第3回自然と親しむ子ども山登り教室(硫黄岳)山行報告 |
NO. |
日付 |
山名 |
参加者 |
会員 | 障害者 | 1名 |
健常者 | 13名 |
1 |
平成21年8月1日〜3日 | 仙丈岳 | 合計 14名 | 会員外 (賛助員含む) |
障害者 | 0名 |
健常者 | 0名 |
コースタイム: 8/1 北沢峠(15:00)…駒仙小屋(15:10) 8/2 駒仙小屋(5:25)…大滝頭五合目(7:50-8:00)…小仙丈岳(9:05-9:30)… 仙丈岳(11:00-11:10)…馬ノ背ヒュッテ(12:45) 8/3 馬ノ背ヒュッテ(4:05)…仙丈岳(5:50-6:10)…馬ノ背ヒュッテ(7:30-7:55)… 大平山荘(10:40-11:15)…北沢峠(11:30) |
天候: 8/1 雨のち曇り、 8/2 雨一時曇り、 8/3 快晴 |
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★8月1日 広河原からさらにバスに乗り換え、北沢峠に向かう。北沢峠に着くと、雨は小降りになっていた。数年前まで北沢長衛小屋だった駒仙小屋に、10分ほど歩くと到着する。受付を済ませて、真ん中に土間があるコの字になった畳の部屋に上がり、寝場所を確保する。 子どもたちは小屋の中を偵察し、トランプを始めた。雨が上がると、空に虹が出ていた。明日登る小仙丈岳もよく見えていた。夕方は茜色の雲も見えていたが、明日の天気予報はかなり悪いようだ。いつも午後から強い雨が降るということなので、朝食は弁当にしてもらい、早発ちをすることにする。 ★8月2日 大滝頭五合目に到着し、少し休憩したあと、山頂を目指して登る。雨の振りは強くなく、時間的にも早いため、山頂を経由してヒュッテまで、余裕を持って行けると判断した。 さらに登ると、森林限界になる。下ってくる人が多い。ハイマツが現れ始め、しばらく登ると、小仙丈岳に到着した。小雨が降っていて風もあるが、北岳や間ノ岳はしっかりと見えていた。目指す仙丈岳の山頂は、まだ霧の中だが、下の方が少し見えている。 ゆっくり登ってくるメンバーを子どもたちは震えて待っていた。冷たい雨は、さすがに体温を奪っていく。ゆっくり組が到着して、少し休憩してもらったら、すぐに出発することにする。晴れていれば、気持ちのよい稜線だが、今日は残念な天気だ。それでも、右手には、今日泊まる馬ノ背ヒュッテが間近に見えている。ミヤマダイコンソウなどの高山植物も現れてきた。左手には小仙丈沢カールも見えている。 一箇所、岩場があり、そこはもしスリップすると大変なことになるため、寒くて大変だったが、ロープを出して、子どもたちを確保することにする。子どもたちも、手がかじかんで大変だったが、Hさんが途中でサポートし、1人ずつ慎重に通過してもらう。 そこを全員、無事に通過し、仙丈岳への最後の登りにかかる。右手には薮沢カールの底に仙丈小屋が見えてきた。山頂へは、カールの縁を回るように2つのピークをトラバースしていく。南西方向から冷たい風が吹いてくる。 先頭グループは、山頂に到着したようだ。最後を歩いていたSさんと、K君、I君、そして私が山頂に到着し、記念写真を撮影する。とにかく、寒いため、下山を急ぐ。慶応の中等部(らしい)の子どもたちも大勢いた。こちらの道は、ミヤマシオガマやコイワカガミなど、高山植物が豊富だ。 小雨が降っていたため、先頭グループは仙丈小屋の自炊室で休憩していたが、そこも寒いため、早めに下ることにした。薮沢の源頭に添って下り、キバナシャクナゲやクロユリ、ハクサンイチゲなど高山植物を楽しむ。I君はおなかが空いたということで、HさんやSさんと一緒に下ってもらう。馬ノ背にかかる頃には、雨もほぼ上がり、正面に鋸岳がよく見えていた。 馬ノ背ヒュッテへの分岐からヒュッテまでは5分ほどだった。ヒュッテの付近は、マルバダケブキやミヤマキンポウゲ、シナノキンバイなどのお花畑だった。