実施日 | 山名 | 参加者 | 会員 | 障害者 | 2名 | 健常者 | 8名 |
平成27年5月30日~31日 | 甲武信ヶ岳 | 合計 11名 | 会員外 | 障害者 | 1名 | 健常者 | 0名 |
コースタイム: 5/30 西沢渓谷入口(6:40)…戸渡尾根(10:05-10:20)…木賊山(13:50-14:10)…甲武信小屋(14:15) 5/30 甲武信小屋(7:10)…甲武信ヶ岳(7:40-7:55)…千曲川水源(9:10-9:20)…ナメ滝(11:10-11:20) …毛木平(13:30) |
天気: 5/30 晴れ 5/31 晴れ |
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☆5月30日 今回は、早朝に都内を出発しても甲武信小屋への到着が遅くなることが予想されたため、前日に塩山まで来て泊まり、塩山を早朝出発することとした。
すごいスピードで飛ばすタクシーの運ちゃんに身を任せ、西沢渓谷入口で下りる。天気も良く、さわやかで気持ちよい空気に包まれる。今回は聴覚障害のあるWさんが初参加だ。KRさんも久しぶりの参加となる。
西沢渓谷に向かう林道を進む。ねとりインフォメーションでトイレを済ませて、林道を少し歩いたところから近丸新道に取り付く。徳ちゃん新道は近丸新道との合流点手前に痩せた岩尾根があるため、近丸新道を選んだが、こちらは沢に沿った登山道のため、何カ所か片側が切れて滑りやすい箇所もあったため、徳ちゃん新道の方がまだ危険度が低かったかなと反省する。しかし、みなさんの適切なサポートのおかげで危険箇所も順調に通過する。
古いトロッコの軌道があるが、昔の人は良くこんなところに軌道を作ったものだと感心する。こんな山奥まで入らなければ良い木がなかったのだろうか?
ようやくトラバースが終わり、ヌク沢にかかる小さな木の橋を渡る。そして戸渡尾根に登る急坂の尾根に取り付く。新緑にヤマツツジが映える。オオルリやミソサザイの声がこだまする。
登るにつれ、木々の間から富士山が見えるようになり、ヤマツツジに代わってミツバツツジが咲くようになる。そしてこの山の主役、アズマシャクナゲが咲き始めてくる。樹林の切れたところからは黒金山や国師ヶ岳も見えるようになってきた。
戸渡尾根の徳ちゃん新道との分岐に10:05に到着。シャクナゲはここからが本番だ。ルリビタキやメボソムシクイなどの声を聞きながら登る。聴覚障害のWさんには、KSさんとEさんが対応してくれる。
シャクナゲのトンネルは1時間以上続いただろうか? 色の濃い花や薄いピンクの花、それぞれの個性で咲いているようだ。Nさんが初めて足をつる経験をしたが、Eさんの持参している漢方薬ですぐに快復した。
展望の良い岩場に出る少し下で、シナノコザクラを見つけた。とてもラッキーだったが、一歩間違ったら転落してしまう危険なところに咲いているため、正面から花を撮ることはできない。KRさんが私の腕を持ってくれたので、少し身を乗り出して写真を撮ることができた。
展望の良い岩場からは、国師ヶ岳や朝日岳、金峰山が良く見える。足下にはコイワカガミも咲いていた。林床にはコミヤマカタバミやバイカオウレンも咲く。しかし、この付近にはもうシャクナゲはなかった。
少し登ると奥秩父主脈縦走路に着く。まだ少し残雪がある。少し登ると全く展望のない木賊山に着く。しかし、ここは三等三角点の山だ。立派な標石がある。
木賊山からの下りにはザレ場がある。ここが今日一番展望の良いところ。明日登る甲武信ヶ岳は間近に見え、金峰山と甲武信ヶ岳の間には、残雪を抱いた八ヶ岳が見える。
甲武信小屋に着くと、Fさん夫妻とKMさん、Wさんで甲武信ヶ岳山頂を往復してくるという。天気予報も良くなったので、明日で良いと思うが、今日登ってみたいというFさんにみなさん付き合ってくれたようだ。
残ったメンバーは、全員ではないが、いつものように小屋の前で、コーラスグループに変身する。他のグループも楽しそうだと仲間に加わり、夕食時間まで楽しく過ごす。
