第7回自然と親しむ子ども山登り教室(薬師岳)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 4名 健常者 15名
平成25年8月3日~5日 薬師岳(北アルプス) 合計 19名 会員外 障害者 0名 健常者 0名

コースタイム:
8/3 折立(8:50)…三角点(10:50-11:05)…五光岩ベンチ(13:05-13:15)…太郎平小屋(14:15)

8/4 太郎平小屋(6:35)…薬師峠(6:55-7:05)…薬師平(7:50-8:05)…薬師岳山荘(8:45-9:20)…
   薬師岳山頂(8:45-9:20)…薬師岳山荘(12:00-12:50)…薬師平(13:35-13:45)…
   太郎平小屋(14:55)

8/5 太郎平小屋(5:30)…折立(8:50)

天気:
8/3 曇りのち晴れ
8/4 雨のち曇り
8/5 曇りのち雨

★8月3日

 富山駅で折立行きのバスを待っていると、どこかで見た親父さんが現れた。アルプ内でもすっかり有名になったMさんだ。今日は、山渓が主催?する気象講習会に参加して、私たちと同じコースを同じ日程で登るそうだ。登山道でも同じペースで抜きつ抜かれつしていた。

 

 折立に向かうバスの中から山を探すが、どの山も雲の中だった。しかし、後から知ったが、これは雲海で、山の上ではすばらしい天気だったようだ。

 折立で出発準備をして急坂を登り始める。今回は、折立から三角点までが一番きつい登りとなる。昨日雨が降ったようで、ぬかるんだ道を登る。アラレちゃんの絵が目印となる休憩場所で休憩し、さらに登って三角点に到着する。上の方はまだ曇っているが、雲も薄くなってきているようだ。少し登ると足下は岩の道となり、麓には有峰湖が見えるようになる。

 昼食休憩の後、さらに登ると、視界が開け、周囲はキンコウカのお花畑となる。タテヤマリンドウやミヤマリンドウも先、ニッコウキスゲも非常に多い。イワイチョウやイワショウブも咲いている。アカモノは、登りはじめは実がなっていたが、上に登るときれいな花を付けていた。

 青空が見え始め、明日登る薬師岳も見えてきた。手前に咲くニッコウキスゲが良いアクセントになっている。五光岩ベンチで休憩し、さらに登るとチングルマのお花畑にある。コバイケイソウも咲き、太郎平が近いことが分かる。

 太郎平に着くと、黒部五郎岳や雲ノ平、水晶岳、三俣蓮華岳などが見える。ニッコウキスゲのお花畑やチングルマのお花畑がすばらしかった。小屋は、布団1枚に2人という混雑だった。

 夜8時頃外に出てみると満天の星空が広がる。北斗七星、カシオペア、はくちょう座、天の川、蠍座などとてもよく見える。流れ星もいくつか見られた。

 

★8月4日

 朝起きると一面霧で何も見えない。太郎平の木道を歩いて薬師峠を目指す。峠はテント場になっている。ここで休憩してから薬師平に登る沢の道に入っていく。厳しいと聞いていたが、さほどではない。ただ、増水すると危険なところもあった。

 

 沢を登り切り、岩の多い道を登ると、雪渓が現れた。男の子たちは雪渓の上を歩いて楽しんでいる。ここから少し行くと薬師平に到着する。この頃から雨が降ってきた。雨の中をがんばって登る。透明のビニールがっぱしかないR君や、朝、少し熱のあったS君が心配だったが、二人とも元気に登っている。

 薬師岳山荘では。コーヒーなどを注文して、玄関で休ませてもらう。子どもたちにも暖かいものを飲んで少しでも暖まってもらうようにした。

 

 深い霧の中を登り、山頂に着く頃には、霧がかなり薄くなり、明るくなってきた。山頂で写真を撮った後は、もしかしたら一瞬でも霧が晴れるかもしれないと思って待ったが、結局晴れることはなく、展望は全くなかった。

 

 山頂から下っていると右手の山腹にライチョウが見えた。子どもたちがはっきり場所を見つけていたので、教えてもらいながら接近し、写真を撮らせてもらう。雄はもっと背中などが黒いと思っていたが、目の上が赤いので、もしかしたら雄だったかもしれない。雌もいたので、つがいだったのだろう。

 

 薬師岳山荘に到着し、ここで大休止。牛丼を食べる人や抹茶を飲む人など、思い思いに休憩する。周囲は次第に霧が晴れてきて、展望も少しきくようになってきた。麓の方が見えてきて、薬師岳の山腹も見えてきた。イワヒバリも近くに来たので、R君が写真撮影に一所懸命だった。

 

 下るにしたがって天気は良くなってくる。チングルマやハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ミヤマキンバイなどのお花畑もとてもきれいだ。薬師平を過ぎると、太郎平の登山道と太郎平小屋が見えてくる。黒部五郎岳や三俣蓮華岳も見えてきた。薬師峠に下る沢も順調に下り、峠で休憩する。日差しが強くなり、登っているときが嘘のように暑いくらいになる。

 

