天狗岳山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 2名 健常者 4名
2020年2月8日~9日 天狗岳 合計 6名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
2/8 渋ノ湯(11:45)…パノラマコース分岐(12:45-13:10)…黒百合ヒュッテ(14:50)

2/9 黒百合ヒュッテ(7:35)…東天狗岳(8:45-8:55)…西天狗岳(9:30-9:45)…
   西尾根分岐(11:40-12:05)…唐沢鉱泉(12:45-13:00)…渋ノ湯(14:10)
天気:
2/8 曇り一時雪
2/9 曇り後晴れ
★2月8日
 今朝の関東地方はすばらしい天気に恵まれた。しかし、冬型気圧配置が強いときは、八ヶ岳も雲に包まれるため、天気は良くないだろうと思っていたが、案の定、あずさの車窓から見える八ヶ岳は雲に包まれている。

 茅野駅からバスに乗り込み、渋ノ湯に向かう。道路の周囲には全く雪はなかったが、渋ノ湯が近づくと少しだけ雪が見られるようになる。

 渋ノ湯でバスを降り、出発準備をする。視覚障害者と滑ることが心配な人は、ここでアイゼンを付ける。氷った車道を上がり、登山届を出してから登山道に入る。登山道に入るとそこからは雪道となった。

 順調に登っていたが、Yさんが遅れていると聞く。いつも元気なYさんがどうしたのだろうと思い、パノラマコースの分岐にザックを置いて少し引き返してみる。貧血を起こしているとのことだったが、たぶんシャリバテで低血糖を起こしているのだろう。分岐で昼食タイムとする。

 腹に入れたら、すっかり元気になった。しかし、今度はNさんが心臓が痛いという。ドクドク言っているとのこと。休んでいると痛くないが登り始めると痛むようだ。少し登っていっても収まる様子はなく、足もつったので、小屋まで行くのも難しいと思い、ここから引き換えしてもらうことにする。Kさんが一緒に下って、また登り返してくると頼もしいことを言ってくれたが、それは大変なので、Sさんが一緒に引き返すことにすると言ってくださる。それに甘えさせてもらって、二人で下山してもらうことにする。

 途中で少し登りがあるので、体調がさらに悪化しないか心配だったが、翌日、無事に下山できたことを確認できた。

 6人から4人になったメンバーは、緩やかな登りをがんばって、黒百合ヒュッテまで行く。この頃には、雲も薄くなり、日も差すようになっていた。

 ヒュッテに入り、いつもの懇親会が始まる。最初はストーブの周りで、食事後は山形の3人組や単独できた女性と歌や話で盛り上がった。

★2月9日
 夜11時頃と3時頃に外に出てみると、霧に包まれて何も見えない。細かな雪も降っていたようだ。

 朝になって外を見ると、薄く雪が積もっていた。6時頃、外に出て小屋前の温度計を見てみると氷点下17.5℃だった。6時半からの朝食を摂り、予定より35分遅れの7時35分に出発する。7時頃の気温は氷点下17℃。風はこの付近ではほとんどない。霧も薄くなり、青空も見えるようになってきた。

 中山峠まで行き、そこから東天狗岳に向けた登りが始まる。昨日、渋ノ湯から登り始めてすぐカメラのバッテリーがなくなった。充電したばかりだと思っていたが、どうも充電し忘れていたようだ。そのため、ビデオカメラで写真を撮っていたが、今日はビデオカメラもバッテリーがないと表示されている。今朝、新しいバッテリーに変えたばかりだが、ビデオカメラも使えなくなった。低温すぎて、すぐにバッテリーがなくなるのだろうと思っていた。そのため、スマホで撮ることにした。

 少し登ると正面に東天狗と西天狗がよく見えるようになる。純白の山の美しさは、夏山の比ではない。真っ青な空とのコントラストがより一層、山を引き立てる。

 針葉樹林帯から低木の樹林帯に、そして森林限界の上に出る。樹氷の木々が美しい。しかし、森林限界に出ると、強い風が吹き荒れている。

 急な岩と雪のミックス帯を登ると、山頂に立つ人たちが見えるようになる。山頂に着くと、ここもすごい風が吹いている。とてもゆっくりはできない。私のスマホは、もうバッテリーがなくなっていたようで、画面が出てこない。Kさんに写真をお願いするが、Kさんのスマホもバッテリー切れのようで写せない。Fさんがカメラを出して撮ってくれる。ありがたいが、メールで送ってもらわないと、ホームページに掲載できない。それでも、集合写真を撮って、すぐに西天狗岳に向かうことにする。この下りも、北西風を正面に受けるため、寒さに震えながらの下りとなる。

 東天狗と西天狗の最低コルから少し登ったところで、風がとても弱くなる。西天狗の影になったからだろう。ここで休憩することにする。北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈岳がよく見える。北アルプスも雲間から槍穂高連峰などが見えていた。北アルプスも今日はまずまずの天気のようだ。

 西天狗までは一登り。西天狗岳も強風だと思っていたが、意外にも風は弱い。東天狗は、北西側が開けていて、すり鉢状になっているため風が集まるのだろう。それと、山頂が狭く、吹き上げか風がそのまま山頂に当たるため、人は強風をまともに受けることになる。それに比べて西天狗は、すり鉢の端にあるため、風が集まることはなく、また山頂が広いため、止まぬぶつかった風が山頂よりも高いところに舞い上がり、山頂はエアポケットのように風下になるのだと思われる。

 山頂から、硫黄岳から赤岳、阿弥陀岳がよく見え、南アルプス北部の山々や、中央アルプスもよく見えた。北八つの北部は、蓼科山や北横岳が雲の中だったが、中山などはよく見えた。隣の東天狗は、もちろんよく見える。

 大展望を楽しんだ後は、唐沢鉱泉側に下山にかかる。ここは正面から風が当たるため、顔が冷たい。Fさんはここで凍傷になってしまったようだ。右の頬が腫れて液体が染み出ている。

 樹林帯に入ると風はほとんどなくなり、ホッとする。少し休憩して、ぐんぐん下っていく。ここは天狗岳の西尾根になるが、第二展望台、第一展望台と過ぎ、唐沢鉱泉へと下っていく。唐沢鉱泉は、立派な温泉宿で山小屋ではなかった。ここの気温を確認すると氷点下4℃だった。気温は低いが、日当たりもあり、日に当たっていると温かく感じる。

 私は、唐沢鉱泉でアイゼンを外したが、ここからの登りが最も氷っていて、滑りやすかった。滑りにくいところを探したりしながら、滑らないように慎重に登っていく。パノラマコースの分岐を過ぎ、緩やかな道を下っていくと渋ノ湯への車道に出た。ここで装備を外し、バス停に行く。大勢並んでいたが、バスは2台来てくれて、余裕で座って帰れた。

 バスの車窓から、昨年登った蓼科山がきれいに見えていた。
                                                               記:網干

《参加者の感想》
 泊りがけの冬山登山に参加。今回のルートは初めてだったので、楽しみにしていました。
 本番の2日目ですが、朝出発時は何とマイナス17℃、極寒の空気でした。峠を越えて山頂への上りは北風が強く、飛ばされそうでしたが、一歩一歩慎重に登りました。山頂は寒すぎて、手足が痛い程冷たかったです。天気は良かったので、周りの山々の見晴らしは良かったです。しかし、下山後、頬と手先の一部が凍傷しているのに気づき、冬山の厳しさを実感した山行になりました。次回は防寒対策をしっかりしたいと思います。

                                                              記:H.Kさん