尾瀬・至仏山山行報告 |
NO. |
日付 |
山名 |
参加者 |
会員 | 障害者 | 2名 |
健常者 | 8名 |
1 |
平成22年5月1日〜3日 | 至仏山 | 合計 10名 | 会員外 (賛助員含む) |
障害者 | 0名 |
健常者 | 0名 |
コースタイム: |
天候: 5/1 晴、 5/2 快晴、 5/3 快晴 |
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★5月1日 バスを乗り継いで鳩待峠で降りると、さすがにひんやりしている。サングラスを忘れたKさんとMさんは、鳩待山荘で購入することができた。鳩待峠は除雪されていたが、登山道は、すぐに雪の道となる。木道も雪の下に埋もれていて、歩きやすい。 左手には、明日登る至仏山が、午後の日差しを受けてきらきらと輝いている。川上川は、澄んだ雪解け水を集めて、豊富な水量で流れている。雪解けが進んだところでは、ミズバショウがわずかに花を付けはじめていた。雪解けを待ちかねていたようだ。平坦になった雪の上をさらに歩いていくと、テントや小屋が見えてきた。 今日は、山の鼻小屋で泊まる予定だ。小屋に入る前に、暖かな日差しを受けて、ベンチで乾杯とする。小屋は空いていて、ゆったりと泊まれた。 ★5月2日 夜明け前、至仏山の山頂左手に月が昇っている。至仏山が、ほんのりピンク色に染まってきた。少し尾瀬ヶ原を歩き、雪の切れたところで、日の出を待つ。燧ヶ岳のすぐ右手から輝く太陽が姿を見せた。今日も雲一つない快晴だ。 朝食が6時からと遅いのが難点だが、事前に出発準備をすませて、朝食後、できるだけ早く出発するようにする。 軽アイゼンやアイゼンを付け、朝の締まった雪の上を至仏山目指して登っていく。樹林帯を抜けると、背後に燧ヶ岳と尾瀬ヶ原が見えてくる。燧ヶ岳の左手には、会津駒ヶ岳も見えていた。尾瀬ヶ原は、上から見ると、川に沿って木々が生育している様子が良く分かる。 山頂に向けて、広大な雪面を登っていく。Mさんが遅れはじめたが、マイペースで登ってもらうことにする。ぐいぐい直登する元気組みや、ジグザグに登る体力温存派など、思い思いに登っていく。 途中からところどころ木道が出るようになってきた。私は、Kさん、Hさんをサポートしながら、先頭で登っていく。後続がなかなか木道を登ってこないと思ったら、しっかりとアイゼンを外して木道保全に協力していたそうだ。ただ、雪と木道が交互に現れるため、アイゼンを付けなおした人もいたようだ。 こちらは一足先に、山頂に着き、展望を楽しむ。平ガ岳が間近に見え、越後三山、巻機山、そして一の倉沢の岩壁が黒々している谷川岳などがよく見える。とにかくすばらしい展望だ。 後のメンバーも10分後くらいに到着した。しかし、Mさんは、山頂まで来るのは無理ではないかとの意見が大半で、途中で待っているか、こちらが下るときに会うだろうとの判断で、大休止のあと、下りはじめる。と、そのとき、Mさんが登ってきたという声が上がり、歓声に包まれる。もう一度、山頂に戻って、全員で集合写真を撮る。そして、少し休憩していただき、下山にかかる。 下りは、楽しいシリセードが待っていた。下りが苦手だと行っていた雪山初めてのKTさんは、最初は怖がっていたが、すぐに慣れ、歩くより楽なので、すっかりシリセードファンになったようだ。新品の雨具を持ってきたMさんは、滑りたくないと言っていたが、それでは1人だけ遅くなってしまうので、みんなから励まされ(?)シリセードをはじめた。 とにかく、傾斜も強くなくて、ほどよいスピードで下れるため、見る見るうちに下まで下っていく。