鷹ノ巣山山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 2名 健常者 5名
平成26年12月26日~28日 燕岳 合計 7名 会員外 障害者 0名 健常者 0名

コースタイム:
12/26 宮城(11:00)…観音峠(12:50-12:55)…中房温泉(15:30)
12/27 中房温泉(7:00)…第3ベンチ(9:25-9:35)…合戦小屋(11:20-11:45)…燕山荘(13:35-13:45)
    …燕岳(14:35-14:45)…燕山荘(15:25)
12/28 燕山荘(7:15)…合戦小屋(8:15-8:30)…第3ベンチ(9:20-9:30)…中房温泉(11:05-11:25)
    …宮城(15:30)

天気:
12/26 曇り
12/27 快晴
12/28 快晴後晴

★12月26日

 当初の予定は27日から29日だったが、26日から28日に変更して欲しいという意見があり、要望通りに変更したが、結果的にはこれが大正解だった。天気予報は、今日が曇り一時雪、27日が晴れ、28日が晴れ後曇り、29日が雨となっている。予報通りの気圧配置となり、寒気も影響しなければ最高の冬山登山日和となりそうだ。それを期待して、有明駅からジャンボタクシーで宮城へ向かう。

 

 雪のない季節なら中房温泉まで簡単に車で入れるのだが、冬は宮城までしか入れない。ここから長い車道歩きとなる。空はどんよりとした曇り空。雪道だがアイゼンは付けずに歩いて行く。

 

 有明山の表参道を過ぎ、一ノ瀬第4発電所からはジグザグの登りとなる。きつい登を追え、トンネルを過ぎると観音峠だ。この車道を作る際に殉職した人を奉った観音様がある。峠とはいうものの、ここからもさらに登りが続く。

 

 ようやく信濃坂第5発電所に到着。ここからきつい信濃坂となる。が、思ったほどきつくはなかった。しかし、せっかく登ったのにかなり下る。また登り返して、合戦尾根が見えるようになると中房温泉は近い。ここまでずっと0.2km毎に道標があり、ありがたかった。

 

 中房温泉付近の道路は雪が溶けている。温泉の暖かさで溶けるのだろうか?

 

 中房温泉について受付を済ませる。12年前に来た時は、こたつ以外に暖房がなく、こたつに入って寝た記憶があるが、今回は、各部屋にこたつの他にストーブもある。とてもありがたい。温泉に浸かって、歓談と夕食の後は、早々に床につく。

 

★12月27日

 今日は、今回の登山の一番主となる日だ。3時頃、外に出てみると、星がきれいだったが、ちらちら雪が顔に当たった。天気予報が当たってくれるのか心配になる。

 

 中房温泉の中の気温は0℃。朝食の時、燕山荘から情報が入り、稜線は強風で-20℃だという。晴れているそうだが、さすがに気温が低い。

 

 全員、中房温泉の外でアイゼンを付けて出発する。登山口からいきなりの急登をがんばる。いつもペースを落とすように努力しているのだが、昨日も後ろとかなり距離が開いてしまった。今日は離れないように、Kさんに2番目に来て歩いてもらう。意識して演歌を歌いながらゆっくり登る。

 

 最初は日が当たらず寒かったが、太陽が当たるようになると暖かくなる。寒くはなく、汗をかかない程度のペースを作って登るように心がける。また、汗かきの人はできるだけ薄着になってもらう。冬山で汗をかくとその後冷えるので、注意が必要だ。

 

 第1ベンチ、第2ベンチと過ぎ、第3ベンチで少しゆっくり休む。今日は、燕山荘の燕岳登頂ツアーの人たちと、同じようなペースで登っていく。

 

 富士見ベンチは標識が隠れていた。麓に雲が多く、富士山はまだ隠れていたが、八ヶ岳が何とか見えていた。

 

 さらに登ると、視界が少し開け、左手に大天井岳方面が見えてくる。ようやく傾斜が落ち、緩やかに登っていくと、合戦小屋に到着する。ここで昼食タイムとする。このコース、ずっとトレースがあったが、深い雪をかき分けてくれた燕山荘のみなさまにただただ感謝です。トレースがなければ、1日で登ることは不可能でした。

