乗鞍岳・西穂高岳山行報告
NO.
日付
山名
参加者
会員 障害者
4名
健常者
5名
1
平成23年9月10日〜11日 乗鞍岳・西穂独標 合計 9名 会員外
(賛助員含む)
障害者
0名
健常者
0名
  コースタイム:
9/10 肩の小屋口(7:15)…肩の小屋(7:50-8:00)…乗鞍岳剣ヶ峰(9:05-9:25)…
    畳平(10:40)−西穂高口(14:10)…西穂山荘(15:45)
9/11 西穂山荘(5:55)…独標(7:25-7:35)…ピラミッドピーク(7:55-8:00)…
    独標(8:20-8:30)…西穂山荘(10:00-10:15)…西穂高口(11:30)
天候:
9/10 快晴後晴れ、
9/11 快晴

★9月10日
 ここ数日の天気予報は、コロコロ変わって、予報の難しい気圧配置であることを実感する。実際に乗鞍高原に到着すると、すばらしい青空が広がっている。登山口となる肩の小屋口で下車し、歩きはじめる。山頂が青空の下にくっきりと見え、雲海の向こうに南アルプスや八ヶ岳も見えている。

 登山道脇には、シナノオトギリやイワギキョウが咲いているものの、ヨツバシオガマは実を付け、チングルマは全て綿毛となっている。ゴゼンタチバナも赤い実を付け、今は花の山と錦秋の山の間にある、静かな実りの秋だ。

 肩の小屋で休憩し、剣ヶ峰を目指して登りはじめる。昨年の視覚障害者交流登山では、冷たい雨で全く展望がなかったが、今回はすばらしい天気で、槍穂高連峰もよく見える。手前には、摩利支天岳のピークにあるコロナ測候所がよく見える。

 イワヒバリが岩の上でポーズを取ってくれる。朝日岳の岩の道をトラバースしながら登っていくと、朝日岳と蚕玉岳(こだまだけ)のコルに着く。ここからは権現池がよく見える。その向こうには、飛騨方面が見え、左手には大日岳が見えている。

 さらに登り、頂上小屋を過ぎると、剣ヶ峰に到着する。今まで見えなかった御嶽山や中央アルプスがよく見える。中央アルプスの左手には、南アルプスが広がっている。

 山頂で休憩した後は、来た道を引き返し、肩の小屋からは畳平に向けて広い道を歩く。畳平から平湯に向かうバスの時間が心配で、少し急いだが、発車10分前に畳平に到着した。

 畳平からバスを乗り継いで、新穂高温泉に移動する。そこからロープウェイに乗って西穂高口に着く。ここから、西穂山荘に向けて登る。かなり雲が広がってきて、山々の山頂付近は雲の中に入っている。雲が日差しを遮ってくれるので、比較的涼しく歩ける。

 登山道脇には、ゴゼンタチバナやタケシマランの赤い実が目立つ。ガマズミやツリバナの実もなっている。木々の間から目指す西穂山荘も見えていた。

 我々以外にも、多くの登山者が山荘を目指して登っている。小学校低学年くらいの女の子もお父さんと一緒に登っていた。

 最後の緩やかなトラバースが始まると西穂山荘は近い。山荘の前では、多くの登山者が、くつろいでいた。受付を済ませて、小屋に入る。我々9人で、一部屋を使わせていただいた。

 私たちも小屋の前で、くつろぐ。いくつかのパーティーのみなさんと交流を図れて、とても楽しい一時だった。

★9月11日
4時前に起きると、部屋の窓から満天の星空が見え、流れ星も見えた。出発準備をして、朝食を済ませ、6時前に山荘を後に、出発する。最初のピークとなる丸山への登りは、大きな石の間を縫うように登るが、なかなかサポートのしにくいところだ。ふり返ると、手前の西穂山荘の向こうに、乗鞍岳と焼岳が見えている。西側には笠ヶ岳もよく見えている。その左下には、岩登りで有名な錫杖岳もよく見えている。

 丸山の山頂付近からは、これから向かう独標から西穂高岳への稜線がよく見える。恐竜の背中のように、いくつものピークが連なっている。東側には霞沢岳とその下の上高地が見える。遠く甲斐駒ヶ岳のすぐ左に高く見えない富士山が見えた。私たちのいるところがまだ低いために、手前の甲斐駒の方が大きく見えるのだろう?

 独標への登りにかかると、Yさんが「虹だ」という。左手を見てみると、ちぎれ雲にブロッケンが見られた。一瞬だけの自然のプレゼントに感激でした。

 独標の手前の岩稜を慎重に超えると、最後の岩場の登りとなる。三点支持を守り、しっかりとサポートして全員、独標に登り着いた。独標に立つと、西穂高岳から奥穂への稜線、そして吊り尾根と前穂高岳、そして明神岳にへの稜線がよく見える。西穂の左手には、樅沢岳の向こうに鷲羽岳が見え、その左には雲ノ平にある祖父岳、そして双六岳、その左奥に黒部五郎岳も見える。先月歩いた山が見えるのはうれしい。そして、抜戸岳から笠ヶ岳への稜線が間近に見える。そんな中で、すぐ近くに見えるピラミッドピークはやはり気になる。

 独標から先は、痩せた岩稜が続くため、視覚障害者の人たちや高所恐怖症の人には無理なため、岩場を怖がらない3人とピラミッドピークまで空身で往復することにする。

 まずは、独標の下りから気を引き締める。さらに両側がスッパリ切れた痩せた岩稜が続く。鎖なども付いておらず、慎重に三点支持を守って上り下りする。

 ピラミッドピークに着くと、西穂高岳がより一層高く聳えている。奥穂高岳も少し近づいたように見える。独標でみんなが待っているので、登山者の方に写真を撮っていただき、早々にピークを後にする。

 独標に戻ると、待っていたみなさんはソウンスリングを身体に付けて、しっかりと準備をしていた。時間を有効活用できて、ありがたかった。

 ピラミッドピークに行った人たち以外は、ロープで結び合って、私が確保して下ってもらう。順調に下り、急なところを過ぎたところで、ロープを外す。次の岩稜も順調に超えて、下っていく。

 朝、薄い雲がかかっていた上高地の大正池は、すっかり姿を現し、緑色の湖面を見せていた。

 西穂山荘で、預けていた荷物をパッキングし直し、ロープウェイの駅を目指して下りはじめる。昨晩、一緒に山荘の前で歌った人たちを追い抜き、予定どおりの時間にロープウエイの西穂高口に到着した。ふり返ると、今日登ってきた独標、ピラミッドピーク、そして西穂高岳が高く聳えていた。

 新穂高温泉には、以前、バス停近くに無料の温泉があったが、今はなくなっていたため、バスで平湯まで行き、平湯のバス停にある温泉に入ることにする。温泉で、汗を流して、すっきりして、松本へのバスに乗り込む。みんな心地よい疲れにぐっすりと眠りについていた。

記:網干

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