羅臼岳山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 1名 健常者 11名
平成29年7月7日~10日 羅臼岳 合計 12名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
7/8 岩尾別温泉(6:40)…オホーツク展望台(7:15-7:20)…弥三吉水(8:05-8:10)…
   銀冷水(9:10-9:20)…羅臼平(10:40-10:50)…羅臼岳(12:10-12:40)…羅臼平(13:50)…
   岩尾別温泉(17:20)
7/9 知床五湖(一湖のみ)散策、知床峠散策
天気:
7/7 晴れ
7/8 快晴
7/9 快晴
7/10 曇り

★7月7日

 羽田から飛行機を利用して女満別で下りる。飛行機の車窓からは、飯豊や朝日、磐梯山、月山、鳥海山なども見えた。襟裳岬や阿寒湖も楽しめた。女満別空港に降り立つと、むっとした熱気に包まれる。東京よりも暑く感じた。夕方の気象情報では、35℃くらいあったらしい。

 

 空港からはバスで女満別に向かう。すぐに北海道らしい緩やかに波打つ大地に広がる畑の風景が見られる。網走刑務所も見えた。小清水原生花園付近は、キスゲの仲間などのお花畑が広がり美しい。斜里に近づくと斜里岳がよく見えるようになる。後で聞いた話だが、斜里岳の沢沿いに行く旧道は、スラブや岩場が続くが、鎖やロープが付けられていないため、北アルプスの剣岳や穂高岳よりもずっと難しいとのこと。100名山では最も難しい山のようだ。

 

 長いバスの旅も終わり、ようやくウトロに着く。ウトロもものすごく暑い。コンビニで買い物をして今日の宿、国民宿舎桂田まで歩く。オホーツク海が大きく広がる雄大な景色だ。

 

 宿では、バイキングの料理を楽しみ、明日の登山に備えて、早々に床につく。

 

★7月8日

 ウトロには、タクシーが1台しかない。そのタクシーに5時半に来てもらい、3往復してもらう。待ち時間を作るのは時間がもったいないので、人選をして、体力のある人ほど、あとで出発することにした。私は最後の出発で、6寺40分に木下小屋を出発する。何でも、2班の人たちは、タクシーの中からヒグマを見ることができたらしい。

 

 男性4人衆は快調に登る。3班に分かれて登ることになるため、それぞれの班にトランシーバーを持ってもらう。2班とはすぐに連絡が付いたが、1班つながらないようだ。

 

 20年ほど前に登った時は、オホーツク展望台の下は、蟻塚が多く、ヒグマの多発地帯なので注意するように看板が立てられていたが、今回はなかった。展望台の岩の下には、タカネナデシコが咲いている。

 

 チシマフウロなどを楽しみながら登ると、ようやく弥三吉水に到着する。大勢休んでいた若者が、「同じTシャツの人が少し前に登っていった」という。山仲間アルプのTシャツを着ていると、こんな時に役に立つ。若者に聞くと5分ほど前に出発したとのこと。我々も少し休憩してから出発する。この若者たちとは、山を下りる直前まで抜きつ抜かれつだった。

 

 ミヤマスミレやウツギの花を楽しみ、羅臼岳の山頂が見えるようになると、2班のCさんと交信できた。少し上で休憩中とのこと。無線を使わなくても、すぐ上で声が聞こえる。ようやく全員が合流できた。

 

 ゆっくりと登っていく。小さな沢となっている銀冷水に到着。ここには、簡易トイレ用のトイレがある。休憩の後は、山腹をトラバース気味に進む。左下に雪渓が見えるようになる。小さな雪渓を渡り、少し行くと大沢入口に着く。

 

 沢に沿った登山道を登っていく。周辺にはエゾコザクラがたくさん咲くようになる。ピンクが美しい。

 

 沢沿いには、雪渓が現れるようになる。しばらく行くと少し長い雪渓があり、その上は岩場になっている。さらにその上がどうなっているのかは見えないので分からない。雪の上が不安な人は軽アイゼンをここで付ける。しかし、雪渓の雪は柔らかく、軽登山靴でも全く問題はない。雪渓の上の岩場で、アイゼンを付けた人は逆に歩きにくく、途中で取ることになる。岩場には、これもピンクのエゾコザクラがたくさん咲いている。チングルマも咲いている。

 

 登るにつれて、エゾコザクラ、エゾノツガザクラ、チングルマのお花畑が広がってくる。あの世を歩いているようなすばらしい美しさだ。ジムカデやイワヒゲ、チシマノキンバイソウ、イソツツジも咲くようになる。

 

 羅臼岳が間近に見えるようになると、羅臼平に到着する。SさんとKさんが、山頂に登るのを止め、羅臼平周辺でゆっくりしているとのこと。二人に待っていてもらって、他のメンバーで山頂を目指す。

 

 ハイマツ帯には、イソツツジが多い。見えると思って目をこらすと、うっすらと国後島が見えている。うっすらなので、そう思って目を向けないと見えないくらいの薄さだ。

 