 

 合戦小屋に着くと視界は開け、さらに合戦の頭へ登り始めると、八ヶ岳から富士山、南アルプスまでとてもよく見えた。雲は完全になくなったようだ。

 

 さらに少し登ると槍ヶ岳も見えてくる。ひときわ高く、やはり北アルプスの盟主だ。真っ青な空の下で、高みを目指す。合戦の頭に着くと、餓鬼岳や針ノ木岳、蓮華岳が見えてくる。これから登る燕岳と燕山荘も見えてくる。稜線に立てばさらに多くの山々と出会える。気持ちも高鳴ってくる。

 

 Fさんから聞いていた「おほめの松」に気づかず通り過ぎてしまった。帰りのお楽しみにしよう。

 

 冬期ルートの最後の急坂を登ると、燕山荘の裏手に出る。槍穂高連峰から笠ヶ岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳など、多くの山々が一気に見えるようになる。

 

 燕山荘にザックを置いて空身で燕岳を往復する。ただ、Sさんは体力的にきついので、山頂へは行かずに山荘で待っているという。十分に行けると思うのだが、本人の気持ちを尊重する。

 

 ストックでないと危険な全盲のFKさんと、ピッケルの使い方をマスターしていない弱視のFYさんと3人でアンザイレンして、山頂に向かう。

 

 ほとんど無風快晴、冬山としてはこれ以上ない天気に恵まれて山頂に到着する。すぐ近くの北燕岳の向こうに剣岳と立山が見えてくる。その右手には、針ノ木岳、蓮華岳、鹿島槍ヶ岳も見える。南に目をやれば、野口五郎岳方面から槍穂高連峰、大天井岳、常念岳、そして遠くに南アルプス連山、富士山、八ヶ岳、浅間山、四阿山、戸隠から妙高の山々まで、360度の大展望だ。冬山でこんなすばらしい景色に出会えるのは、一生にそう多くはないだろう。最高の景色に出会えたことに感謝の気持ちを持ちたい。

 

 来た道を燕山荘に戻る。イルカに似た岩も教えてもらい、槍ヶ岳を見ながら戻る。

 

 少しくつろいでから、夕日に染まる山を撮影するために小屋の外に出る。夕日に照らされた燕岳や遠くの鹿島槍ヶ岳、そして近くのシュカブラを楽しみ、シルエットとなった槍ヶ岳も楽しませてくれる。

 

★12月28日

 モルゲンロートに染まる山々を撮りたいと多くの人が小屋の外に出る。私も、Fさんお勧めのヘリポートの方に行って日の出を待つ。朝日は蓼科山のさらに左側から出てきた。槍ヶ岳よりも先に燕岳がきれいに染まった。場所を山荘の玄関前に移動し、何枚か写真を撮る。その後、ヘリポートの場所に戻り、槍ヶ岳を中心に写真を撮る。

 

 これだけの好条件に恵まれることは非常に珍しく、小屋の方も写真撮影に力を入れていた。

 

 集合写真を撮って、名残惜しい燕山荘を後にする。これから向かう合戦尾根は雪煙が舞い、朝日に照らされて輝いている。山荘からすぐ下の斜面は滑落したら危険なため、FKさん夫婦とアンザイレンして下る。

 

 地吹雪の舞う合戦尾根は、なかなか厳しい山を歩いているように感じる。登りの時に通り過ぎてしまった「おほめの松」をFさんから名残惜しい槍ヶ岳に別れを告げて、合戦小屋へと下って行く。いつものことだが、下りは早い。登りの2倍近いペースで下って行く。登りのトレースを崩さないように、を前の人の滑った短縮コースを利用してシリセードも活用して下る。

 

 中房温泉でスパッツなどを外し、長い林道を歩く。来る時はどんより曇っていたが、今日は快晴だ。振り返ると稜線が見える。少し前まであそこにいたんだなと、感慨を深めて、歩を進める。

 

