北岳山行報告 |
NO. |
日付 |
山名 |
参加者 |
会員 | 障害者 | 6名 |
健常者 | 11名 |
1 |
平成23年7月2日〜3日 | 北岳 | 合計 17名 | 会員外 (賛助員含む) |
障害者 | 0名 |
健常者 | 0名 |
コースタイム: 7/2 広河原山荘(6:40)…白根御池分岐(7:05)…二俣(9:30-9:50)… 八本歯のコル(13:55-14:20)…トラバースルート分岐(15:05-15:35)… 稜線分岐(16:00-16:10)…北岳山荘(17:10) 7/3 北岳山荘(6:30)…八本歯分岐(7:40-7:50)…北岳山頂(8:10-8:40)… 肩の小屋(9:30-9:40)…二俣(12:25-12:55)…広河原(15:35) |
天候: 7/2 快晴後 曇り・ 霧一時雨 7/3 霧後曇り |
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★7月2日 上空を見ると、どんよりと曇っている。今日の天気予報は、曇り後雨。何とか、雨がふったり雷が鳴る前に小屋に着きたいものだが、難しそうかなと思ってしまう。 ところが夜叉神峠に着く手前から、雲が薄くなり、薄日が差すようになる。トンネルが通れるようになる5時30分まで、バスは止まって、休憩となる。ひんやりして、暑い下界とは雲泥の差があることを実感する。 トンネルを抜けると、青空が広がっている。昭和天皇が昭和32年に白峰三山を見に来たという場所から北岳や間ノ岳がよく見える。思いがけない快晴に、心が弾む。 広河原でバスを降り、これから登る北岳をしっかりと見た後、Iさんが昨晩泊まった広河原山荘まで行って、自己紹介をする。水筒を満たし、ここから本格的な登りとなる。 大樺沢は、雪解けの水を集めて濁流となって流れている。しかし、水はどこまでも澄んできれいだ。カワガラスが、流木の上で、しばらくパフォーマンスを見せてくれる。 梢では、オオルリの声が聞こえた。何と、私は今年はじめて聞く声だった。 登山道は、私が持ってきた昭文社の2000年版地図だと、二俣まではほとんど左岸を歩き、少しの区間だけ右岸を歩くことになっているが、最新版だとかなり長い区間、右岸を歩くことになっている。 野呂川を挟んだ対岸の早川尾根には、滝雲がかかっている。空は真っ青で気持ちがよいが、北岳の山頂には、雲が時折かかるようになってきた。 ミヤマカラマツやミヤマハナシノブ、キバナノコマノツメ、ミヤマキンバイなどが咲いているが、名前の分からない白い花もたくさん咲いていた。二俣が近づいてくると、シコタンソウやサンカヨウも咲き始めてきた。 二俣で軽アイゼンを付ける。雪渓は、ここから八本歯のコルに登る尾根まで続いている。順調に登り始めたが、Mさんが遅れてきた。どうも雪渓が苦手なようなため、雪渓から夏道に上がって、登ることにする。しかし、夏道は、雪渓を横切らないと上に行けないため、再び雪渓に入る。 Mさんが雪渓の上で何度も滑っているため、キックステップの要領を教えるが、なかなか飲み込めないようだ。それでも、滑り落ちないように、すぐ後を寄り添いながら登っていくと、八本歯のコルに登る急な尾根にたどり着いた。 軽アイゼンを外し、ハシゴが連続する厳しい登りをがんばる。コイワカガミがほんの一時、苦しさを忘れさせてくれる。右手には、北岳バットレスが、時折姿を見せてくれる。 八本歯のコルで、遅い昼食タイムとする。完全に霧に包まれているが、時折霧が晴れて八本歯の頭が見える。コルの南側は、シナノキンバイとハクサンイチゲのお花畑だ。