蝶ヶ岳山行報告
NO.
日付
山名
参加者
会員 障害者
1名
健常者
2名
1
平成20年12月27日〜29日 蝶ヶ岳 合計 3名 会員外
(賛助員含む)
障害者
0名
健常者
0名
  コースタイム:
12/27 中ノ湯(12:40)…大正池(13:30-13:50)…河童橋(14:30-14:55)…
     明神(15:45-15:50)…徳沢(16:45)
12/28 徳沢(7:20)…標高2,000m地点(9:50)…長塀山(14:35)…テント場(15:10)
12/29 テント場(7:30)…長塀山(7:45-7:55)…標高2,000地点(10:10-10:15)…
     徳沢(11:00-11:20)…河童橋(12:55-13:15)…中ノ湯(14:50)
天候:
12/27 晴れ、
12/28 雪のち晴れ、
12/29 快晴後晴れ

★12月27日
 直前に冬型が強まり、相当の積雪があるのではないかと心配だった。また、当日も南アルプス北部の山や八ヶ岳に雲がかかっていたため、北アルプス北部も天気は良くないだろうと思って松本に着いた。

 Yさんとバスから合流し、中ノ湯に向かう。バスの中から、常念岳が見えて、もしかしたらという期待が膨らむ。

 中ノ湯でバスを降り、登山計画書を提出して釜トンネルに入った。このトンネルは、長さ1,310m、傾斜11度だ。登りはなかなかきつい。

 トンネルを抜けるが、積雪はほんのわずか。同じ北アルプスでも、北部の剣立山や後立山と違って、南部の積雪は非常に少なく、乾燥しているため軽い雪だ。歩くとキュッキュッと音がする。

 大正池に着くと、テレビカメラを持った人たちがいる。動きがあわただしく、私たちを撮影するようだ。局を聞くと、信州(信越かも?)放送だった。インタビューまでされてしまった。残念ながら関東では放送されないらしい。

 大正池を過ぎ、しっかりと除雪された車道を歩き、河童橋に到着。奥穂は残念ながら雲に隠れていたが、他は全て見え、青空の下、すばらしい風景を楽しむ。

 上高地からは、除雪された道ではなく、トレースを行く。明神を過ぎ、徳沢には予定より少し早い16時45分に到着した。

 徳沢園は、今は素泊まりだけ。しかし、小屋ではお湯は自由に使わせてもらえる。ストーブもあってとても温かい。外の温度計を見るとマイナス10℃だった。

 食事の準備をしていると、他の宿泊客も食事中だった。新潟弁の方がいたので聞いてみたら、何と、私の母校の山岳部の顧問の先生だった。私が在学中は先生を知らなかったが、私の担任の先生は、よくご存じだった。中越沖地震では、学校も被害を受けたらしい。ローカルな話しに花が咲いてしまった。

★12月28日
 5時に起床し、朝食の準備をしていると、外は雪が降っているとのこと。予報が当たったのかと残念だったが、準備をして予定より少し遅れて出発する。朝の気温はマイナス7℃。昨晩より温かい。積雪は3センチ程度なので、トレースは消えていないと思った。

 私たちよりも数パーティーが先に出発した。その多くは、行けるところまで行って引き返すパーティーだった。

 アイゼンを利かせて順調に高度を稼ぐ。Mさんには、私とロープを結び合って、ダブルストックで歩いてもらう。順調に歩いているように思えたが、2,000mを過ぎたあたりからペースが落ちてきた。疲れたのかなと思ったが、どうも慣れないダブルストックでは、段差や方向に自信が持てず、一歩一歩が不安だったために、時間がかかったようだ。Yさんのザックに付けたひもを掴んで歩いたら、ぐんぐん高度を上げることができた。ダブルストックは、アイゼンを付けての安全な歩行をと私が考えたが失敗だった。

 午後からは降っていた雪は止み、時折日が差すようになってきた。しかし、時間はかなりすぎている。午後2時くらいには、行けるところまで行って引き返す人たちが全員下ってきた。先頭は、ラッセルしながら登っていたとのこと。

 時折青空が見えるようになったものの、地吹雪も襲ってくる。標高が上がり、相当風が強くなってきた。また、何度も雪に足がずっぽり埋まってしまう。一度は、Mさんが胸くらいまで潜ってしまった。木の枝の脇で、雪の下が空洞になっていたようだ。

