親子で目指そう富士登山(第5回富士山)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 0名 健常者 9名
平成28年8月27日~28日 富士山 合計 23名 会員外 障害者 0名 健常者 14名
コースタイム:
8/27 表富士宮口五合目(14:15)…御来光山荘(15:50)
8/28 御来光山荘(4:00)…元祖七合目(4:45-4:55)…八合目(5:40-6:00)…九合目(6:45-7:00)…
    山頂浅間大社奥宮(8:30-9:20)…剣ヶ峰(9:40-9:50)…浅間大社奥宮(10:00-10:10)…
    御来光山荘(13:15)…五合目(14:40)
天気:
8/27 雨
8/28 霧後晴れのち霧雨後曇り

☆8月27日

 10年間継続してきた「自然と親しむ子ども山登り教室」の締めくくりとして、いよいよ最後の富士山を目指す。今回参加した子どもたちにとって、最後の目標となる登山だ。今年登った4つの山は、富士山を目標においてがんばってきた。子どもたちもいろんな思いを胸に抱いて今日を迎えたことだろう。スタッフが不足していたので、今回は水戸葵山岳会のKSさんとMTさんに応援していただいた。

 

 晴れ渡った青空の下で、雄大な展望を楽しみながら、山頂に立って達成感を持ってもらいたいと思ったが、この週末は残念ながらあまり良くない天気予報だ。五合目でバスを降りると、雨が降っている。雨具を付けて出発準備をするが、雨脚は強くなっている。スマートフォンで雨の様子を確認すると、周囲には土砂降りの箇所もあり、富士山の南部に移動してきそうだ。13時30分の出発予定を遅らせ、14時を回った。まだ雨脚は強いが、子どもたちは待ちくたびれてきた様子。雷の鳴る音がしないこともあり、雨脚は強いが出発することにする。

 

 雨の中、みんな元気に歩きはじめる。今回は、新七合目の御来光山荘に泊まる計画とした。そこは標高2800m。それ以上高いところに泊まると、山小屋に泊まっている段階で高山病になってそれ以上先に登れない子どもが出る可能性があり、もっと低いところだと2日目の登りがきつく早い段階で脱落してしまう子どもが出る可能性があると思い、御来光山荘を宿泊場所に設定した。

 

 降りしきる雨の中でもみんな元気に登っている。六合目の宝永山荘で少し休憩する。そしてさらに上へと登っていく。新七合目の御来光山荘には15時30分着。小屋の内部が濡れないように、入口にある食堂にはブルーシートが敷いてある。ザックはビニールの袋に入れて泊まるところに持って行く。大人も子どもも一緒になって、食堂で交流し、その後部屋の前で膝を抱えて小さくなって交流する。

 

☆8月28日

 深夜、子どもたちの話し声が聞こえる。静かにして、明日に備えて寝るようにいうが、またすぐに話し始める。1時になっても2時になっても声がする。体調に影響を与えないか心配だが、どうしようもない。

 

 3時に起床。3時30分に出発する予定だが、みんな小屋で朝食を食べている。出発は4時となる。

 

 外に出ると、霧雨になっているが、霧の切れ目から月やオリオン座が見えるときもある。今日は、昨日のような土砂降りになることはなさそうだ。

 

 全員、ヘッドランプを付けて、真っ暗な登山道を登っていく。次第に霧が晴れて、東の空が色づき始める。先ほどまでの霧雨が嘘のように晴れてきた。元祖七合目に着くと、小屋の前で日の出を待っている人たちが大勢いた。私たちの場所はなさそうなので、そのまま上へと登っていく。

 

 元祖七合目から標高差にして100mほど登った3100m付近で上下にある雲の間から太陽が顔を出しそうなので待っていた。しかし、なかなか姿を現さない。そのまま上の雲の中に太陽が入ってしまったのかもしれないと思い、先に登っていくことにする。少し登ったところで、雲の上から日の出が見られた。天気予報が悪く期待していなかっただけに、とてもうれしい。雲海もどこまでも広がっている。いつものことながら、自然の美しさに心動かされる。

