2005年立教大学生の感想

 2005年度は、立教大学のコミュニティ福祉学部の学生さんが、教授と共に実習として参加してくださいました。この実習に参加してくださった学生さんから、感想をいただいていますので、大学側とご本人の了解を得て、ここに掲載させていただきます。

実習報告  Sさん  Bさん

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実習の感想

記:Sさん

 今日は皆と一緒に自然と触れ合い、荒神山を登ってきました。一回目は自分がいつもサポーターとして、相手(目が不自由な方)はサポーターされる側として思い込んでしまって、緊張しすぎて、疲れましたが、今回は相手に普通の人として、お互い楽しく登ることができました。だから、今回はとても気楽だったような気がします。

 さて、今回の登山を通じて、二つのことを気づきました。

 一つは、日本人の心ということです。荒神山に向かう途中で、電車は1時間ごとに一本の電車しか通らない小さな駅で止まりました。しかし、待っている旅人が多すぎて、全部乗るのは無理という状況の下で、皆一人一人が我慢して、缶詰みたいになって結局全部乗り込みました。もしも、中国ではこのようなことがあったら、きっとうまくいかないだろう。「なんで俺が我慢しなければならないとか、お前らは次の電車を利用すればいいじゃない、俺も1時間ぐらいを待っていたからとか」こういう考えを持っている人は少なくありません。実際はそういうことが常に起こっています。ですから、この点について、私は中国人が日本人を学んだほうがいいかもしれないと思います。また、私はこのことを体験して、「電車の広さが限られているが、人間の心の広さがかぎられていないな」と感心しました。

 もう一つは、目の不自由の方々が持っている素晴らしい人生観ということです。自分が障害をもっているのに、敢えて外に出て、自然と触れ合うと同時に、多くの人々とかかわりしながらという自分の人生を豊かにする前向きの姿が素晴らしいことだと思います。

 最後に、私はこのフィールドスタディに参加して、よかったと思います。また、このNPO山仲間アルプのおかげで、いい体験できました。

 有難うございました!

 

山仲間アルプの活動に参加して

記:Bさん

 授業の一環として、10月15日の伊豆ヶ岳と11月13日の荒神山の2回、山仲間アルプの登山活動に参加させてもらいました。初めは、目の見えない人たちのサポートだから、完全にボランティアとして参加するのだろうなぁという気持ちでいました。事前に、校内を目隠しをして歩き、サポートしてもらう体験をしていたけれど、いざ自分がサポートできるか、と考えたら不安な気持ちもありました。

 そんながちがちな気持ちで臨んだ一回目。集合場所から現地までも、実際に目の見えない人と近くで接するのははじめてだったので、緊張していました。

 私は、2つに分かれた班のうち、弱視の方のサポートをする班に入りました。山を登り始めてだんだん緊張も解けてきて、綺麗な花、虫、柿の木、山から見える風景、色々な話をしながら歩きました。普通だったら、「あっ、見えないのに言ってもいいのかな」と悩んだり、変に気を使ったりしそうな場面でも、アルプのみなさんは、言葉を通して皆で風景を楽しんでいました。その様子を見て、登山前に読ませていただいた網干さんの本を思い出しました。

 ~一緒に楽しむ~

 こういうことなんだなぁと実感しました。目でなくても、楽しむ要素はたくさんある。そして、何より、皆で一緒に山に登ることが楽しいのだと。でも、慣れてくるとサポートが必要なところでも、ついつい話しに夢中になってしまって、しっかりサポートもしなくては!と少し焦るときもありました。また、私のサポートは声かけが多すぎるので、サポートされる側からは、少し緊張しすぎてしまうらしく、もう少し声かけが少なくても平気だよ、と言われてしまいました。これは、2回目の登山の際にも言われたので、私の悪いところは言い過ぎるとこだと分かりました。

 登山すること自体、普段の生活では触れないことです。さらに、サポートしながら登ることなんて、もっと触れないことです。でも、普段の日常から一歩足を伸ばしたところに、色んな人と触れ合える場所がある。それを経験する良い機会を与えてもらえたと思います。

 普段、目の見える人「健常者」と見えない人「視覚障がい者」として分けられています。けれど、実際に会って、そこに関係が生じたら、それはいち人間と人間の人間関係の形成なんだなぁということを身を持って感じました。だから、ボランティアとして一緒に山に登っても、サポートが必要なときはサポートする、でも、基本は一緒に楽しむ。そうやって、色んなことを一緒に楽しむことが大切なことなんだなと感じました。2回とも、山登りを終えたときには、すっかり不安もなくって、充実した気持ちでいっぱいでした。ただ、終わってしばらく経った今から考えてみれば、サポートされていた側が不安いっぱいだったら申し訳なかったと思います。

 山仲間アルプでの2回の登山での経験で学んだことはたくさんあります。特に、考え方、気持ちの面で、学ぶことが多くありました。そして、それ以上に楽しい経験が心に残っています。

 網干さんをはじめ、アルプのみなさん、お世話になりました。

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