実施日 | 山名 | 参加者 | 会員 | 障害者 | 0名 | 健常者 | 5名 |
平成26年5月3日~5日 | 白馬岳 | 合計 6名 | 会員外 | 障害者 | 0名 | 健常者 | 1名 |
コースタイム: 5/3 猿倉(8:35)…白馬尻(10:00)…白馬山荘(16:35) 5/4 白馬山荘(7:30)…白馬岳(7:50-8:15)…小蓮華岳(9:50-10:00)…白馬大池山荘(11:10-12:00) …蓮華温泉ロッジ(14:30) 5/5 蓮華温泉ロッジ(6:30)…ヒワ平(9:45-10:00)…木地屋(12:20) |
天気: 5/3 晴れ後吹雪、 5/4 晴れ後曇り、 5/5 雨後曇り |
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★5月3日 昨晩、新宿発の夜行バスに乗ったが、大渋滞の最中にバスのフロントタイヤから煙が出ていると八王子のバス停で緊急停止。乗客全員がバス会社の手配したタクシーに分乗して目的地に向かう。猿倉まで行ってくれたタクシーのメーターを見たら89,000円を超えていた。バス会社も大変だなと思う。
猿倉で兵庫県から来たYさんと合流し、素晴らしい好天の下で歩き始める。最初から残雪が多い。クロジのさえずりが良く聞こえる。
白馬尻の小屋は、雪に埋もれていたようで見つからなかった。白馬岳主稜を見ると大勢の人たちが登っていくのが見える。次の休憩で、今回初めて一緒に登山をするTさんに、グリセードの仕方を教える。
長い雪渓登りは、日差しもあってなかなか暑い。しかし、稜線方面を見ると次第に雲がわき上がってきた。午後一時的に崩れるという天気予報が当たりそうだ。この頃の気温は9℃ほどだった。
大雪渓が右手に曲がる惣平付近から傾斜が急になる。この頃から周囲が霧に包まれ始める。少し登ったところで、全員アイゼンを付ける。上から下りてくる人に聞くと、稜線はかなりの強風らしい。急斜面を登っていると雨が降り出してくる。Nさんが体力的にきつそうで、なかなかペースが上がらない。ゆっくりだが確実に標高を稼ぎ、次第に傾斜も落ちてきた。しかし、風は次第に強くなってくる。前方にいる単独の登山者が、ヤッケを脱いで一枚着込んでいる。風と雨では、軽装では厳しいが、この悪天候の中で、ヤッケを脱ぐのもかなりのリスクを伴う。
私も薄手の手袋で登ってきたので、雨で濡れて非常に冷たくなってしまった。みんなにも声をかけ、手袋を替えた方が良いことを伝える。私はオーバーミトンも付けた。周囲はホワイトアウトで何も見えない状況だ。前に登った登山者のトレースだけが頼りの登りが続く。
稜線に出たのか風が非常に強くなってきた。しかし、村営頂上宿舎は見えない。少し空が明るくなり、一瞬右手の視界が開けた。そこは尾根の切れ目で、その先に向こう側の山腹が見える。残念ながら場所の同定はできなかった。先ほどまでの雨は細かい雪に変わり、来ているものをどんどん凍らせていく。早く小屋に着かないとどんどん厳しい状況になることを心配するが、ペースは上がらない。
それでも、風に飛ばされないように、何度も耐風姿勢を取りながら登っていくと、目の前に建物が見えた。村営頂上宿舎かなと思ったが、すぐに霧に包まれて見えなくなった。さらに進むと、再度建物が目の前に現れ、それが白馬山荘であることを知る。しかし、強風にあおられ、わずか20m位の距離もなかなか進まない。私は先に行くCさんの後を登るKさんのザックを押して、小屋の方へと導く。後で聞いたら、行く方向を分かっていても強風でそちらに行けなかったそうだ。最後尾は、TさんとYさんがNさんのサポートをしてくれている。何とも頼もしい二人だ。私も、小屋に着いてからNさんを迎えに行く。ザックを持ってあげたいが、それさえもできないほどの強風だ。最後、Nさんは這って小屋の入り口にたどり着いた。
小屋に入るとそこは天国だった。少ししたら、前髪につららをたくさん垂らした男性が入ってきた。彼も這々の体で小屋に飛び込んできた一人だ。
小屋の中は暖かかったが、泊まる部屋はものすごく寒く、朝、小屋前の廊下は-3℃だった。それでも、夜は他のグループの人たちに山の歌を歌ってあげた。今は、歌う人がほとんどいないので、お礼を言われてしまった。
