富士宮駅からジャンボタクシーで田貫湖まで行く。今日はすばらしい天気に恵まれ、富士山はもちろん、今日登る長者ヶ岳や天子ヶ岳、その向こうには毛無山、天子ヶ岳の左奥には、白い残雪を抱いた南アルプスの山も見えている。
田貫湖から、整備された尾根に上がる道を登っていく。尾根末端からの道と合流し、杉の植林地帯と雑木林の間の道を登る。新緑がとにかく美しい。ベンチのあるところに着いたら、木の向こうに富士山が見えた。足下には、タチツボスミレやミツバツチグリ、チゴユリ、ツボスミレ、マムシグサ、ホウチャクソウなどが咲いている。おいしそうなゼンマイもあった。
長者ヶ岳の山頂直下には、小さな小さなコケリンドウも咲いていた。長者ヶ岳山頂に着いたが、富士山は雲に隠れてしまい、時々姿を見せる程度になってしまった。しかし、富士山と反対側の西側には、南アルプスの北岳から聖岳まで3000m級の山頂が見えていた。
予定よりも1時間早く山頂に着き、昼食後は天子ヶ岳に向かう。足下にはバイケイソウの葉がたくさんあった。ツツジの仲間は、トウゴクミツバツツジだろうか?少し、花が小さく色も濃いように思うのだが? 天子ヶ岳の手前には、シロヤシオ(ゴヨウツツジ)も咲いていた。また、オニクと思ったおかしな花は、ヤマウツボでした。この稜線では、コゲラやコルリの姿を見ることができた。センダイムシクイやツツドリ、オオルリ、キビタキの声も聞こえていた。
天子ヶ岳は、ここが山頂なの?と思うような、何の変哲もないところで、一番高い場所ではなかったようだ。天子ヶ岳からの下りはなかなか急で、慎重に下った。また、富士市に住む女性が一緒に歩き、会話が弾んでいた。長者ヶ岳は、4月25日頃は、カタクリやアズマイチゲの群生がすばらしいようだ。
ヤマルリソウやツツジの花を楽しみながら下り、林道を過ぎ、ようやく車道に出た。ふり返ると、天子ヶ岳と長者ヶ岳が見えていた。最後は、白糸の滝を見て帰ることにする。白糸の滝は、なかなか迫力があって、一軒の価値ありだった。今回の山は、グレードCでしたが、変化があってあまり疲れを感じなかったのではないでしょうか?
記:網干
《参加者の感想》 感謝の言葉などは省略させていただいています。
今回の長者ヶ岳、天子ヶ岳は、久々の山行で富士山も見れて、山頂に着いたら、遠くに冬山の稜線が見れてダブルで最高でした。1日楽しませていただきありがとうございました。
記:S.Yさん
「富岳百景三島編」
千葉方面から東京駅へ向かう電車では、スカイツリーの左足元に富士は小さく鎮座していた。5月の空でこれほど富士山がくっきりと映し出されることも珍しい。それだけでも気分がいい。
こだまの車内では「車窓の右側に富士山が見えています。どうぞ車窓の景色をお楽しみください」なんていうアナウンスがあったのは、小田原あたりまで来ていたときだろうか。ブラインドの下から覗き見る風景に、東京の葛飾辺りではあんなに小さかった富士が車窓いっぱいに広がっていた。こだまから東海道線に乗り換え、三島迄きたときの富士は、右の裾野を愛鷹の峰に隠し、左の裾野だけを長く長くたおやかに広げている。昔から「三島の富士が日本一」と云うらしいが、まことに美しいと感じた。つい知らず「民謡ノーエ節」が口をついて出てきた。「富士の白雪はノーエ、・・・・・・三島サイサイ女郎衆はお化粧が長い・・・」そうだ、たおやかな稜線こそ女郎さんの襟足を思わせるではないか。してみると愛鷹は、和装きものの襟で富士の右肩を半ばほど迄覆っているようにも見えてくる。凄い発見だ。 三島の富士には色香があるのだ。「田子の浦に 打ち出でてみれば白妙の・・・」と富士を讃えている万葉人も三島の富士に色香を見出していた人がいたのではないだろうか。太宰は、随筆「富岳百景」に三つ峠からの富士を眺め「月見草がよく似合う」といっているが、三島の5月の富士にはあやめが似合うのではないかとしみじみ思う。富士からの連想は尽きない。
ああ、そう、長者ケ岳の感想でしたか、そう、「山は天気好ければ総て良し」でしょう。
記:T.Yさん |