 

 今回は、1班に小学5年生の子どもたち、2班に6年生、3班に中学生とした。元祖七合目の頃から、M君のお母さんが少し調子が悪そうだった。しかし、3班に入って後ろからゆっくり登ることで、しっかりと付いてきている。

 

 3300m付近の八合目に到着。少し気持ちが良くない子も出てきたが、まだまだ行けそうだ。九合目になると先頭と最後尾の差が大きくなってきた。中学生のC君とSさんが気分が良くないようだ。それでもまだゆっくり登れば大丈夫そう。1班、2班の子どもたちは元気に登っている。

 

 九合五勺、山頂まで標高差で200m少々。苦しみながらも、ここまで全員登ってきている。時々霧に包まれるが、山頂には青空が広がっている。すばらしい天気に恵まれた。

 

 この頃から元気な中学生のA君に前に来て歩いても良いと伝える。先頭になって元気に登っていく。1班のAT君が少し遅れてきたようだが、山頂まであと少し。みんながんばって登っている。

 

 先頭は8時30分に山頂の浅間大社奥宮に到着。後続を待つ。2班が到着するがその後ろが遅れているようだ。空身で登った道を降りて応援に行く。AT君が山頂まで標高差30mほどのところで、横になりかなり体調が悪いようだ。これ以上登ることは本人も無理というので、下山することにする。2班のKMさんにAT君親子と一緒に下っていただくことにする。最初元気だったこともあり、登るペースが速すぎたことが体調を崩した原因かもしれないと反省する。ふと周囲を見ると、なんと小学生のM君とK君もいる。山頂からここまで下ってきたのは私一人と思っていたら、元気な子どもたちだ。

 

 最後尾の3班も9時過ぎに山頂に到着する。ここで、希望を募り、剣ヶ峰に行くメンバーとここで待つメンバーに分かれる。山頂は完全に霧に包まれ霧雨が降っている。手がかじかむくらい寒い。それでもみんな雨に負けずに歩いて行く。9時40分に剣ヶ峰到着。5組の親子と6人のスタッフが登頂した。少し青空も見えたが一瞬にして霧に包まれる。とにかく寒いので、写真だけ撮って来た道を引き返す。

 

 浅間大社奥宮で待っている人たちと合流する。なかなか全員がそろわないので、体調の優れない子どもと一緒に水戸葵山岳会のKSさんに先に下っていただく。とにかく人数が多く、体調もばらばらなので、全員がそろって行動するのは難しい。それでも、兵庫県から来たYさんが最後を締めてくれているので、本当に心強い。今回、持参した5台のトランシーバーも駆使して、連絡を取り合いながら行動した。

 

 震えるほど寒かった気温も標高を下げるに従って、次第に暖かく感じるようになる。朝は8℃だった九合五勺の気温も12℃に上がっていた。

 

 子どもたちは、登りが強かったが下りになると足を痛めて遅れる子が出てきた。それでも、6合目に全員がそろう。先に降りたAT君とお母さん、それに付き添ってくれたKMさんも待っていてくれた。予定より1時間後のバスに乗ることにしたが、次の予定があるAT君親子は、予定していたバスに乗って帰った。

 

 登りも下りも順調に歩き通した子は、小5のMS君と小6のAY君、それに同じく小6のMさんだったようだ。体調を崩しながらもがんばり通した中3のSさん、中2のC君、中1のAK君、小6のKT君。山頂直下で下山せざるを得なかったAT君は悔しい思いを胸に抱いて帰ったことだろう。でも、みんな本当にがんばった。日本一高い富士山は、山は楽しいだけでなく、厳しさに立ち向かう強い気持ちと忍耐が必要であることを教えてくれたのではないだろうか?

 

 みんなで富士山に声をかけてこの登山を締めくくることにしよう。「富士山、大切なことを教えてくれて、ありがとう!」

 

                                                                 記:網干