リーダー養成コース(不帰嶮)山行報告
NO.
日付
山名
参加者
会員 障害者
1名
健常者
4名
1
平成23年7月16日〜18日 不帰嶮(唐松岳〜白馬岳) 合計 6名 会員外
(賛助員含む)
障害者
0名
健常者
1名
  コースタイム:
7/16 第一ケルン(7:20)…八方池(8:50-9:00)…丸山ケルン(10:55-11:30)…
    唐松岳頂上山荘(12:45)
7/17 唐松岳頂上山荘(4:40)…唐松岳(5:00-5:20)…不帰岳1峰(8:10-8:20)…
    天狗山荘(11:20-12:00)…鑓ヶ岳(13:30)…村営頂上宿舎(16:15)
7/18 村営頂上宿舎(5:10)…白馬岳(5:40-5:55)…村営頂上宿舎(6:25-6:50)…
    ねぶか平(7:45)…白馬尻(9:35-9:40)…猿倉(10:30)
天候:
7/16 晴れ後霧、
7/17 快晴後霧後雨、
7/18 曇り

★7月16日
 夜行バスのさわやか信州号は定刻より少し早く八方に着いた。急きょ参加となった会員外のIさんと合流する。Iさんは、4年前の赤木沢に参加した超元気なおばちゃまだ。

 ゴンドラとリフトを乗り継いで第一ケルンまで上がる。途中の鎌池は、ニッコウキスゲが群落を作り、その向こうに白馬三山が見えるすばらしいところだった。

 リフト終点の第一ケルンから順調に登っていく。天気はまずまずだが、雲が多いようだ。しかし、次々に現れる高山植物が楽しませてくれる。テガタチドリ、タカネイブキボウフウ、ハッポウウスユキソウ等々。さらには、タカネバラ、クルマユリ、ハクサンチドリなども咲いていた。シラネアオイも群落を作って、たくさん咲いている。クリンソウかと思ったサクラソウの仲間は、オオサクラソウのようだ。小さなサクラソウの仲間は、ユキワリソウだろうか? ベニバナイチゴも、今が花の盛りだ。

 多くの花を楽しみながら八方尾根を登っていく。白馬三山は雲に隠れ、残念ながら八方池に写る三山は見られなかった。下の樺を過ぎ、扇雪渓を過ぎると、丸山ケルンだ。ここで昼食とする。

 尾根をトラバースすると、山荘は近いと思ったが、なかなか着かず、何度もだまされた〜と思ったころ、山荘がひょいと現れた。山荘の夕食は、カレーではなかった。明日の朝は、出発が早いため、朝食は弁当にしてもらう。

 さわやか信州号では、ほとんど寝られなかったため、明日に備えて、夕食後早々に床に入った。

★7月17日
2時頃、外に出てみると満天の星空だった。

 早朝、剣岳の上には、満月の月が輝いていた。多くの人たちが、3時ころには起き、出発準備を始めている。我々も、3時半に起床し、朝食を食べて出発する。今日は、核心部の不帰嶮を通過するため、時間に余裕を持って早めに行動したい。

 黎明の山々や、日の出、朝日を浴びた山々などを楽しみながら、まずは唐松岳の山頂に立つ。剣岳から立山、薬師岳、赤牛岳、針ノ木岳、蓮華岳、遠く鑓ヶ岳や穂高岳、そしてすぐ近くの五竜岳などが連なっている。遠くには、浅間山、八ヶ岳、富士山、南アルプスなどがよく見えている。下は大雲海だ。これから向かう、不帰嶮や天狗の頭、鑓ヶ岳もよく見えている。

 記念写真を撮った後は、不帰嶮に向かう。まずは、普通の縦走路が2峰の南峰まで続く。コマクサやミヤマシオガマが美しく咲いている。

 2峰の南峰に着くと、これから向かう北峰まではかなりの痩せ尾根であることが見通せる。ここからが核心部のようだ。両側が切れ落ちた痩せ尾根を慎重に通過する。北峰からは、かぶり気味の岩を横切るところから始まる。ロープを持ってきたので、HさんとKさんに、私と繋がってもらい、KさんがHさんをリードする形で下ることにする。他の人たちは、鎖などがあるので、ロープは使わずに下ることにする。

 次々に現れる鎖場を慎重に下っていく。ここは、2峰尾根の上部になる。しばらく下った後は、2峰をトラバースして、縦走路に戻っていく。危険箇所は過ぎたのかなと思ったが、まだ最後の尾根の下りがあった。岩の切れ目に、ぶらぶら揺れる鎖と、下までよく見える細いハシゴがかけられている。登ってくる人が終わったところで、こちらも慎重に下っていく。その後も、何ヶ所か鎖場を通過し、ようやく2峰を超えることができた。

 1峰の登りは特に問題になる箇所はない。ふり返ると、今下ってきたところを登っている人が見えるが、確かに危険マークが付くだけあって、非常に険しいところだ。

 1峰を超え、不帰キレットから天狗の大下りを登り始める。ここは、標高差300mほどある厳しい登りだ。浮き石の多い岩場に鎖がかけられている。ふり返ると、不帰嶮が1峰から3峰まで見え、その向こうに唐松岳が見えている。ここは、厳しい登りだが、ミヤマオダマキが咲き、ウルップソウやコマクサもたくさん咲いている。これらの花は、これから先、白馬岳に近づくほど、増えていった。

 天狗の大下りを登り終えたところで、休憩する。ここからは気持ちの良い尾根歩きとなる。後には、鹿島槍ヶ岳なども見えてきて、まさに稜線漫歩だ。天狗の頭に着くと、これから目指す鑓ヶ岳が、真っ白な山肌を見せている。石灰岩でできているのだろうか?