★5月4日 昨日の夕方から天気が回復し、今日は素晴らしい天気だ。未明まで強風が吹いていたが、日の出の頃にはかなり静かになっていた。私は、旭岳方面から白馬岳の写真を撮ろうと、みんなが出てくる前にひとっ走り旭岳に向かう。今まで見えなかった鹿島槍ヶ岳も見えてくる。白馬岳は今まで見たことがない、ちょっとずんぐりした山に見えた。
あまり時間をかけるわけにいかないので、山頂の手前で引き返す。小屋でみんなと交流し、白馬岳山頂を目指す。山頂は360度の大展望。鹿島槍ヶ岳や槍穂高連峰も見えている。剱岳はもちろん、その右には加賀の白山も見える。北に目を転じると、雪倉岳や朝日岳が見え、西側には頸城山群や戸隠の山々、さらに東から南を見ると、上越方面から四阿山、湯ノ丸山、浅間山、八ヶ岳、富士山、南アルプス、中央アルプスと見える。白馬岳の主稜を登る人も見下ろせる。
山頂で集合写真を撮った後は、名残惜しい大展望を後に、下山にかかる。この付近は、好天に恵まれた今日は、天国のように気持ちよい場所だ。風は少しあるものの、昨日の強風に比べたらそよ風だ。少し登り返して、小蓮華岳の頂に立つ。わずかの距離だが、頸城山群が近づいて見える。
船越ノ頭から傾斜の緩い雷鳥坂を下って一面雪原となっている白馬大池の小屋に着く。ここで少し早い昼食タイムとする。ここから先は、まだ歩いたことのない未踏のコースだ。思ったよりも樹木の生えていない急斜面のトラバースなどが多く、なかなか厳しかった。途中の樹林帯で、滑落停止訓練をしてとても良かった。かなり下ってからの斜面で、スリップしかけたKさんが、滑落停止で自分の体を止めた。Tさんの補助もあったが、滑落停止がかなり効いていたようだった。
長い下りを終えて、ようやく蓮華温泉ロッジに到着する。しかし、この付近はまだ春には遠く、深い雪に閉ざされている。これでは、タクシーなどとても入れないなと思いながらも、小屋の人に聞くと、タクシーは5時間ほど歩いた木地屋の1kmほど上(手前)でないと除雪されていないので、乗れないという。明日は雨の予報だが、雨の中を5時間歩くのはきついが、帰るためには歩かないわけにはいかない。
★5月5日 夜、林道を埋めている残雪がどんな状態なのか心配で、眠れなくなった時間もあったが、それでも疲れていたので、十分に寝ることができた。
小屋の方に別れを告げ、雨の中を歩き始める。小屋の方は、もうピッケルは入らないからしまった方が良いと言っていたが、林道にうずたかく積もった雪は、片側が急傾斜で切れて、谷底へと落ちている。踏み跡があるので、滑らずに通過すれば問題はないが、もしも滑ったら滑落停止もできないので、みんなにピッケルを持って通過してもらう。
何カ所かそんな危険箇所を通り過ぎ、ようやく比較的平坦で歩きやすい雪道になってきた。しかし、まだまだ周囲の木々は芽吹き前で春は遠い感じだ。展望の良いヒワ平を過ぎると、所々でミズバショウを見かけるようになる。雪解けを待ちかねたようにフキノトウも目を覚ましている。まだ氷が一面残っている白池の周囲はきれいなブナの純林だ。小屋の方から教えてもらったとおり、白池を過ぎたところからAuの携帯電話がつながった。タクシーは1台しかないため、往復するというので、男性陣3人に先に下ってもらう。
タクシーには入れるところまで来て欲しいと依頼したのに来ていない。男性陣はそこで待っていたので、タクシーに出会うまで歩きましょうということで、雪が溶けた舗装道路を痛い足を我慢して歩く。木地屋付近まで来ると、ようやく新緑の木々が増えてくる。タクシーの運転手さんは、奥まで入ることを聞いていなかったと、木地屋で待っていた。
話の通じない運転手さんに説明するのを最小限に控え、先発組は駅に着き、姫川温泉に入る。後発組は木地屋の食堂でそばを食べる。
2時間に1本くらいしか走らないローカル線に乗って南小谷に向かう。ここは、上越の上杉謙信が、海のない国に住む敵陣の武田信玄に塩を送ったこと(敵に塩を送る)で有名な塩の道。越後生まれの私は、そんな越後の武将を誇りに思う。自然豊かで、桜の咲くのどかな里の風景を見ながら、そんなことを思い帰途についた。
記:網干 |
個人山行(白馬岳)山行報告