 太郎平の木道を気持ちよく歩き、太郎平小屋に到着する。昨日より、遅いチェックインになったため、夕食は3回戦目、朝食も2回戦面の5時半だということなので、弁当にしてもらう。夕食後、Mさんたちとも交流し、早々に床につく。

 

★8月5日

 夜半、雨が降る音がしたが、起きたときも降っていた。しかし、出発する5時過ぎには止んでいた。ただ、深い霧で何も見えない。

 

 雨具を着て出発するが、次第に明るい曇り空となる。出発してまもなく、南東側の遠くに短い虹が見えた。さらに富山湾も見えるようになる。雨具を脱いで、下っていると、遠くに立山の弥陀ヶ原も見えてきた。回復するかなと思ったが、それは甘く、次第に南東側から黒い雲が押し寄せてきて、本降りとなった。本降りなのに雨具を着ようとしない男の子たちに、「だめだ着ろ!」と強く言い、何とか着せることができた。

 

 男の子たちは、どろんこの急坂もぐんぐん下っていく。登ってくる人から「子どもだけで歩くと危ないよ」と注意されるがいっこうに聞く気配がない。とにかく、私も遅れないようについていくしかない。速いペースで折立に着き、最後尾を30分も待つことになった。言うことを聞かない子どもたちへの対応は、今後の検討課題だ。

 

 体全体も汗臭いが、せめて着るものだけでも新しいものにしようと、折立で全て着替える。みんな合流し、Kさんが予約してくれたバスに乗り込んで、富山駅に向かった。車窓からも山は雲の中でほとんど見えなかったが、一瞬だけ、雲の中から剱岳のぎざぎざの稜線が見えた。

 たくましく育っている子どもたち。いつかきっと剱岳に登る日も来るだろう。

                                                                 記:網干

 

《参加者の感想》

 小学生3人は皆、薬師岳の山頂に立ちました! 登頂おめでとうございます!
 お天気が不安定で雨が降り、風が吹く寒い中、たくましく歩き通しました。Sちゃんは昨年にも増して、歩き方のバランスがよく、体の軸がしっかりしていました。R君とS君は体中で山を楽しんでいたように見えました。2日とも夕飯まで雪渓でそりすべりや雪合戦を満喫していました。皆、毎日体力がついていくようで頼もしい限りでした。
 子供達の元気と笑顔にたくさんのパワーを頂きました。子供達に感謝です!

                                                              記:M.Yさん

 

 先週に引き続き、金曜の夜行バスに乗り、今度は西日本富山へ。距離が長かったが、眠ってるうちに富山駅。ここでみなさんと合流。

 かなり暑いと聞いていたため、水はたっぷり2リットル。(これは結局半分以上残っていた) 先週の北穂高に比べてザックが軽い、それだけでも気持ちが楽だった。折立からの道は地図上では5時間とのことだが、夜行明けの体はやや疲れていて、はじめは歩くのがだるかった。仲間の屈託ない話に癒されつつ、ややぐちゃぐちゃな山道を登って、薬師平へついたときはもう雲上の楽園。そのときはすっかりリセットされて気持ちよく歩けた。相変わらず子供たちははるかかなたにいる。歌を歌いながら歩いて元気づけてくれている。その歌には何度元気づけられたか。ありがとう、山の子よ。太郎平に着いたときはたくさんの山男、山女が集っていた。とてもいい場所にある、この山小屋。夜は天の川がみえ、時折流れ星が流れている。心の静養には抜群な場所だと思う。

 

 翌日、薬師岳へ向かうもまたしても雨の中をいく。山は晴れてるばかりじゃない。雨の日も風の吹く日もある。わたしは今回は晴れるときめつけ、雨具の防水を怠った。衣服も濡れてしまい、風にあたって寒かった。薬師岳の頂上に向かうときは雨も風もやんでいたのでどんどん体温が上がるのを感じた。頂上ではまったく雲の中。それでも山頂は人がたくさん集まってくる。リーダーがもう少しすれば雲が晴れるかもしれないと粘ったが、薄日がうっすらさすものの、晴れることはなかった。

 太郎平小屋につく直前からさきほど登ってきた薬師岳が姿を現れ出す。大きな山体で綺麗な形をしている。あそこにいってきたんだ、私たちよく頑張ったよね~とかいいながら感慨にふける。行く時にはぼんやりしか見えなかった花たちも空の青さに映えている。気持ちのいい風が吹き、しばし足がとまる。

 

 3日目、やはり雨の中出発。家でみた天気予報とは違って、山の天気はよくわからない。どろどろになった山道。急な落差もあり、慎重に下山。子どもたち、別働隊員、みんな怪我をすることもなく、無事に下山できてリーダーもやっと気が休んだことだろう。お疲れ様でした。

 Rちゃん、Sちゃん、SZちゃん、またどこかの山で会えたらいいね。君たちの未来の姿を想像する。どこかの山で若い仲間と大声で笑ってるのかな。子ども登山、子供は確かにまだ大人の手を借りないとならないこともあるが、それ以上に子供たちはわたしたち大人にいろんなことを気づかせてくれます。

 楽しい3日間、夏の思い出がまたひとつ。リーダー、山の子どもたち、諸先輩方、3日間、ありがとうございました。

                                                              記:S.Kさん