親子で目指そう富士登山(第4回硫黄岳)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 2名 健常者 10名
平成28年7月23日~24日 硫黄岳 合計 21名 会員外 障害者 0名 健常者 9名
コースタイム:
7/23 美濃戸口(11:25)…美濃戸(12:30-13:00)…赤岳鉱泉(15:20)
7/24 赤岳鉱泉(6:35)…赤岩の頭(8:05-8:30)…硫黄岳(8:50-9:10)…硫黄岳山荘(9:35-10:00)…
   硫黄岳(10:15-10:30)…赤岳鉱泉(12:00-12:30)…美濃戸(13:55-14:05)…美濃戸口(14:50)
天気:
7/23 曇り
7/24 晴れ

☆7月23日

 富士山に向けてステップアップする「親子で目指そう富士登山」の4回目は、いよいよ宿泊を伴う硫黄岳だ。前日まで天気が悪かったが、週末の2日間はまずまずの天気が予報されている。しかし、中央線の車窓から見える山々は、すべて雲に隠れて見えない。今日のところは曇り空の方が、かえって暑くなくて良いかと思う。

 

 美濃戸口から林道を歩く。最近は近道を知らない人が増えたようで、近くにいたパーティーに教えてあげる。美濃戸山荘で昼食タイム。6月から7月上旬にここに来ると、いつも決まった梢でオオルリがさえずっていたので、みんなに見せてあげようと思い、大きな双眼鏡を持ってきたが、今回は時期が遅かったせいでいなかった。

 

 さらに林道を進む。シロバナノヘビイチゴが小さな実を付けている。食べてみると甘いが、何かとろっとしているので、全部は食べなかった。何人かが食べたが、おなかをこわした人はいなかった。

 

 林道終点の堰堤広場に到着。美濃戸口からここまで標高差で約450m。林道とはいえ、かなり上がってきた。ここから赤岳鉱泉までは標高差約300m。ただ沢沿いの山道となる。周囲の苔が美しい。

 

 桟道や沢に架かる橋を何度か渡ると、雲間から大同心の頭が見えた。お坊さんが手を合わせて、拝んでいるように見える。子どもたちは沢で遊んでいる。

 

 沢に挟まれた尾根上のところを登り、さらに樹林帯を登っていくと、赤岳鉱泉に到着する。周囲の山は雲の中で見えない。受付を済ませて小屋に入る。今回が初めての山小屋利用となるので、大人同士の交流もできた。子どもたちはUNOをして遊んでいる。Yさんが子どもたちにつきあって遊んでくれている。いつも子どもたちの相手をしてくれるYさんにはただただ感謝だ。晩ご飯はステーキだった。

 

☆7月24日

 夜半に外に出なかったので、星空が見られたかどうか分からなかった。朝、外に出てみると青空が広がっている。赤岳や阿弥陀岳も見える。今日は絶好の登山日和になりそうだ。

 

 小屋で朝食を摂り、小屋の前で集合写真を撮る。食事もしっかり摂り、みんな元気そうだ。山は早立ちが大切。計画より25分早く出発する。

 

 班分けをしても子どもたちは前に来る。あまり制限せず、前に来ても良いこととして歩いて行く。ジョウゴ沢を渡るといよいよ登りが始まる。鉄の階段を過ぎると、さらに急坂となる。シラビソを中心とした針葉樹林帯をジグザグに登っていく。次第に樹高が低くなってくるとダケカンバが現れる。タカネグンナイフウロなどが咲いている。

 

 草付きをジグザグに登るところで、子どもたちに先に登ってもらい、写真を撮るが、身長の低い子どもたちは顔だけが草の上から出ていた。M君が少し遅れている様子。だが、最後尾を守ってくれるYさんが、一緒に歩いてくれるので安心だ。

 

 森林限界を超え、展望が開ける。赤岳や阿弥陀岳、横岳がよく見える。これから登る硫黄岳も見えていた。尾根に上がると北アルプスの槍穂高連峰も雲の上に見えている。乗鞍岳や御岳、中央アルプスも見える。

 

 みんなで赤岩の頭に上がって展望を楽しむ。朝は見晴らしが良いので、計画より少し早く出発して正解だった。阿弥陀岳のすぐ右手には、北岳、塩見岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈岳が見えていた。Sさんは、北岳に登ってみたいという。子どもから具体的に「○○の山に登りたい」と言われたのは初めてだ。やはり6年間、「子ども山登り教室」に参加し続けた成果だろう。

 

 赤岩の頭を後に、硫黄岳への最後の登りにかかる。岩場も、子どもたちは難なく通過。山頂に着くと、すぐに爆裂火口を見に行く。山の片側が吹き飛ぶほどの大噴火があったことが分かる。河口近くまで行くO君にはらはら。

 

 足下にはヒメコゴメグサやミヤマダイコンソウがたくさん咲いている。山頂で集合写真を撮ってから、硫黄岳山荘のお花畑まで行ってみる。すでに赤岳や横岳は山頂を雲に隠していた。ケルンに沿って下ると、コマクサの群落がある。高山植物のコマクサに会えてラッキーだった。

 

 お花畑は、一番良い時期を過ぎて咲いている花の種類は少なかった。硫黄岳山荘のスタッフの方がビール缶などの空き缶をつぶすところに出くわし、子どもたちは空き缶つぶしを楽しませてもらう。A君は「ストレス解消になった~」という。お母さんは「あなたストレスがあったの?」という。楽しい親子の会話だった。

 

 硫黄岳山頂に戻り、登ってきた道を引き返す。すっかり展望はなくなっていた。子どもたちは順調に下る。先に降りすぎないようにブレーキをかけることが私の仕事。後ろの様子も確認しながら降りるが、今回は大人数のため、トランシーバーを持ってきた。これが大活躍。最後尾のYさんと無線で連絡を取り合い、先頭は早めに下って行く。

 

 赤岳鉱泉で昼食タイム。少し遅れてM君も到着。小屋のカレーライスを食べていたOさん親子に、「おいしそう」と視線が集中。

 

 八ヶ岳山荘で入浴するため、大勢で集中すると順番待ちになるので、先頭グループは先に下ることにする。硫黄岳の下りから頭が痛いと言っていたA君は、まだ痛いという。高山病の影響が出たのだろう。

 

 子どもたちは順調に下る。大人がついて行かれない状況になりつつある。私の役割は、子どもたちをセーブさせること。何度も「待っていろ」と声をかける。

 

 美濃戸山荘で、トマトを食べる。みずみずしくておいしい。キュウリを食べている人もいた。

 

 最後の林道もぐんぐん下る。近道を使うが、あまり短縮にならない近道も使って下る。頭の痛かったA君は、結局先頭で美濃戸口に到着。お疲れ様でした。着いた人から入浴する。ラストを歩いてきたIさん親子やYさんも到着し、お風呂に入る。

 

 汗を流してさっぱりし、八ヶ岳山荘でくつろぎ、茅野駅に向かうバスに乗り込んだ。次は、最後となる富士山だ。子どもたちみんなが元気に山頂に立てることを願いつつまどろみの世界に入っていった。

 

                                                                 記:網干