船形山・石巻山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 4名 健常者 12名
平成24年8月25日~26日 船形山 合計 33名 会員外 障害者 0名 健常者 17名
コースタイム:大滝キャンプ場(8:55)…船形山(11:25-12:30)…大滝キャンプ場(14:50) 天気:晴れ一時雷雨

★8月25日

 

 新幹線やまびこは、とても空いていた。仙台駅で仙石線に乗り換え、松島海岸駅で代行バスに乗り換え、矢本駅で再び電車に乗って、石巻駅に到着する。車窓から風光明媚な松島を楽しむが、その後は津波や地震による被害で、倒れたままの電柱や被害を受けた駅や民家を見ながら行く。復興には、まだまだ時間がかかるようだ。

 

 石巻駅から、泊まるホテルに行って、荷物を預ける。その後、Gさんから教えていただいた沖縄エイサーパレードの出発地に行ってみる。沖縄の人たちが演奏していたが、Gさんが見えなかったので帰ろうとした時、Gさん親子が現れ、再会を喜び合った。

 

 その後、予約時間を過ぎているプロショップまるかに急ぎ、刺身定食やラーメンを食べる。Gさんお勧めのタコは、水ダコだということだったが、やわらかくておいしかった。このあと、エイサーのパレードが始まっているのではないかと思い、アイトピア方面に行くと、にぎやかなパレードが始まっていた。よく見ると、パレードの一番後をGさん親子が歩いている。Rちゃんのお父さんにも会うことができて、良かった。

 

 私たちは、その後、日和山公園に登って、大きな被害を受けた門脇、南浜町方面を見てみる。石巻市立病院の建物は残っているが、周囲は被災した時と変わらない状態のようだ。被害を受けた車は、海岸近くに堆く積まれたままだ。川口町にある瓦礫は、1年前に来た時とほとんど変わらない状態で、残っている。それでも、重機が入って瓦礫の分別などを行っていたので、これから撤去が進むのだろうか。日和山から実際に門脇地区に下りて歩いてみる。津波によって全壊となったり流されたところは、空き地となってヒマワリなどが元気に咲いている。倒壊したままの家もある。ここに再び人が戻ってきて、集落ができていくのだろうか?

 

 日和山公園まで再び登り、茶店でかき氷を食べる。その後、ぴーまんさんの提案で、明日、石巻や船形山のブナを守る会の方を歓迎するため、AKB48の「会いたかった」を何人かで練習して、宿に戻った。

 

★8月26日

 ホテルから石巻駅に行くと、すぐにKさん親子が現れた。山では元気だったSちゃんは、恥ずかしそうにお母さんの陰に隠れている。Gさん親子も集合し、6時に石巻駅をバスで出発する。

 

 大和町にあるまほろばホールで船形山のブナを守る会のみなさんと合流する。代表のKOさんや世話役のKSさん、そして都合で来られないと言っていたAOさんにもお会いし、総勢33人となって、KOさんの車で先導していただいて、大滝キャンプ場を目指す。

 

 旗坂キャンプ場あとへの道と分かれると、未舗装の凸凹道となり、バスが傷つかないか心配になる。何度かこする音がしてヒヤリとしたものの、プロ運転手の腕のおかげで、無事に大滝キャンプ場に到着した。

 

 キャンプ場で、全員自己紹介をし、ぴーまんさんの音頭で、ちょっとぎこちなかったけど、「会いたかった」も披露された。今回は、宮城テレビの取材が入るが、早速、インタビューが始まった。

 

 水温7度くらいの冷たくておいしい人命水を水筒に満たして、1班から出発する。

 

 歩きはじめると、すぐに暑くなってくる。ただ、天気は良くてこれから登る船形山の稜線が見えていた。そして次第に登りがきつくなる。そして、まずは眺望所に到着。木の標識には、熊が囓ったあとがたくさん付いている。船形山のブナを守る会のKさんから、熊はアルコールやガソリンを使った揮発性のペンキなどの匂いが好きらしい。このあとも、ペンキで書かれた木の標識に囓り傷があったが、他の樹木には噛んだ跡などはなかった。