小屋に早く着いたので、受付を済ませたあとは、ゆっくりとくつろぐことができた。子どもたちのトランプにも少し付き合い、カレーライスの夕食を食べる。テレビの天気予報によると、明日の北岳は午前中晴れの予報だった。天気が良かったら、明日の朝、もう一度山頂に登って、展望や御来光を楽しむこととして、早々に床についた。 ★8月3日 3時近くまで見ていたが、起床時間の3時半まで、もう少し布団に入って休む。 2人の子とMさん、Tさんは、小屋に留まるということなので、10人で山頂を目指す。出発した4時には、ヘッドランプを使ったが、すぐに明るくなり、ヘッドランプは必要なくなった。 甲斐駒の右側が茜色に染まってきた。少し急ぎ気味に登ってみたが、仙丈小屋に着いた頃、山頂が赤く染まってきた。私たちも、御来光を見ようと、小屋の少し上まで登っていく。すると、昨日登った尾根の上から朝日が差し込んできた。快晴の中での御来光を楽しみ、登山道に一列に並んで朝食とする。鮭弁当がおいしかった。HさんとSさんは、コンロでお湯を沸かしてくださり、コーヒーをいただいた。 I君は、ここで引き返すということなので、Hさんに一緒に下っていただくことにする。しかし、私たちが少し登った尾根の上の展望がすばらしいため、I君もそこまで登ってきた。中央アルプスや恵那山、御岳、乗鞍岳、槍穂高から剣立山、鹿島槍ヶ岳、そして白馬岳までの北アルプスなどが雲海に浮かんでいる。もちろん、甲斐駒や鋸岳、八ヶ岳もよく見えている。 I君、Hさんと別れ、元気組は、さらに山頂を目指す。右手には、仙丈岳の影が映っている。影仙丈だ。JちゃんやK君は、とても喜んでいる。 山頂に到着すると、南アルプスの山々が広がり、北岳の左手には富士山も見ていた。標高日本一の山と2位の山が並んで見えるのは、この仙丈岳だけではないだろうか? 北岳の右手には間ノ岳が聳え、その右奥には塩見岳が、その後には悪沢岳が山頂を見せ、その右には荒川前岳や中岳が、さらに赤石岳と聖岳や兎岳も見えたいた。360度の大パノラマを心ゆくまで楽しむ。山頂まで来なかった子どもたちに本当に見せてあげたかった。 展望をほしいままに楽しんだあとは、写真を撮りながら馬ノ背ヒュッテに向けて下る。馬ノ背ヒュッテで全員揃い、藪沢コースから下ることにする。このコースは、高山植物が非常に多い。タカネグンナイフウロやモミジカラマツなど、次々に現れる。さらに沢は変化に富んでいて、滝を落とす支沢もいくつかあった。ただ、所々、切れ落ちたところもあったため、慎重に下っていく。右岸に渡るところで休憩し、これから悪場があるということなので、子どもたちにはソウンスリングをセットしてもらう。ただ、崩れたところには迂回路ができていて、特に危険なところはなかった。 急坂を下り、大平山荘へのトラバースに入っていく。元気印のK君は、小屋まで先に行って、ザックを下ろして迎えに来てくれた。大平山荘には夏の日差しがたっぷりと降り注いでいたが、すでに仙丈岳は雲の中に山頂を隠していた。甲斐駒や鋸岳も夏雲の中に姿を隠していた。小屋でゆっくりしたあと、北沢峠に向かう。木陰の中の北沢峠は、とても涼しく、快適な場所だった。ゆっくりとくつろぎ、広河原行きのバスに乗り込んだ。 今回の仙丈岳で、「第3回自然と親しむ子ども山登り教室」は終了しました。最後の一日は、今回のどの山よりもすばらしい天気に恵まれました。山が最後にプレゼントしてくれたのでしょうか? これまでよりも、一回り人間的に大きくなったように感じる子どもたちに、これからも夢を持って生きて欲しいなと願わずにはいられませんでした。最後に、短歌を少し。 満天の星におどろく子どもらの 心にひびく流れ星かな 雲海に浮かぶ山々見わたして このまま時が止まるを願う 馬ノ背の草むらに咲くクロユリの うつむく花に心安らぐ 深山の山ふところに抱かれて 果てなき夢は峰から峰へ 記:網干 |