 Fさんお勧めのくるまやのそばを食べたかったが、予定時間をオーバーし、食べていると予定の電車の乗れなくなるので、そばをあきらめてタクシーを呼ぶ。

 

 タクシーの運転手さんが、今日は12月に入って一番良い天気だったという。好天に恵まれたおかげで、登頂できたことを感謝しつつ、大糸線の電車に乗り込んだ。

 

 これで、今年の登山は全て終わりです。無事に終えることができたのは、みんなの力であり、いろんな方のおかげです。本当にありがとうございました。

 来年も無事に登山を楽しめるように、がんばりたいと思います。

 

                                                                 記:網干

 

 

《参加者の感想》

 ありがとうございました。私達の入山を許可してくださった、燕岳さん、太陽さん、お月さん、素敵な3日間でした。
 そして F夫婦を その3日間に導いてくださった リーダーはじめ皆様、本当にありがとうございました。感謝の気持ちで一杯です。
 夏の間はバスですんなり通ってしまう宮城ゲート~中房温泉・スイカも食べられない合戦小屋までの合戦尾根は、登りもくだりも、雪道は汗と鼻水で大変でした。そんな思いも頂上にたったら自然の美しさに感動し どこかに吹き飛んでしまいました。

 今年最後の 山を飾ることができました。
 後わずかで今年もおしまいですが 皆さまお体を大事にお過ごしください。

                                                              記:Y.Fさん

 

 今年最後の山は冬の燕岳へ。

 11月30日までは登山口までいけるのが、林道ゲートから12キロも歩く。大の苦手な気が遠くなるような林道歩き。想像すらできなかった。しかし、そこにいって歩き始めると景色が変わる。意識も変わってくる。

 時間の概念からはずれて、中房温泉到着。温泉が体に温かくて幸福感ばっちり。しかし、今日は序章に過ぎない。明日が本番。距離約5.5km 標高差 約1,260m。

 27日快晴。燕岳は私たちを歓迎してくれたようだ。光の中へ入っていく。銀世界の中、異次元の世界へ、どんどん入っていく。山は歓迎してくれているのに息も切れ切れ、とにかくゆっくり歩いて標高を稼ぐ。歩いていればつくというのは間違いはないはずと自分に言い聞かしながら、歩みを続ける。汗をかいてはいけないと衣服調整は重要なカギになる。リーダーはみんなに聞いている。汗をかいてないか、寒くないか、暑くないか。リーダーはテントでも張るような装備で重そうだ。しかし、相変わらず早い。何度かワープしたようだ。

 樹林帯をぬける合戦小屋からの強風を心配していたが、無風。トレースもしっかりついている。合戦尾根も無風。槍ヶ岳がすごく近くに見える。遠くには富士山も。パノラマで日本の名峰がずらりと整列している。すごい、すごい。

 燕岳へいって帰り、山荘へ入ると「お疲れ様」というスタッフの言葉。ふと力が抜けた。

 夕焼けに染まる槍ヶ岳がそれはもう素晴らしく、ここはどこだ?という気持ちになる。何度かここに立っているが、山は姿、形を変えずに同じ場所に鎮座している。仏像のようだ。

 3日目は下山。5.5キロ+12キロ。中房までは転がりながらあっという間に感じたが、ここからがわたしの覚悟のスタート。12キロの林道歩きがちゃんと待っている。歩く、歩く。ひたすら歩く。前に体重がかかり、だんだん足先が痛くなってくる。靴のひもを結びなおす。ゲートに着いたときはやったね、と気持ちは晴れ晴れ。なんでそんなことが楽しいのかといわれるが、これは歩いてみないとわからないものですね。

 今年もよく山を歩かせていただきました。また山にいくの?といいながらも見送ってくれた家族に感謝します。そして、つらい顔もせず、それぞれの個性をつぶすことなく、笑顔で(時にはこわい顔してましたけど)山へいざなってくれるAリーダー、今回一緒に励ましあいながら同じ時間をともに過ごしてくれた仲間に感謝します。ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

                                                              記:S.Kさん