 山頂がどんどん近づいてくる。水滴が落ちている岩場には、イワウメがたくさん咲いている。登るにつれて、完全な岩の道となる。岩場にも、エゾノツガザクラやイワヒゲ、キバナシャクナゲがたくさん咲いている。

 

 標高差約1,400mの長い登りを経て、12時過ぎに羅臼岳山頂に到着する。斜里岳は見えなかったが、羅臼湖や知円別岳等が見える。知床岬側に目を向けると、硫黄山方面がよく見えている。知床五湖も見え、オホーツク海と国後島方面も見えている。すばらしい展望を見ながら、昼食を摂る。若者たちも山頂に到着した。お互いに集合写真を取り合って、下山にかかる。

 

 羅臼平付近で待っているSさんにトランシーバーで下山を開始することを伝える。この知らせを受けて、Sさんたちも下山を開始することになる。

 

 下山は早い。ぐんぐん下って、イワウメの咲いている水がしたたり落ちるところで、みんながそろうまで待つ。水滴を水筒に集めていたGさんは、満タンになっていた。こちらもコップに水滴をため、まずは自分でのみ、次にゆっくり下りてくる人たち用にさらに水滴をためる。いくらか水分補給に役立った。

 

 羅臼平を過ぎ、雪渓が終わるところで、SさんとKさんを発見。すぐ上にいることをトランシーバーで伝える。

 

 下りも早く下りれるメンバーと、ゆっくり下るメンバーいるので、タクシーが1台しかないことを考慮し、大沢を終えるところで、先発組と2班、3班に班分けをして、下ることにする。私は、KMさんと先に下ったSさん、Kさんと下ることにする。

 

 銀冷水、弥三吉水を過ぎ、オホーツク展望台の手前で、先行していたSさんとKさんに追いつく。光る物などを見ると、木下小屋ではないかと思う。幻覚症状だと、4人で笑い合う。そして、やっと木下小屋に到着する。2往復目のタクシーを待つ男性陣が待っていた。全員の下山を喜び合う。ビールは宿泊者でないと買えないということなので、小屋の横の水場でのどを潤す。

 

 3往復目のタクシーに乗り込んで、宿に向かう。ヒグマがいないかなと車の中から目をこらしたが、見つからなかった。

 

 宿では、屋外のテラスで夕食となる。涼しくて気持ちが良いが、暗くなっているため、蚊のような虫にたくさん刺されて、かゆくて仕方ない。20カ所位さされたようだ。今日はみんな疲れて、早々に休んだようだ。

 

★7月9日

 今日は別行動をするMさんを早朝見送り、今日自宅に帰る石巻のGさんを朝食後に見送る。残ったメンバーは、バスで知床五湖に行く。無料で行かれるのは1湖まで。2湖から5湖を巡るには、一人5,100円のガイド料を払わないと行かれない。自然を守るため、安易に行かれないようにしたのだろう。

 

 1湖までの木道も展望が良い。このコースは、世界遺産に指定されてから整備したようだ。昔来たことのある人は、こんな木道はなかったという。羅臼岳から硫黄山までの展望が一望できる。1湖が近づくと知床岳も見えてくる。

 

 1湖には、知床連山が写ってすばらしい。今日もすばらしい天気だ。

 

 知床五湖からバスに乗って、ウトロに戻る。ウトロでは、宿の方に教えていただいた、うにいくら丼がおいしい漁港婦人部食堂に行く。ウニとイクラがたっぷり乗った丼に舌鼓を打つ。食堂の外には、席が空くのを待っている人たちもいた。この店の近くには、ゴジラ岩がある。

 

 食後は、道の駅まで行って、土産などを買う。KDさんは、この近くで買い物をしたりするので、これから行く知床峠には行かないという。

 

 残りのメンバーは、バスターミナルから知床峠に行く。昨日はぼんやりだった水平線が、今日ははっきり見える。国後島もよく見えるのではないかと思っていたら、知床峠から昨日よりもはっきり見えた。峠から見る羅臼岳も迫力がある。上空にはアマツバメが飛び交っている。

 

 50分後の帰りのバスに乗って宿に戻る。今日は宿の最終日。まだ明るいテラスで夕食となる。沈んでいく夕日が美しい。

 

★7月10日

 昨晩は、テラスでたくさん歌を歌ったというが、私は覚えていない。きっとみんなが口裏を合わせているだけだろうと思う?

 

 宿の方と一緒に集合写真を撮って、宿を後にする。道路脇には、ハマナスが咲いている。青い花を付けいるのはエゾルリソウだろうか? バスターミナルが近づくと、エゾスカシユリも咲いている。イソヒヨドリも見られ、身近な自然観察を楽しみながら、バス停に到着した。あとは、バスに乗って女満別空港へ。予想外に暑かった北海道に別れを告げ、飛行機に乗り込む。みなさん、お疲れ様でした。

 

                                                                 記:網干