富士山山行報告
NO.
日付
山名
参加者
会員 障害者
8名
健常者
12名
11
平成22年8月29日〜30日 富士山 合計 21名 会員外
(賛助員含む)
障害者
0名
健常者
1名
  コースタイム:
8/29 五合目(11:30)…六合目(12:05-12:35)…七合目(13:40-13:50)…
    八合目白雲荘(16:30)
8/30 白雲荘(3:05)…富士山頂(久須志神社)(6:00-6:40)…剣ヶ峰(7:50頃)…
    久須志神社(8:30-8:35)…五合目(12:20)
天候:
8/29 晴れ時々曇り、
8/30 晴後曇り

★8月29日
 山仲間アルプ設立以来、初めて「共に楽しむ登山」で夏の富士山を計画した。平地では連日猛暑が続き、千葉では水不足で野菜たちが悲鳴を上げている。しかし、登山にとってはとてもありがたい天気だ。五合目で高速バスを降りると、弱いエアコンを利かせたバス内よりも涼しかった。

 渋滞に掴まり、さらに五合目手前でなかなか進まなかったため、五合目を50分遅れで出発することになった。五合目からは南アルプスの北岳や甲斐駒ヶ岳が見えていた。八ヶ岳も見えている。しかし、五合目はすごい人だかりだ。渋谷のハチ公前の感じだろうか?

 六合目に続く林道を歩いていると、疲れた顔の人たちが下りてくる。「私たちも帰りはああなるんだろうな」という声が聞こえてくる。麓には山中湖がよく見えている。後には河口湖も見えていた。

 六合目で昼食タイムとする。ここまでのペースは演歌ペースではなく、ちょっと早めだ。速く歩くと高山病やばてることが心配。しかし、50分遅れのスタートを考えると、ゆっくりもしていられない。いつものことではあるけれど、体力を要する山だけに、やはりいろいろと考えなければならない。

 七合目から上の小屋がたくさん見えてくる。登るにつれて、一番下の「花小屋」の文字が見えるようになってくる。落石防止の大きな衝立は、富士山の絆創膏のようで痛々しい。景観を大きくこわすものだけど、安全のためには、仕方ないのだろう。

 七合目の花小屋に到着する。五合目で金剛杖を買ったKRさんとKD君のKKコンビは、小屋に着くたびに焼き印を押してもらうことになった。1回200〜300円。いったいいくつの小屋があるのだろうか?

 七合目トモエ館、鎌岩館、富士一館と過ぎる頃から溶岩の岩場となってくる。傾斜も次第に増してきた。急な階段を登ると、鳥居のある鳥居荘だ。さらに七合目最後の東洋館を過ぎると、ますます傾斜が急になる。先頭と最後尾も離れはじめてきた。

 ようやく行く手に3年前に島根県のHさんと登ったときに泊まった太子館が見えてきた。今日泊まる白雲荘は、あと二つ目の小屋だ。すぐ上の蓬莱館を過ぎると、白雲荘まではまだかなりあるように見える。「もう少しで着くよ」と励ましたいのだが、「すぐといってもいつもウソだ」という声が聞こえてくるため、躊躇してしまう。長い登りが当たり前の山では、「すぐ」というのは30分や1時間が当たり前だと思うけど、感覚は人それぞれですね。

 それでも、先頭を行くKE君はすでに白雲荘に着いたようだ。白雲荘は、半月板が目印だ。全員揃うまで外で待ち、揃ってから中に案内された。そしてすぐに夕食。夕食はカレーライスだった。お代わりしたいけど、それは言い出せなかった。テーブルに準備してあった明日の朝の弁当をいただき、寝る場所に戻る。寝るスペースは、1畳に2人くらいだ。少し、外でビールなどを飲んでから寝ることにする。深夜11時頃までは登る人や小屋に泊まる人で人通りが絶えず、うるさくて眠れなかった。さすがに夜半を過ぎる頃にはうるさい音を感じなくなったが、多少うとうとしたのだろ。

★8月30日
 しかし、今度は1時半に出発する人たちの声がうるさくて眠れず。隣では仲間の声も始まり、結局、ほとんど眠れないまま、起床時間の2時半となる。

 眠さをこらえて起きると、Tさんから今回初参加のNさんが高山病の症状で体調が悪いという。様子を見に行くと、かなり悪そうだ。私たちが帰ってくるまで小屋で待っていてもらおうと小屋の人に相談すると、他のツアーでも体調が悪い人がいて、5時40分に全員一緒に下山するとのこと。しかし、1人では心細いだろうということで、Aさんが一緒に下ってくださるとのこと。本当にありがたいAさんのやさしさに、ただただ感謝です。