 頭で休憩するより、天狗山荘の方が冷たい水が思う存分飲めるという情報があり、そのまま通り過ぎて山荘まで行くことにする。この道も高山植物がすばらしく、私は写真を撮りながら、みんなより遅れて行くことにする。

 天狗山荘周辺もすばらしいお花畑だった。雪渓が溶けた水が流れていて、確かに冷たくておいしい水を飲むことができた。ここで昼食を食べ、ここからは雪渓登りとなる。

 白馬鑓温泉への分岐を過ぎ、鑓ヶ岳への登りにかかる。高山植物はとぎれることなく咲いていて、とても楽しい。子連れのライチョウを見ることもできた。杓子岳は、山頂に登らず、トラバースルートを使って、そのまま通過する。我々と前後して歩いていたテント泊の単独行の女性は、山頂を往復してきた。強い人だなと感心する。

 杓子岳を過ぎると、さらにすばらしいお花畑が次々に現れる。白馬連山は、北海道の大雪山に負けず劣らずの、すばらしい花の山だった。この頃には、さすがに疲れが溜まってきて、Nさんのペースが落ちてきたが、それでもがんばって登っていく。目の前の霧が晴れて、白馬岳がはっきり見えるようになった。最後にご褒美をもらえたようだ。

 ようやく村営頂上宿舎が見えてきた。小屋とテント場周辺もシナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンイチゲなどのすばらしいお花畑だ。ウルップソウやミヤマオダマキもたくさん咲いている。

 小屋の入口に着いた頃、ポツポツと雨が降り始めた。小屋に入って休憩していると、雨は本降りになってきた。雨が降る前に着いて、超ラッキーだった。夕食は、バイキングで、ちょっと食べ過ぎてしまったようだ。それでも、談話室でくつろいでいると、他の若いパーティーとも話が盛り上がってきた。私は、おもしろいお父さんと言われたが、山仲間アルプのホームページも紹介させていただいた。

★7月18日
朝食は弁当ではなく、食堂でバイキング形式で取る。4時30分からなので、食べ終わってから、Hさん、Uさん、そして私の3人で、白馬岳山頂を往復する。お花畑はとぎれることなく続いている。旭岳が間近に見え、黒部川を挟んだ向こうには、毛勝三山もよく見えている。山頂に立つと、毛勝三山の右手に能登半島が見えている。さらに、雪倉岳とその左奥に朝日岳も見える。そこから日本海まで栂海新道が続いている。

 妙高連山と戸隠も見える。浅間山もよく見え、八ヶ岳も見える。富士山は山頂を雲に隠していた。剣立山は元より、鑓ヶ岳の向こうには、鹿島槍ヶ岳や五竜岳も見える。その向こうには、槍穂高連峰も見え、360度の大展望だ。

 Uさんに見える山の説明をしたが、間違っているところもあったようだ。大展望を楽しんで、下山にかかる。

 頂上宿舎で、Nさん、Kさん、Iさんと合流し、名残惜しい山小屋を後にする。白馬岳は残雪が多い。そこかしこに雪が残っている。雪の消えた斜面は、すばらしいお花畑が広がっている。小雪渓をトラバースし、浮き石の多い斜面を下る。ねぶか平周辺は、数年前大規模な落石があったところではなかっただろうか? 注意しながら下るが、非常に浮き石が多い。

 今回の山行の最後は大雪渓の下りだ。杓子岳の方から大規模な岩崩れが起きて、雪渓の上には、おびただしい数の岩が散乱している。落石に注意しながら、ぐんぐん下っていく。下まで滑り落ちるような傾斜ではないため、靴底で滑りながら下りる。Hさん、Kさんも、ところどころで滑り、楽しみながら下りてくる。Kさんは、スーパーバッグを取り出し、尻に敷いて下っていたが、うまく滑れたのだろうか? 慎重派の人たちも無事に雪渓下りを終えた。1時間足らずの快調なペースで下ることができた。

 キヌガサソウがたくさん咲いているところを過ぎると、猿倉に到着する。トイレを借りて、すぐに出発する。

 林道に出て、オオルリやキビタキの歌声を聞きながら歩いていくと、猿倉に到着した。八方で温泉に入り、昼食を食べたいため、タクシーを呼んで、早く下りることにする。別の少人数のグループにも同乗してもらって、お互いに安く下ることができた。

 八方の第一郷の湯で汗を流し、うどんを食べてさわやか信州号に乗り込んだ。渋滞で今日中に家に着けるか心配だったが、ぎりぎり午前様になる前に、着くことができた。

 岩稜あり、大展望あり、たくさんのお花畑があり、そして大雪渓ありの、密度の濃い山でした。そして、密度の濃いメンバーに、乾杯〜!!

記:網干

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