個人山行(権現岳)報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 0名 健常者 2名
平成26年3月21日~22日 権現岳(八ヶ岳) 合計 3名 会員外 障害者 0名 健常者 1名

コースタイム:
3/21 天女山入口(9:30)…天女山(10:05)…標高2,000m(12:15-12:40)…前三ツ頭(14:05)テント泊
3/22 テント場(4:55)…三ツ頭(5:50)…権現岳(7:30-7:45)…テント場(9:30-10:50)…
   天の河原(12:25-12:35)…甲斐大泉駅(13:45)

天気:
3/21 晴れ後曇り後霧一次雪
3/22 快晴

★3月21日

 昨日の雨が上がり、関東は良い天気だった。小淵沢に着いても天気は良かったが、山の方は雲に覆われていた。

 

 登山口となる天女山入り口でタクシーを降り登り始める。天女山では、天気は良いものの、何とか三ツ頭が見える程度でその上は雲に隠れている。南アルプスや富士山も見えない。それでも暖かな日差しを受けて登っていく。今日は、会員ではないが、大学を卒業して就職が決まっているKNさんが参加して、テントなどを持ってくれている。100リットルのザックを背負い、いくらでも持ちますよと、心強い。途中でKSさんの装備も一部持ってあげていた。

 

 天の河原を過ぎ、緩やかに登っていく。そして、前三ツ頭への急登が始まる。雪も降り始めてきた。今朝、日帰りで登った人たちが次々に下山してくる。どこまで行ったか聞くと、多くのパーティーが三ツ頭を過ぎたところで、強風のため、引き返してきたという。昨日、権現岳の山頂に着いた人は、下ることができず、山頂でビバークして下山してきたという。我々も、今日は前三ツ頭でテントを張ることにする。

 

 急登を終えると前三ツ頭に到着する。雪は止んでいるが、時々地吹雪がおそってくる。平坦なところを探してテントを張ることにする。4隅を竹ペグで固定する。KSさんもKNさんも竹ペグの使用ははじめてなので、教えながら設営するる。ポールを出してとKNさんに頼んだが、ポールは入っていないという。ここではじめてポールを忘れたことに気づく。仕方ないので、ポールなしでテントを固定することにする。

 

 ポールのない居住環境の悪いテントの中にテントマットを敷き、ザックなどを入れる。そして、みんなが入って水作りと夕食作りを始める。3人の頭で天井を押さえ、コンロを焚く。KNさんが持ってきたモンベルのコンロは、コンパクトで専用のコッヘルを使うとすぐにお湯が沸く。ただ、水作りには小さくて適さないので、古いコッヘルで水を作る。お湯も作ってテルモスに入れて、明日に備える。

 

 夜半、強風でテントが終始はためいていて私とKNさんはほとんど眠れなかったが、KSさんはしっかりと眠れたらしい。すごい強心臓に敬服です。

 

★3月22日

 3時過ぎに起床。簡単な朝食を済ませ、お湯をテルモスに入れて、テントを出発したのは、4時55分。起床してから2時間近くかかった。テントの中は、0℃くらいだったが、外気温は-13℃。標高2,300位の雪山はまだまだ寒い。

 

 シュラフなどをテントの中に残して出発する。もう、東の空があかね色に染まり始めている。上空には明けの明星がひときわ明るく輝いている。

 

 KNさんに先頭で歩いてもらう。三ツ頭への登りで、KSさんが自分が足を引っ張っては申し訳ないから引き返すという。しかし、今のペースで十分だし、何も問題はないから登りましょうと声をかける。

 

 三ツ頭に到着すると、樹林の間からご来光が見える。周囲の空があかね色に染まって美しい。これから登る権現岳も見えて、うっすらピンクに染まっている。赤岳や阿弥陀岳もよく見える。南に目を向けると、富士山がいつもながらの端正な姿で佇んでいる。樹氷も朝日を浴びて輝いている。太陽の力はたとえようもなく偉大だ。

 

 三ツ頭を過ぎたところにあるコルにはテントを撤収して、出発準備をしているパーティーがいた。周囲の樹氷はとても美しい。そして、ここから権現岳山頂への登りが始まる。樹氷の間を縫うように登り、ちょっとした尾根の岩場を下り、最後の雪の斜面へと向かう。以前は、雪壁を登った記憶があるが、トレースは雪の斜面をトラバースしている。

 

 慎重にトラバースし、2mほど上がると、権現岳山頂の二つの岩が見える。あとは、雪の斜面を登ると、山頂に到着する。山頂には祠があった。岩と岩の間が山頂で、標識があった。赤岳の左側には、横岳、硫黄岳も見えている。遠くに、北アルプスや乗鞍岳、御岳、中央アルプス、南アルプスもよく見えている。雲一つない最高の展望を楽しみ、記念写真を撮って下山にかかる。トラバース手前の急な雪の斜面が少し心配だったので、ロープでつなぎあって下り始める。

 

 みんな特に問題なくトラバースを終える。これから先は煩わしいだけなので、ロープを外して、どんどん下って行く。振り返ると真っ青な空と真っ白な雪のコントラストがすばらしい。

 

 テントを撤収し、ぐんぐん下る。天の河原で少し休んだが、そろそろ小海線の電車の時間が気になりだしてきたので、ゆっくりすることができず、どんどん下ることにする。天女山入口に着き、すぐに舗装道路を甲斐大泉駅目指して早足で歩く。無事に、甲斐大泉の駅について、小淵沢行きの電車に間に合った。

 

 いろんなことがあったので、初めての冬山が大学の卒業旅行になったKNさんには、思い出になったのではないだろうか。ひさしぶりの少人数の登山だったが、無事に山頂に登れたことを山に感謝して、家路についた。

 

                                                                 記:網干