リーダー養成コース(西穂高岳独標途中まで)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 2名 健常者 2名
平成24年2月11日~12日 西穂高岳独標
(途中まで)
合計 4名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:2/11 新穂高ロープウェイ西穂高口(14:20)…西穂山荘(16:00)
        2/12 西穂山荘(7:05)…独標手前…西穂山荘(9:10-10:20)…
            新穂高ロープウェイ西穂高口(11:25)
天気:
2/11 晴れ後曇り、2/12 吹雪後霧
   後晴れ

★2月11日
 中央線の車窓から南アルプスや八ヶ岳の風景を楽しみ、松本駅で穂高岳方面を見ると、雲がかかっている。ただ、乗鞍岳が見えていたので、これからの好天が期待できた。

 

 新穂高ロープウェイに着くと、すばらしい天気だった。ロープウェイの中から、西穂高岳や槍ヶ岳が見える。笠ヶ岳は山頂部分が雲に隠れていたが、西鎌尾根方面の山々も見えていた。

 

 ロープウェイの頂上駅、西穂高口に着き、展望台に上がって展望を楽しむ。西穂高岳がピラミダルに尖ってすばらしい山容だ。西穂高岳は、ここから見る姿が最も端正な形をしているのではないだろうか?
西穂山荘もよく見えている。明日、登る予定の独標もよく見える。さらに中岳、大喰岳の向こうに槍ヶ岳も見えている。西鎌尾根から樅沢岳、双六岳、弓折岳、抜戸岳、笠ヶ岳、そして錫杖岳もよく見えている。後ろ側には焼岳もよく見えていた。

 

 大展望を楽しみ、2メートルほど積もった雪に掘られた迷路のような道を歩きはじめる。

 

 積雪のおかげで、2mほど高いところを歩いているため、展望は夏よりもずっと良い。大シラビソに積もった雪は、メルヘンの世界を感じさせる。枝を伸ばすダケカンバは、樹氷となり、真っ青な空にくっきりと映えている。すばらしい美しさだ。

 

 小さなアップダウンの続く尾根から小屋に向けての最後の登りとなる。アイゼンを付けなくても登れるが、Yさんはアイゼンを付けて登ることにする。

 

 樹氷や太陽の回りにできる彩雲など、美しい世界を登り、西穂山荘に到着する。この頃には、空は雲で被われはじめてきた。東側の霞沢岳が雲に包まれつつも山頂までよく見え、遠く、八ヶ岳も見えていた。

 

 明日の天気が心配だったので、今日のうちに少し上がって展望を見ることにする。少し上がると、独標から西穂高岳までの稜線がよく見える。ピラミッドピークをはじめとして、いくつものコブを作り、西穂の山頂へと連なっている。さらに上がると、前穂高岳と明神岳も見えてきた。ここまでで引き返すことにする。

 

 西穂山荘の前にも大きな雪だるまがあった。山荘は、この時期、泊まる部屋は別館だけのようだ。食堂やトイレは本館だが、山に来る人自体が夏に比べると大幅に少ないので、暖房費などの節約になるのだろう。

 

 夜半、強風が小屋にぶつかり、慣れていない人は、不安だったようだ。テントで泊まっている人たちも大勢いたが、強風がテントをバタバタとあおり、一層ゆっくり寝られなかったと思う。しかし、それでもお構いなく寝れないと、冬のテントで泊まるのは無理なのだが。

 

★2月12日
翌朝、外に出てみると、雪がちらつき、ガスって何も見えない。気温は-14℃だった。それほど厳しい寒さではないが、風は風速10mはあるだろうか? 体感温度は、-25℃くらいだったかも知れない。

 

 天気予報は、午後から晴れるらしいが、午前中は曇りで雪が舞う天気のようだ。とにかく行けるところまで行って、無理だと感じたらすぐに引き返すことにして、出発する。

 

 昨晩の間に10㎝ほど、積もったようで、ふかふか雪に付けられたトレースをたどって登る。

 

 視界は非常に悪いが、10mくらい先までは見えている。早朝に出た人は、ほとんどが丸山やその手前で引き返していたが、この状況であれば、もう少し登れるのではないかと判断した。

 

 なだらかな尾根を歩いて丸山に到着する。Fさんは、どかっと雪の上に座って休むが、強風で滑りやすい雪の稜線では、座ることはとんでもないことだと言うのだが・・・。とにかく、常にアイゼンの爪を利かせておかないと滑り出す危険が高いし、雪の上に直接座るのは、お尻から身体を冷やすので、絶対にしてはいけないことです。

 

 丸山から上の稜線がわずかに見えているので、もう少し登ってみることにする。ザイルで繋ぎあって、コンテニュアスで行く。

 

 ある程度登って、もう少しで独標手前の岩稜に着くかなと思ったが、足の運びが遅く、2~3歩歩いて立ち止まるような状態であったことと、時折激しい強風が吹き付けてくるようになったので、これ以上は危険と判断し、ここで引き返す決断をする。

 

 下りで腰が引けているFさんに、怖がると腰が引けて滑りやすくなるので、普通に足をスッスッと前に出すように指示する。途中から転ぶことが減ってきたようだ。

 

 丸山を過ぎた頃、すりガラスを通したように太陽が見え始めてきた。天気は回復に向かっているようだ。

 

 無事に西穂山荘に到着し、レストハウスで暖かいものを飲み、ちょっと長い休憩をする。
小屋の前で集合写真を撮り、名残惜しい山荘を後にする。

 

 YさんとFさんは、アイゼンを付けて下ってもらうが、私とTさんはアイゼンを付けずに下る。急な斜面に来るとシリセードを楽しみながら下る。急な斜面はあっという間に終わり、アップダウンのある尾根を下りていく。時折日が差すにようになり、ふり返ると、西穂が姿を現す時もあった。

 

 最高に美しい冬山と、予断を許さない厳しい冬山の両方を体験できた2日間だったのではないでしょうか? Fさんの頬には、軽い凍傷が勲章のようにできていた。
2日間、お疲れさまでした。

 

                                                                 記:網干