鹿島槍ヶ岳山行報告
NO.
日付
山名
参加者
会員 障害者
4名
健常者
8名
1
平成21年7月25日〜27日 鹿島槍ヶ岳 合計 15名 会員外
(賛助員含む)
障害者
0名
健常者
3名
 

コースタイム:
7/25 柏原新道登山口(11:55)…ケルン(13:20)…種池山荘(16:20)
7/26 種池山荘(6:40)…爺ヶ岳中央峰(8:00-8:15)…冷池小屋(9:45-10:15)…
    布引山(11:55-12:15)…鹿島槍ヶ岳(13:15-13:25)…冷池小屋(15:10)
7/27 冷池小屋(5:40)…種池山荘(7:50-8:25)…登山口(12:20)

天候:
7/25 曇り時々雨
    一時雷、
7/25 曇り後雨、
7/27 雨時々曇り

★7月25日
 信濃大町からタクシーに分乗して柏原新道の登山口まで行く。登山口に近づくと雨が降り出してしまった。暑くてしょうがないが、雨具を付けて出発する。

 少し登ると、扇沢のバスターミナルがよく見えた。最初の登りは、ジグザグの急登で、みんなびっしょり汗をかく。ケルンまで行けば、傾斜も落ちるだろうと、高度計を見ながら登っていく。

 ケルンに着くと、ガイドブックの通り、種池山荘が見えた。ここから傾斜は落ちてくるが、がれ場があったり、石畳があったりして、視覚障害者の人には歩きにくくなる。慎重にサポートして登っていく。登山道脇には、クモマニガナやシロバナノクモマニガナ、ヨツバシオガマなどが咲いていた。

 水平のトラバース道に入ると、グッと楽になるが、そろそろ体力的にきつくなってくる人も出てくる。荷物を分担しながら登っていく。左手には、蓮華岳と針ノ木雪渓がよく見えるようになってくる。種池山荘もグッと近づいてくる。

 しかし、この頃になると、雨と共に雷も聞かれるようになってきた。まだ樹林帯だから心配はあまりないが、近くに落ちないで欲しい。山荘直下の登りに入る前の雪渓は問題なく通過できたが、その前後のガレ場の方が厳しく、慎重に通過した。

 最後の登りを頑張ると、コバイケイソウの御花畑が広がる種池山荘下に出た。雨のため、直ぐに小屋に入り、乾燥室で雨具などを乾かす。

★7月26日
 朝食が第2陣の6時となったため、ゆっくり起きる。朝の天気は、まずまずのようだが、厚い雲もたれ込めていて、剣立山方面の展望はよくない。それでも、コバイケイソウの御花畑の向こうに、今日登る爺ヶ岳の南峰が見えていた。蓮華岳も山頂が見えている。

 昼食後、小屋の前で記念写真を撮って出発する。

 爺ヶ岳への登りは、危険なところもなく、まさに稜線漫歩だ。晴れていたら展望もすばらしいのだが、今日も、岩小屋沢岳方面はよく見え、剣立山も、雲の下に雪渓を見せている。小窓雪渓や三ノ窓雪渓が、よく見える。これから向かう冷池山荘も見えている。また、この付近は、ミヤマダイコンソウやハクサンシャクナゲが多かった。

 爺ヶ岳の南峰は山頂には向かわず、巻き道を利用して、次の中央峰の山頂に立つ。雲が多く、どんよりしているが、時折日の差すところもあり、まあまあの天気だ。麓もよく見えている。

 中央峰を後にして、北峰を巻きながら下っていく。冷池山荘がどんどん近づいてくる。瓦礫のところにはコマクサが咲いていた。タカネバラやコゴメグサも咲いている。黄色いスミレは、クモマスミレのようだ。

 赤岩尾根への分岐を過ぎるとすぐに冷池山荘に到着する。受付を済ませ、不要な装備を預かっていただき、少し身を軽くして鹿島槍ヶ岳に向かう。

 テント場を過ぎて少し登ると、お花畑が広がっていた。チングルマ、ミヤマキンバイ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲを中心にして、クルマユリやショウジョウバカマも咲いていた。少し行くとキヌガサソウの群落だ。樹林帯を過ぎ、森林限界を超えた山稜を登る。剣岳があと一歩で山頂が見えるところまで来たが、完全に山頂が見えたかどうかははっきりしなかった。目指す鹿島槍も、一瞬だけ南峰の頂を見せてくれた。

 布引山を過ぎたところで、昼食を食べる。近くには、チシマギキョウやイワベンケイ、ミヤマクワガタ、タカネヤハズハハコなども咲いていた。

 最後の苦しい登りを踏ん張り、全員が山頂に到着した。誰からともなく、バンザイの声が上がる。念願だった鹿島槍の山頂に立った人は、握手をしあって感激している。
 一瞬だけ北峰が姿を現したが、周囲は霧に包まれて何も見えなかった。それでも喜びの一時を写真に収めてから下山にかかる。霧の中で、時折雨の降る天気なので、雷が心配だ。

 雨の降る中を順調に下り、風の来ない東面に入ったところで休憩し、あとは冷池山荘を目指してひたすら下る。お花畑を過ぎ、テント場を過ぎると、冷池山荘の屋根が間近に見えてくる。

 ここでも、乾燥室で濡れたものを乾かし、登頂を祝って乾杯とする。

★7月27日
 明け方から雨が降り始め、起きた時にはかなり激しく降っていた。朝食を済ませ、完全装備で外に出る。今日は、カメラもビデオカメラもザックの中にしまい込んだ。

 雨の中を爺ヶ岳北峰に向かって登っていると、なんと、剣岳が山頂を見せている。昨日の曇り空で見えなかった山頂が、こんな雨の中で見えるとは、きっと剣が、また来いよと私たちにエールを送ってくれたのだと思いたい。剣岳は、すぐに厚い雲に被われて隠れてしまった。

 昨日、来た道を引き返す。危険なところはあまりないが、切れたところは注意しながら通過する。ライチョウが多いといわれる爺ヶ岳だが、今回も見ることができなかった。もう、どこかに住処を変えてしまったのか、それとも・・・。

 種池山荘では、自炊室に入らせていただいて休むことができた。150円のインスタントコーヒーを頼み、体を温める。

 ここから、しばらくは石が敷かれたような整備された道だが、雪渓近くのガレ場や石畳などを注意しながら、慎重に下っていく。さすがに膝の笑う人も出てきたが、頑張って下っていく。ほぼ登山口に下りる時間が見えてきた頃、タクシーを呼んだ。雨具を脱いでタクシーに乗り込み、薬師の湯に運んでもらう。短時間だったが、汗を流し、すっきりして大町の駅に向かった。

 駅でも忙しく、バタバタしていたので、感慨に浸る余裕もなく、ホームに出る。天気の良くなかった3日間だったが、多くの高山植物に出会い、全員が登頂できてよかった。お疲れさまでした。

記:網干

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