樹林帯に入る頃には傾斜が落ち、滑らなくなるので、歩いて下る。 山の鼻小屋で昼食タイムとする。ここでお別れのNさんは、1人で鳩待峠に向かって行った。預けてもらっていた荷物を受け取り、重くなったザックを背負って、尾瀬ヶ原の縦断に向かう。 しばらく歩いていくと、カケスが飛んできた。と思った次の瞬間、カラスがカケスに襲いかかった。カラスはカケスを足で掴み、雪面に下り立った。カラスが少し離れたが、カケスはもう飛べなくなっていた。その時、なんと今度はトビがカケスを奪いに来た。しかし、カラスはトビに渡すまいとカケスを掴んで飛び立った。激しい獲物の奪い合いを間近に見ることになり、自然の掟の厳しさを改めて感じさせられた。 長い尾瀬ヶ原の縦断は、平坦ではあるものの変化に乏しく、疲れを感じやすい。また、時々出ている木道の脇は、穴が空いたりしているので、Kさんは慎重に歩いている。 竜宮小屋の手前では、雪解けが進んだ湿原で、ノビタキやアカハラ、ヒバリなどを見つけることができた。竜宮小屋を過ぎて、さらに下田代をがんばって歩く。燧ヶ岳の下に、今日の目的地、下田代十字路の小屋が見えてきた。 ここには、小屋がたくさんあるが、営業しているのは、我々が泊まった檜枝岐小屋と弥四郎小屋だけだった。 檜枝岐小屋は、夕食にビールが1本、サービスされた。食後は、他のグループの人たちと楽しんだり、山のビデオを見たりして楽しんだ。 ★5月3日 朝食後は、沼尻に向けて、樹林帯から沼尻川に沿って登っていく。段小屋坂の付近は、沢に向かって落ちている斜面をトラバースするので、慎重に通過する。沢沿いを離れ、白砂乗越で休憩する。HさんとKさんは、Tさんから靴擦れの手入れをしてもらう。 ここから少し下ると、白砂田代だった。さらに沼尻川に沿って歩くと、沼尻に飛び出した。尾瀬沼は、一部に水面が見えるが、ほとんどが雪におおわれている。雪があるということはその下が凍っているということだ。沼の上を歩いてくる二人組も見えていた。 休憩したあと、私たちも橋を渡ったあと、沼の上を歩くことにする。行き会った二人組に聞いてみると、一部氷の薄いところもあるが、そこを避ければ、沼の上を歩けるという。彼らの足跡に沿って、沼の上を歩く。 沼の上は平坦なので、さすがに早く歩ける。沼尻から50分くらいで三平下に到着。燧ヶ岳がよく見えている。空は、抜けるような青空だ。峠に登ってしまうと、燧ヶ岳が見えないため、ここで燧ヶ岳を眺めながら昼食を取ることにする。 昼食後、最後の登りをがんばって、三平峠に着く。峠を過ぎるとまだまだ雪道は続くが、地面の出ているところが増えてきた。もしかしたらと思って探していたら、ショウジョウバカマの花を見つけた。ただ、今回見つかったのは、たった一つだけだった。 尾瀬沼まで往復したのだろうか、小さな子どもを3人連れた家族が下ってきた。靴はスニーカーで、木の枝を杖にして下っていく。他にも、スニーカーできている若者や親子を見かけたが、山を知らない危険度の高い人たちだなと思った。 水場でおいしい水を補給し、山道を下っていくと、林道に出てきた。ここからは、ところどころ雪が溶けてぐちゃぐちゃになっているが、順調に下っていく。センダイムシクイが、「焼酎一杯グイー」とさえずっている。周囲は、もう春爛漫だ。大清水では予定のバスに乗れなかったが、ミズバショウやザゼンソウ、キクザキイチゲなどを鑑賞することができた。 3日間、最高の天気に恵まれて、春の雪山を堪能できました。バスの中から桜や春の芽吹きを楽しんでいると、いつしか眠りに落ちていきました。 記:網干 |