 なかなか長塀山に着かないと思っていたら、急な下りが現れた。おかしいと思ったら、やはり山頂を通り過ぎてしまった。山頂は、雪で埋まって、標識などは全く見えなかった。

 山頂を通り過ぎると、トレースは地吹雪のために消えてしまっていた。それでも、Yさんが先頭で、ルートを見つけ、先行して登って、張られたテントを見つけた。私たちも、そのテントの近くにテントを張ることにする。この場所は、風がなく、絶好の場所だった。

 今日中にテントを張ってから山頂を往復したいと思っていたが、それは無理なので、今日はそのままテントに泊まることにする。空は満天の星空だった。ひときわ明るく輝いていたのは金星だろうか? 食事の後は、シュラフにくるまって、早々に横になった。

★12月29日
 夜はあまり寒くなかった。4時に起床し、外を見ると、まだ満天の星空だった。時間的にこれから山頂を目指すことは不可能なので、朝食後、パッキングも終わらせて、展望の良いところを探して、空身で少し登ってみることにする。樹林が少し切れたところから、大天井岳方面の見えるところがあった。少し移動すると、槍ヶ岳も見えた。これは良かったと思い、写真だけ撮ってテント場に戻る。

 テント場から下のトレースも地吹雪でほとんど消えていた。私が先頭でラッセルし、YさんにMさんをサポートしてきてもらう。長塀山の山頂に立つと、木々の間から槍ヶ岳や穂高連峰が見えた。さらに南アルプスや富士山も見えた。夏には全く展望のないピークだが、1.5mくらいの積雪があるため、なんとか展望が得られる。

 記念写真を撮影して下山する。ここからの下りでも、何度か展望の良いところがあり、乗鞍岳や御岳がよく見えるところもあった。前穂高岳や奥穂は、やはり迫力がある。Yさんから、来た甲斐があったなという言葉が漏れる。最高の天気に恵まれて、真っ白な山々を見られたことは本当にうれしい。ただ、もう一日あれば、山頂に立つことができたのに悔やまれる。いつかリベンジしたいものだ。

 順調に下ってきたが、中ノ湯15時15分のバスを逃すと帰れなくなると思い、がんがん飛ばして下る。全盲のMさんは、滑りながらもしっかりとついてくる。下りは腰の引ける人が多いのだが、思い切りの良さに感心する。

 何とか予定どおりの11時に徳沢に到着した。徳沢園のお兄さんに挨拶したら、お茶をどうぞと勧められた。小屋の中に入って、ありがたくいただく。徳沢園は、今日から食事付きで営業するそうだ。

 お茶をいただいた後、上高地まで急がなければと思っていたら、スノーモービルで上高地まで送ってくださるとのこと。ただ、乗れるのは二人だけということで、三人で相談したら、Mさんは歩いて帰りたいとのこと。それで、私が三つの荷物と一緒にスノーモービルで送っていただくことにした。

 スノーモービルに乗るのは初めてだったが、すごいスピードで走るので、しっかり掴まっていなければならなかった。梓川の河原を飛ばし、途中から右岸の林道を飛ばす。徳沢から上高地まで、25分くらいで着いてしまった。二人のザックも、河童橋まで運んでくださるという。とても親切な方だった。

 小屋の方にお礼を言い、分かれてからしばらくすると、私の母校の先生が河童橋に到着した。お昼の時間だったため、ベンチに座って、一緒に食べる。先生は、今日は中ノ湯に泊まって、明日帰るそうだ。昼食後、中ノ湯に向かって一足先に帰っていった。

 快晴だった空は、次第に雲が広がり、穂高連峰の上空には薄い雲が広がっていた。

 YさんとMさんは、空身だったこともあり、徳沢から1時間半で河童橋に到着した。二人がお昼を食べている間、私はカワガラスや上高地の風景をカメラに収めさせてもらう。カワガラスはこんな冬も、ここに留まっている。餌などはあるのだろうか?

 上高地から車道を歩いて、中ノ湯に向かう。最後の釜トンネルは、下りなので、早い早い。あっという間に中ノ湯に着いてしまった。中ノ湯で着替えやパッキングを済ませ、松本行きのバスに乗り込んだ。

 松本駅で神戸に帰るYさんと別れ、駅弁などを購入し、スーパーあずさに乗り込む。これで今年は、終わったようなもの。無事に正月を迎えられることを感謝して、ビールでMさんと乾杯する。松本の空は、どこまでも澄んでいた。

記:網干

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