☆5月31日 甲武信小屋からは日の出が見えないと思っていたが、2階の部屋から真っ赤な太陽が見えた。 朝食を食べ、出発準備を進めていたが、KRさんの体調が優れないという。気持ちが悪くて動けないようだ。出発予定が1時間ほど遅れているので、ヘリを呼ぶことも考えたが、がんばって起き上がってくれた。
昨日一緒に歌を歌った男性たちと甲武信小屋のとくさんと一緒に小屋の前で写真を撮らせていただいた。
体調の悪いKRさんには空身で歩いてもらい、ザックの荷物をFさんと私で分担して持つこととする。ゆっくりペースながらも着実に登りはじめる。シラビソの林を抜けると展望が広がる。山頂部に少し雲を載せた富士山がよく見える。ただ、昨日よりは雲は多い。でも週間予報は雨だったので、すごく得をした気分だ。
山頂に着くと、ほぼ360度の展望が広がる。金峰山は山頂部を雲に隠していたが、国師ヶ岳はよく見える。これから向かう千曲川水源方面や男山、天狗山も見える。小川山も見える。ただ、八ヶ岳は雲に包まれていた。
山頂で集合写真を撮って下山にかかる。最初はガレ場を下ることになる。少し下ると道は良くなり、国師ヶ岳方面との分岐に到着する。ここから千曲川源流方面に下って行く。
奥秩父らしいうっそうとしたシラビソの原生林が続く。下って行くと千曲川の水源に到着する。冷たい水がわき出ていた。ここから日本一長い信濃川を経て日本海へと注いでいる。長い旅の始まりだ。
源流からわき出た水は、千曲川の西沢となって流れて行く。その流れにそって登山道は付けられている。途中で、キバナノコマノツメと名前のよく分からないスミレ(ミヤマスミレか?)がたくさん咲いていた。
KRさんには、KMさんとNさんが前後についてしっかり見守ってくれている。私は予約したタクシーの時間を考慮しつつ、急ぐ必要もあるため、少し前を歩く。しかし、風邪気味だった体調が悪化してきたのか、緩やかな下りもきつくなり、ザックが肩に食い込むように感じる。ナメ滝も過ぎてそろそろ林道かという頃、KSさんがザックを代わって持ってくれると行ってくれたことがありがたかった。
林道に出ると、歩みも早くなる。タクシーの時間より30分前に毛木平に到着することができた。私は寒気がするので、直射日光の当たるベンチで横になって休む。
信濃川上で電車に乗ろうとすると、ホームで昨日、甲武信小屋で一緒に歌ったグループと一緒になる。またどこかでお目にかかれることを期待して、それぞれ電車に乗り込んだ。日本一標高の高いところを走る小海線の車窓から八ヶ岳の風景を楽しみながら、帰途についた。 記:網干
《参加者の感想》 今日は手話講習の先生でもある、友人のWさんを誘って彼女が切望していた甲武信岳へ。行く前から登れるだろうか?と心配していた彼女は意外に余裕しゃくしゃくのようでシャクナゲのトンネルを楽しんでいました。
甲武信小屋前での宴、わたしはWさんを歌の場所に誘いました。聞こえないから、誘わないじゃなくて、その場を楽しんでほしかったからです。Aリーダーは笑顔で、歌いながら表現してWさんを笑わせてくれました。その思いや表現は彼女に伝わったようです。Aリーダーの表現がすごくわかりやすいといってました。手話は表現だそうです。聞こえなくても見えなくても楽しいことはみんなに同じように伝わるんですね。とても楽しい夜でした。
自然は人の小さな悩みや苦しみを静かに包み込んでくれている、そんなことを感じた山行でした。丸木橋を渡るときのEさんの歩み。笑ってはいけないけど、渡辺さんがそれを真似するので二人でうずくまって笑ってしまいました。あとで聞いたらこういう丸木橋を渡るのはEさんは苦手なんだとリーダーが若手のKくんに話していたそうです。Kくんはそれを聞いて、注意してみていたと思います。みんなで助け合いながら無事に完歩できた、そう思います。
わたしたちが2日間楽しく過ごせたのは皆さんのおかげです。甲武信岳、シーハイル(万歳)。最高でした。 記:S.Kさん
甲武信ヶ岳2日間、お世話になりました。 記:S.Wさん |
甲武信ヶ岳山行報告