登山知識及び技術向上コース(鏡平)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 0名 健常者 4名
平成28年9月17日~18日 鏡平(笠ヶ岳) 合計 4名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
9/17 新穂高温泉(6:20)…わさび平小屋(7:50-8:00)…秩父沢(9:20-9:50)…
    シシウドが原(11:35-12:10)…鏡平山荘(13:20)
9/18 鏡平山荘(7:15)…わさび平小屋(9:45-10:05)…新穂高温泉(11:00)
天気:
9/17 晴れ後曇り後雨
9/18 雨

☆9月17日

 この連休、天気予報は良くない。土曜日の夕方から19日にかけて雨が降り続く予報だ。雨の状況により現地で判断することとして、計画通りに実施する。

 

 夜行バスは、少し早めに新穂高温泉に到着する。多少雲はあるものの、空は晴れている。笠ヶ岳方面もよく見える。登山計画書を提出し、朝食を摂り、用を済ませて出発する。小池新道の登山口までは、左俣林道を歩くことになる。

 

 蒲田川の左俣谷は、澄んだきれいな水が流れている。穴毛谷方面が見えなくなり、中崎山と抜戸岳から伸びる尾根の間を歩く。読図というとすぐにコンパスが必要と思う人もいるが、現在地を特定できないとコンパスがあっても活用が難しい。今歩いてきたところの周囲の地形変化を考えると、ここは風穴の近くですと言ったら、近くの岩に目立たない「風穴」を知らせる看板があった。これは偶然だけど、周囲の地形と地図を見比べて、現在地を特定することがまずは一番大切なこと。少し勉強になっただろうか?

 

 中崎橋を渡って、右岸を歩く。振り返ると、錫杖岳の山頂付近が見える。さらに行くと、笠新道の登山口がある。ここには水場もあり、多くの人たちが休憩していた。さらに歩くと、わさび平小屋に着く。なかなか立派で良い小屋のようだ。

 

 すばらしい天気の下で、さらに林道を歩く。苔むした岩の上を小さな沢の水が流れている。1/8秒程度の遅いシャッター速度で、手持ち撮影する。どうしてもぶれてしまうが、水の流れを白い線で表現するには、そのくらいのシャッター速度でないと難しい。

 

 林道が左に曲がると、これから登る鏡平方面が見えてくる。大ノマ岳や弓折岳も見えている。奥丸山への分岐の橋には、マウンテンバイクが固定されている。ここにバイクをおいて、どこかの山を登っているのだろうか?

 

 小池新道は比較的緩い登りだ。しかし、確実に高度を稼いでいく。ゴーロ帯に着くと、槍ヶ岳が見えるようになる。こちら側から見ると、手前の飛騨乗越付近の尾根が邪魔して穂先の先端付近しか見えない。しかも、近いので、あまりとがっていない。東側から見るとがった槍ヶ岳のイメージしかないと、がっかりするそうだ。まあ、見る角度で山はいろいろなので、これも槍ヶ岳の一つの姿なにで、今までのイメージに追加するだけで良いのではないかと思う。

 

 西穂から涸沢岳までの稜線も見えている。焼岳も見えている。ただ、空は高層雲に覆われ初めてきた。鏡池に着くまで、槍穂高が姿を見せてくれるだろうか?

 

 秩父沢を渡ったところで、少し長い休憩を取る。ここも、槍穂高の展望がすばらしい。乗鞍岳も見えていた。さらに登ると、イタドリが原に着く。風穴は気がつかずに通過した。さらに登っていく。秩父小沢だろうか涸れ沢の岩の上でオコジョを発見。2匹が元気に走り回っている。写真を撮りたかったが、止まってくれず、岩の上に出たり隠れたり、速いスピードで走り回っているので、撮れなかった。それでも、ひさしぶりにオコジョに出会えて良かった。

 

 その後も、じわりじわりと上に登っていく。シシウドが原手前でNさんが足をつってしまったが、すぐに冷湿布を張って元気になる。Iさんがザックをシシウドが原において、迎えに行き、ザックを背負って登ってくれる。頼もしい限りだ。

 

 シシウドが原からは、北穂高岳も見えてきた。しかし、すぐに槍穂高連峰は雲に隠れてしまった。お昼を食べて出発する。鏡平山荘まではあと1時間少々。トラバース気味に登っていく。

 

 傾斜が落ちてきて、山荘が見えるかと思ったが、なかなか見えない。ポツポツと雨が当たるようになってきたが、すぐに止む。そして、ようやく鏡池に到着する。残念ながら槍穂高は雲の中に姿を隠して見えなかった。止んでいた雨も再び降り始めた。しかし、鏡平山荘は、すぐそこだ。受付を済ませて中に入る。今回は、キャンセルが多く出たことで、6人部屋の個室を4人で使って良いとのこと。とてもありがたい。

 

 夜はいつもの通り、同宿の人たちと歌を歌って一期一会のひとときを楽しむ。

 

☆9月18日

 夜半から激しい雨音がしていた。天気予報は当たったようだ。朝、山小屋の衛星放送を見ると、高山市は夕方には曇りになるようだ。しかし、それまでは本降りのようで、大雨・洪水・雷注意報が出ている。

 

 私は、行こうと思えば行けないことはないだろうと思っていたが、女性陣はもうすっかりこのまま帰って温泉に入る気持ちでいる。鏡平山荘の方に、登山道の様子を聞くと、笠新道などは問題ないが、とにかく吹きさらしの稜線が厳しいはずだとのこと。昨日登ってきた道も、沢が増水して危険はあるとのこと。

 

 遮るものもなく、逃げ道もない稜線を風雨にさらされながら4時間以上歩くのは、体調の悪くなる人が出る可能性も高いため、このまま下山することとした。ツアーできた人たちは、この小屋に連泊するらしい。今日帰ることにした私たちをうらやましいと思っていた人もいたようだ。

 

 ゆっくり朝食を食べて下山を始める。やはり雨脚はかなり強い。それでも風がないので、問題なく下っていく。昨日、一緒に歌を歌った人たちに挨拶をして追い越していく。増水して流れの激しい沢が2つほどあった。足を取られたら大変なことになるので、慎重に下っていく。秩父沢は橋がしっかり架かっていて問題はなかったが、増水して激しい流れになっていた。

 

 何度か休憩を交えつつ、小池新道を終えて林道に出る。そこでは休憩せず、わさび平小屋まで行くことにする。わさび平小屋では屋根のある所で休憩できてとてもありがたかった。着いて少しすると、土砂降りの雨になった。屋根の下で休憩していると、昨日小屋で一緒に歌を歌った人(登山道で会った人とは別の人たち)に会う。とても楽しかったとお礼を言われてしまう。

 

 蒲田川左俣谷は、泥水となった濁流がごうごうと激しい音と立てている。1泊2日で帰る結果になってしまって残念だが、強い雨の中を無事に下山できて良かった。中崎山荘奥飛騨の湯に入って暖まり、帰りのバスに乗り込んだ。

 

                                                                 記:網干