登山知識及び技術向上コース(鷹巣谷)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 0名 健常者 5名
平成26年5月11日 鷹巣谷 合計 5名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:東日原(9:30)…鷹巣谷出合(9:45)…引き返し地点(11:45)…鷹巣谷出合
        (14:20-14:50)…東日原(15:15)
天気:快晴

 今日は東京でも最高気温が25℃になると天気予報では言っていた。だから薄着できたが、朝はまだ寒い。

 それでも、素晴らしい好天に恵まれて、奥多摩駅から満員のバスに乗って東日原に向かう。川乗橋で下りる人が多い。川苔山はさすがに人気の山だ。

 

 東日原でトイレに行く人もいたので、バス停で沢に入る準備を済ませる。新緑が美しい。稲村岩と鷹巣山にせり上げている稲村岩尾根がよく見える。鷹巣谷はその手前の沢だ。

 

 巳の戸橋を渡って、仕事道を行く。すぐに日原川に下り、鷹巣谷へと入っていく。沢の水はまだ冷たい。小滝を超え、ロープを使わずに滝の右手を登っていく。どうもNさんの調子が悪そうだ。先日の個人山行で行った白馬岳の疲れがまだ残っていて、握力がないという。その滝の上にはロープがフィックスされていたので、大事を取ってそれにカラビナをかけて、自己確保をして通過する。

 

 その先を見ると、堰堤があるので、今登った滝は地蔵の滝だったのだろう。私のガイドブックでは、最初の堰堤から3つほど堰堤が続くので、仕事道を歩いた方が良いと書いてあるが、右手の斜面は急角度で切れ落ちていて、作業道があるようには見えない。

 

 その先にもわさび田があると書いてあるが、どこにもないようだ。私の持っているガイドブックは、昭和55年発行の小泉共司さん監修の「東京付近の沢」。さすがに古すぎて様子がかなり変わっているのだろう。

 

 少し行くと、残雪が現れてきた。この時期、こんなところで残雪を見るとは思わなかったが、今年の数十年ぶりの大雪のすごさを感じることとなった。しかし、残雪は、このあと、次々に現れて、どんどん増えることになった。

 

 釜のある滝の右側の壁を登っていると、上から引き返してきた単独の男性がいた。この先、残雪が多くて引き返してきたという。我々もそうなる可能性があるなと思うが、もう少し行ってみることにする。

 

 さらに行くと沢を埋める残雪が現れた。奥多摩でこんなに残雪を見るなんてはじめてだ。先ほどの男性はここで引き返したようだ。よく見ると、残雪の下を沢が流れていて、スノーブリッジとなっている。出口もよく見える。Cさんがまず先頭を切って中に入っていく。続いて全員がスノーブリッジの下を通って、沢を遡っていく。

 

 この先もいくつか小滝を超えていくが、左右の岸壁が上れそうにない釜のある小滝が目の前に現れた。暑ければ釜に入って滝の直登ルートを探すのだが、今日は寒くてとても釜には入れそうにない。しかも、その奥には、激しい水しぶきを上げる滝が落ち、その上に雪渓が覆い被さっているのが見える。みなさんに相談し、ここで引き返すことにする。

 

 途中でお昼を食べていると、Tさんが寒くないですかと言って、自分の羽毛服を私に貸してくれる。今までこんなにやさしくしてもらったことはない。Cさんも驚き、今までにいなかったキャラだと言っている。Tさんは、今回から正会員になってくれた。このやさしさと強さ、そして何よりも若さに期待したい。

 

 下りは、慎重に何カ所か懸垂下降で下った。滝の下部中央に倒木のある所では、2人が倒木から滑ってびっくりしたが、ケガはなかったようだ。

 

 下ってくる男性と出会ったところにある滝は、流れ落ちる水流に濡れながら下り、最後は釜に腰から胸まで浸かって下ることになる。雪解け水も流れているため、沢の水はとにかく冷たい。みんなが下るところをビデオに撮るが、がたがた震えてとても撮っていられなかった。それでも、写真を撮り、少し落ち着いてからビデオも撮れた。

 

 日原川に出て、乾いた衣類に着替えて、ホッと一息つく。沢から車道に登り返すが、沢水に浸かって冷えた体はとても重く感じる。それでも、車道に上がって、東日原のバス停に着いた。暖かな日差しを受けて、濡れたものを乾かしながら、柔らかな新緑を見つめていた。

 

                                                                 記:網干