 

 次は鏡ヶ池への分岐で休憩する。ここからさらに急になるとのことで、余裕時間もなくなってきたので、遅れている人には、Yさんと船形山のブナを守る会の方から付き添っていただき、石巻の人たちや他の元気メンバーは、少しペースをあげて山頂を目指すことにする。そのことを後の人たちに伝えてもらうよう、お願いして先に進んだが、伝わっていなかったようで、Aさんが駆け上ってきて、先頭に伝えてくださった。

 

 ロープの張られた急坂を登り、さらにKさんが先に行ってロープを張っておいてくださったところもある。急登をがんばり、傾斜が緩くなってくると展望も利くようになってきた。後には前船形山が見える。その下には鏡ヶ池も見えていた。しかし、上空はどんよりとして周囲の山は雲に隠れている。

 

 ようやく稜線の御来光岩に到着した。雲が厚くたれ込めているため、周囲の山は見えなかったが、これから登る山頂は指呼の間にある。クマザサなどをかき分けて進むと、すぐに船形山の山頂に到着した。石巻のみなさんにぜひすばらしい展望を見てもらいたいと思い続けてきたのだが、残念ながら遠望は利かず、周囲の山は見えなかった。しかも、少しすると雨が降りだしてきた。

 

 降り始めた雨は次第に強くなり、本降りとなった。避難小屋の屋根の下に入れた人はよいが、入れない人は困っていたが、避難小屋には裏側から入れると教えていただき、避難することができた。避難小屋にはいると、ドカーンと雷の音もしてきた。小屋の中では、船形山のブナを守る会のKOさんたちが、ラーメンを作ってくださる。その間に、屋根下にいた人たちも、ひどいスコールになったということで、小屋の中に避難してきた。

 

 激しい雨も小降りになり、すぐ近くに青空も見えるようになってきた。外に出て、集合写真を撮って下ることにする。この頃は、まだ降っていたが、かなり小降りになり、視界も出てきた。しかし、登山道は登りと全く様子が変わって、そこら中に深い水たまりができ、後の方からキャーキャーという大声がひっきりなしに聞こえる。声の主はSちゃんだと思ったら、お母さんのKUさんだった。

 

 御来光岩から下も沢のようになって、水がたくさん流れている。小3のSちゃんは、水の中に入るのも気持ちがよいといって、運動靴ごと、水の中に足を入れている。お母さんが、キャーキャー言っていると、Sちゃんは「うるさいから静かにして~」と言っている。すべりやすい坂では、手を引いて、お母さんをサポートしている。しっかり歩いているRちゃんと共に、Sちゃんも将来が楽しみだね。

 

 雨もすっかり上がり、青空が広がって、眺望所に到着。途中でMさんが7mほど滑落し、船形山のぶなの会のみなさまが助けてくれたらしい。船形山のブナを守る会のみなさまに感謝です。

 

 予定よりかなり遅れているが、大滝キャンプ場が近づいてきた。山頂をあきらめてNさんと一緒に下ってくださったYさんや船形山のブナを守る会のみなさまと無事合流した。

 

 時間がかなり遅れているため、簡単に挨拶をして解散とした。事前準備から当日の安全確保まで、さまざまな支援をしてくださった船形山のブナを守る会のみなさまに深く感謝申しあげます。また、登頂をあきらめて、みんなのために協力してくださったり、子どもたちの安全確保やサポートをしてくださった会員のみなさまに、本当にありがとうございました。

 

 石巻から参加してくださったみなさまとは、これをご縁にまた機会を見つけて山などにご一緒したいですね。ご協力、ありがとうございました。

 

 最後に、石巻の駅で帰りの電車を待っている時、秋田駒に参加したKSさんにもお会いすることができました。

 

 全ての被災地のみなさまの一日も早い復興を願っています。

                                                                 記:網干

 

