赤岳個人山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 1名 健常者 2名
平成27年12月26日~27日 赤岳 合計 3名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
12/26 美濃戸口(11:15)…美濃戸(12:10-12:45)…堰堤広場(13:35)…赤岳鉱泉(15:20)
12/27 赤岳鉱泉(7:55)…行者小屋(8:35-8:40)…中岳分岐(10:20)…行者小屋(11:35-12:00)
    …美濃戸口(15:30)
天気:
12/26 曇り
12/27 霧後晴れ

★12月26日
 この週末は冬型気圧配置が強まるため、太平洋側の気候である八ヶ岳も影響を受けて吹雪く可能性もあるが、行ってみて判断するしかないので予定通り実施することにする。

 

 今回の個人山行は4人で行く予定だったが、1人が急遽行かれなくなったため、3人で行くことにした。好天の茅野駅からバスで美濃戸口に入り、登山計画書を提出して出発する。

 

 まずはいつもの林道歩き。全く雪がない。しかし、一部凍っているところもあるので、注意は必要。登るにつれて雲が厚くなっていく。車で美濃戸まで入る人も多いようだ。美濃戸山荘を過ぎると少し雪も出てくる。視覚障害のあるKRさんは、アイゼンを付けて登る。滑らなくなるので歩きやすいという。

 

 堰堤広場で休憩して、登山道に入っていく。さすがにここまで来ると一面の雪景色になるが、積雪は非常に少ない。アイゼンを付けているKRさんには、もっと積雪がある方が歩きやすいのだが、少ないために足を取られ苦労している。途中から、ザックにロープを付けてつかまって歩いてもらう。

 

 赤岳鉱泉に着くと、アイスキャンディーでアイスクライミングを楽しんでいる人たちが大勢いる。私たちもやってみるつもりだったが、16時で終わりになるということなので、時間が足りないため、止めることにする。

 

 赤岳鉱泉の奥にある休憩室で、いつもの団らんの時を楽しむ。NPO法人日本マウンテンツアー・コンダクタ協会の方やプロガイドの方など多くの方と一緒に山の歌などを楽しむ。

 

★12月27日

 明け方、外に出てみると、どんより雲が垂れ込めて、視界があまり良くないようだ。気温は-2℃程度で、厳冬期にしては非常に温かい。

 

 出発は遅くなってしまうが、小屋のあたたかな朝食を食べてから出かけることにした。予定より1時間近く遅い出発となる。

 

 積雪は少ないが、周囲の樹氷はきれいだ。中山乗越まで登り、行者小屋で休憩する。玄関先にかけられた「おでん」と書かれた赤い提灯が誘惑するが、トイレだけ済ませて出発する。

 

 トレースはしっかりとできている。急な階段が連続する文三郎道を登っていく。まだほとんど無風だ。下山してきた人が、上は強風だったことを教えてくれる。一瞬霧が晴れて赤岳西壁の一部が見えたが、すぐに霧に隠れてしまった。

 

 長い階段を登り、ちょっとした広場のところでロープをつないでコンテで行くことにする。年々視力が低下しているKRさんは、苦労しながらも鎖につかまって登ってくる。あまりにも急すぎて、ザックに付けたロープを持って登ることは難しい。私が確保しているロープを頼りに登ってきてもらう。

 

 次第に風が強くなり、中岳との分岐へのトラバースにかかる。ここではまだ風は弱かったが、分岐に到着すると、耐風姿勢を取らなければよろめいてしまうような強風が吹いていた。時間的にも厳しくなってきているので、今回はここで引き返すことにする。2人の写真を撮ろうとするが、風上側を向いているため、風と共に舞い上げられた氷の粒のような雪が、顔に当たって目を開けていられない。それでも何とか写真を撮って下山にかかる。ほんの少し下っただけで、風はそよ風になる。

 

 登りでは靴擦れが痛かったKRさんも、下りは痛まず、順調に下ることができた。行者小屋が近づいてくると、日が当たっている麓の方が見えてきた。やはり麓は晴れているようだ。

 

 行者小屋で昼食タイムとする。休憩していると、青空が広がり始め、中岳が見えるようになり、続いて阿弥陀岳も見えるようになる。さらには横岳の大同心方面も見えるようになり、日も当たるようになってきた。なかなか山頂が見えなかった赤岳も、完全に姿を現した。山頂には立てなかったが、この景色を見られただけで大満足だ。樹氷も真っ青な空に映えて、とてもきれいだ。

 

 行者小屋から南沢を下って行く。しかし、このコースは途中から林道になる北沢と違って、石の出っ張った道が長く続くため、KRさんはとても苦労している。私のザックに付けたロープにつかまっているが、とても歩きにくい。アイゼンを付けていると、いろんなところにアイゼンが引っかかり、転倒することが多くなる。アイゼンを外せば滑ってこれまた転倒の連続だろう。下りには多くの時間がかかった。山頂をあきらめて、早めに下ったことが正しい判断だったようだ。

 

 神経と体力を使ったKRさんはへとへとになって美濃戸山荘に到着した。ここまで来ればもう安心だ。美濃戸山荘の方は、お茶と野沢菜を無料で出してくれる。何もお金を使わず、申し訳ないが、今回も甘えさせていただく。空はすっかり晴れ上がり、真っ白な阿弥陀岳が高くそびえていた。

 

 林道をどんどん飛ばしていく。そして、ようやく美濃戸口に到着する。バスの発車まで1時間ほどあるので、八ヶ岳山荘で休憩する。昨日一緒に歌ったプロガイドの方たちも休憩していた。

 

 最終のバスに乗り、茅野駅に向かう。すぐに眠りについたが、途中、目を覚まして振り返ると、南八ヶ岳の山々が、アーベントロートにきれいに色づいていた。

 

                                                                 記:網干