クロユリのつぼみがたくさんあり、チシマアマナの咲いていた。 コルからもハシゴが続く。ハシゴが終わると、大きな岩がゴロゴロするところに出る。そこを超えていくと、北岳山荘へトラバースするコースとの分岐になる。分岐にザックなどを置いて、キタダケソウを見に行く。この季節に北岳に来たのは、キタダケソウを見ることが大きな目的のため、出会えた時の喜びは、ひときわ大きい。ハクサンイチゲとキタダケソウのお花畑を楽しみ、分岐に戻る。 ここから広い斜面を登って稜線に到着する。北岳の山頂は、明日登るので、少し休憩をした後、北岳山荘方面に向かう。ここからのコースは、北西側が切れていて、要注意の場所だ。鎖の付いた場所やハシゴを下ったりして、ようやく危険箇所を通過する。 危険箇所の途中にもすばらしいお花畑があったが、その後も、ハクサンイチゲを中心としたお花畑が広がっていて、歓声が上がる。チョウノスケソウも、咲き始めのものがいくつか見られた。 北岳山荘では、間ノ岳という部屋を割り当てられた。屋根裏のような狭いところに、男性5人が寝た。みんな寝不足で疲れていたため、夕食後すぐの19時前には眠りについた。 ★7月3日 夕食後、30分遅れで小屋を出発する。霧の日は、着ているものがびっしょりになるため、上下の雨具を着て歩きはじめる。小屋前の温度計は9℃を指していた。雨具は防寒対策にもなる。 歩きはじめると、時折日が差し込むようになってきた。もしかして、霧が晴れるのではないかと期待が広がる。厳しいところを登っていると、ブロッケン現象が見られた。初めて見た人も多かったので、とてもラッキーだった。 八本歯への分岐で小休止し、さらに山頂を目指して登っていく。山頂直下では、キタダケソウを発見。こちらは、まだ花が開いて間もない旬の花だったようだ。 霧の中で何も見えないが、全員が山頂に到着した。かわいいお地蔵さんが30年前に来た時と同じように、迎えてくれる。集合写真を撮った後は、それぞれ記念写真を撮り合う。 山頂を後に、肩の小屋方面に向けて下る。こちらも、何ヶ所か岩場を通過する。山頂では暖かくて、雨具を脱いだが、風が強くなり寒いので、雨具の上着だけを着ることにする。 こちらにはイワウメやキバナシャクナゲが多い。ミヤマタネツケバナも咲いている。 肩の小屋を過ぎ、小太郎尾根の分岐に来ると、雲の切れ間ができて、小太郎山が見えた。甲斐駒や仙丈岳は、全く見えず、鳳凰三山がもう少しで見えそうだったが、見えるまで待つ時間はないので、右俣コースを下っていく。 ショウジョウバカマの花が咲き、シナノキンバイが、一面を黄色に染める。もう少しすると、ミヤマキンポウゲも加わって、さらに黄色が増えるのだが、シナノキンバイだけでも、すばらしかった。 たくさん咲いていた白い花は、サンリンソウだと思っていたが、どうなのだろうか? 雲が切れ始めて、鳳凰三山は、すっかりと姿を現した。北岳はバットレスの中間部から上は雲に被われて全く見えない。しかし、昨日登った八本歯のコルや池山吊り尾根がよく見えるようになってきた。 長い下りをがんばり、ようやく二俣に到着する。ここでちょっと遅い昼食タイムとする。沢に下りると、雪渓の末端に穴が空き、そこから流れ出る沢水は、1分くらい立っているのもつらくなるくらい寒かった。 あとは、右岸側に一部分、厳しい箇所があるので、そこを慎重に通過して、どんどん下っていく。そして、ようやく広河原山荘の屋根が見えて、長い下りも終わった。 吊り橋を渡って、大樺沢を見上げると、山頂部分だけを雲に隠した北岳が見えた。全員、無事に下り終えて、ホッと一安心。北岳よ、また来る日まで! 記:網干 |