《参加者の感想》

 

石巻の町で 復興の兆しを見た
石巻の夕暮れ 行きずりの人に親切にされ
ぶなを守る会のみなさんのご好意を忘れない
東北の人たちは、どうして?なんで?そんなに優しいのだろう

 

阿多多羅の山に続く ほんとうの空を見た
初秋の空に遊ぶ うろこ雲、すじ雲、ちぎれ雲
スコールの後に現れた 矢絣模様の雲を忘れない
東北の空は、どうして?なんで?そんなに美しいのだろう

 

空行く雲は時を待たず 変幻自在
東北の人のぬくもりは ジンワリと いつまでも
また いつかどこかで会いたいですね その日まで
君だけは、僕だけを 忘れないでいてください

 

♪会いたかった 会いたかった 会えて好かった 君に~!♪

                                                           記:ぴーまんさん

 

★石巻のみなさんからの感想

 今回の船がた山も楽しかったです。ちょう上につくと、雨がふり、家(山小屋のこと)にいてやむまでまちました。
 やんだ後、すぐに下までおりてきました。
 くつに水が入るとままが、てい音こう音をだしながらわらっていました。
 一番楽しんでいたのは、ママでした。
                                                             記:S.Kさん

 先月、秋田駒ヶ岳を経験し秋駒のイメージに船形山を重ね合わせ近場ということもあり勝手に緩やかな山であるとすっかりなめてかかっていた私。
 しかし、いざ登ってみると、登り口から本格的な登山道。
 暑さも手伝って変な汗が背中をつたう×10。
 それでも、平静を装い必死に登り、途中樹齢300年、太さ3、5Mもあるブナの木を見上げた時はちょっとトトロになった気分で素敵でした。
 今日は、頂上でも絶景を拝めるぞ・・・なんて思いながら少々ばて気味の娘を励まし励まし頂上をめざし。
 しかし、ついて間もなく突然のスコールで、またもや眺望を逃しましたが、だからこそ今度こそ絶景を!と山に向かいたくなるのも山の魅力なのかなと思っています。

 船形山は、私たち親子に苦しさを乗り越えた後の喜びや満足感を教えてくれました。
 そして、アルプの皆様、船形山のブナを守る会の皆様と登山できたことを嬉しく思います。
 アルプの皆様はみんな不思議な力を持っています。
 私たち親子、K家親子を山に吸い込んでしまったのですから・・・・・
 皆様とお会いできたことに、深く深く感謝いたします。    
                                                             記:H.Gさん

  「山のぼり」(大街道小学校五年R.Gさんが夏休みの宿題に書いた詩です)

 久しぶりにアルプの方たちに会った。
 ピーマンさんが「会いたかった」の歌で歓迎してくれた。
 とてもおもしろかった。
 とてもうれしかった。
 だから、今日も山のぼりをがんばろうと思った。

 今日はきつい山だ。
 石ころもあって登りにくい。
 でも、三百年も生きている太いブナの木が「がんばれ」と見守ってくれていた。

 途中、「もう帰ろう!」とお母さんに言ったら
 「何言ってんの、もう少し」とおこられた。
 くやしくて、またがんばった。

 頂上までいったらいろいろな山が見えた。
 まるで、「天空の城ラピュタ」の朝のようにきりがかかっていてきれいだった。
 「やったー」と思った。

 そのとたん、積乱雲の大歓迎。
 下山は、土砂降りのしわざで沢下りのようだった。
 くつの中で泥水が
 「ぐにゃ!」「ぐにゅ!」「ぐちゅ!」と大合唱。
 みんなに聞こえそうだった。

 石の上でスローモーションのように転びお母さんが大笑い。
 下山はずっと笑っていた。

 この夏の登山は私に
 「命の強さ」「満足感」「達成感」を教えてくれた。
 山ってすごい。山って生きている。山ってこわい。でも、山ってやさしい。
 そんな私になれたらうれしいな。
                                                             記:R.Gさん