。ここは、尾根の右側のルンゼ状のところを落石に気をつけて登り、途中からトラバースして小尾根を回り込む。ここからさらに上に上がるルートもあったが、私たちは1段目の滝の上に下りて、2段目は右の岩づたいに登った。難しいところではないが、足を滑らせて落ちると大変なことになるため、慎重に通過する。

 大滝の上が二俣だが、ここは左俣を行くことにする。水流もぐっと減ったが、まだ気持ちよく流れている。次の二俣は、赤木沢に突き上げる沢と中俣乗越に突き上げる沢に分かれるため、みんなで協議したが、時間があり、左側の方が明るそうだったので、左側の中俣乗越に突き上げる方を選ぶ。先行パーティーの二人も同じ方向に向かった。

 水流がなくなる前に、少し早いが昼食とする。沢筋はお花畑になってきた。ミヤマダイモンジソウやムシトリスミレなどが咲いている。振り返ると、薬師岳東南稜や赤木平が見えている。東南稜は、昭和38年に愛知大学の大量遭難があった場所だ。若くして命を落とし、何ヶ月も発見されなかった彼らの無念を思うと心が痛む。

 チングルマやハクサンイチゲ、ミヤマリンドウなどが咲き乱れるお花畑を登ると、中山乗越に到着した。握手をして、完登を喜び合う。

 ここからは、稜線を赤木岳に向けて登る。振り返るとガスの切れ間から黒部五郎岳が、ひときわ高く望まれた。登るにつれ、赤牛岳、水晶岳がよく見えてくる。薬師岳も時折ガスから頭を出してくれた。赤木岳から今回の最高峰、北ノ俣岳を通過し、お花畑の草原を軽やかに太郎平小屋に向けて下った。三俣蓮華岳や双六岳も見えてきた。三俣蓮華岳の左には、大天井岳も見えていた。

 小屋に着き、完登を祝って部屋で乾杯をする。夕暮れの山々を見渡し、夜は満天の星を楽しんだ。

★8月19日
 太郎平小屋は、東側に高い山があるため、日の出が遅い。朝食後、薬師峠方面に槍ヶ岳を見に行った。三俣蓮華岳の左に、北鎌尾根からせり上がっている鋭く尖った槍ヶ岳が聳えていた。朝の霞に包まれた山々を楽しみ、小屋に戻る。小屋の右手には遠く加賀の白山が望まれた。

 小屋から一昨日登ってきた道を下る。朝露に濡れたチングルマの綿毛が、宝石箱のように光り輝いている。自然は最高の芸術家だなあと思わずにはいられない。写真を撮りながらゆっくりと下りていく。五光岩ベンチ付近では、剣岳も望まれた。何か得をした気分だ。快適に下り、折立に降り立つ。無事に楽しめたことを喜び合い、車で亀谷温泉に向かった。温泉に浸かって汗を流し、すっきりした気持ちで帰宅の途に着いた。さわやかな山の風が心の中を吹き抜けて行ったようだ。

記:網干

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