 本隊は、ヘッドランプを付けて、3時過ぎに白雲荘を出発する。夜空には、オリオン座や牡牛座、スバル、そしてカシオペア、ハクチョウ座、天の川などが見られる。今日も良い天気だ。

 元祖室を過ぎ、本八合の富士山ホテルを通過する。登るにつれて、次第に東の空が茜色になってくる。麓の山中湖がよく見える。さらにトモエ館を過ぎ、御来光館を通過する。御来光には、まだ時間がある。

 九合目の手前で、御来光まで15分くらいになったので、休憩がてら御来光を待つことにする。待ち時間が長いと寒くなってくるので、少し迷ったが、迷っているうちに雲の間から真っ赤な太陽が顔を見せ始めた。バーコードのような太陽だねと言う声も聞こえたが、真っ赤な御来光はやはりすばらしい。御来光を見たあとは、山頂を目指してひたすら登るのみだ。南側を見ると、大島も見えてきた。山頂から吉田大沢側は、溶岩の色の影響か、真っ赤に染まっている。

 九合目の鳥居を過ぎると、渋滞が始まった。ゆっくりペースは返って良いかも知れないと思い、ゆっくりと登ることにする。しかし、元気いっぱいのKE君には、先に登って山頂の入口で待っていていいよという話をして、先に登ってもらった。KE君は、昨日も他の人のザックを背負って登ってくれた頼もしい中学生だ。

 最後を締めてくれたTさんがIさんと一緒に到着して、全員、山頂に勢揃いとなった。みなさん、がんばりました。

 ここで、剣ヶ峰まで行く人とここで休んでいる人で分かれることにする。その前にお釜と剣ヶ峰を背に記念写真を撮る。みんな、達成感で心が満たされているようだ。

 剣ヶ峰(お鉢めぐり)組は、そのまま出発する。白山岳をトラバースし、再びお釜の上に上がると、南アルプスの大展望が広がる。先月登った赤石岳、荒川三山を始め、日本最南端の3,000m峰、聖岳や塩見岳、白峰三山、仙丈岳、甲斐駒岳、塩見岳と農鳥岳の向こうには、中央アルプスの宝剣岳とその向こうに御岳も見えた。さらに北の方には、槍穂高連峰から伸びる北アルプスがよく見えている。八ヶ岳もよく見える。

 大展望を楽しみ、剣ヶ峰に向かう。剣ヶ峰に到着したが、展望台に上がる行列ができていてかなり時間がかかりそうだ。帰りのバス時間にあまり余裕がないので、展望台はあきらめて、伊豆半島や御前崎方面の海が見えるところで休憩する。

 富士宮口と御殿場口の登下山道に着く頃、下山の時間が心配になり、久須志神社付近で待っている人たちに先に下ってもらおうと思い、Yさんに先に行って伝言してもらうようお願いする。

 先に行ったYさんに遅れて、私たちも須走の下山口に到着した。そしたら、なんとMさんがいるではないか。これには、本当に驚くと共に、心強さを感じた。何でも、昨晩家を出て、深夜からそのまま登ってきたそうだ。白雲荘の前で2時半まで待ったが、私たちが出てこないので、すでに山頂に行ったと思い、登ってきたそうだ。Mさんが白雲荘の出発時間を勘違いしたことに原因があるが、とにかく出会えたことがありがたかった。

 ここからは、Mさんの力も借りて下山にかかる。

 若い男衆は、ぐんぐん下る。とにかく、足を踏ん張ればそれだけ疲れるので、足が滑ったら滑るなりに、足をひたすら前に出す。

 しかし、下に下りるほど後のメンバーとの差が開いてくる。先に下りたメンバーとも合流した。バスの時間に間に合わないと大変なので、時間が心配になる。小5のKD君を背負ってみるが、やはりプライドがあるので、自分の足で歩きたいようだ。とにかく、「大丈夫か?」というような声かけはせず、「よし行くぞ〜」「がんばれよ〜」という声かけをする。KD君のペースも前よりは上がって、順調に下るようになってきた。

 六合目の上で全員揃い、あとは、思い思いに、林道を歩いて五合目を目指す。もう、靴は土埃で真っ赤になっている。鼻の穴も真っ黒だったのではないだろうか?

 五合目のトイレで顔を洗い、2回のレストランで食事と麦のジュースで労をねぎらう。日本一高い山に登って、みんな充実感でいっぱいでした。お疲れさまでした。

記:網干

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