★6月2日
上高地まで直接入る高速バスの予約が取れなかったため、電車とバスを乗り継いでいく、いつもの方法に切り替えて上高地に入る。好天ではあるが、穂高連峰には雲がかかっている。それでも、大正池はエメラルドグリーンで美しい。暑さとも無縁だ。
まずは大正池の畔で昼食タイムとする。穂高連峰や焼岳がよく見える。ここから田代池に向けて遊歩道を歩く。梓川の支流では、マガモの母親とヒナ10匹ほどが泳いでいる。ヒナの動きが愛らしい。
エゾムラサキやラショウモンカズラがたくさん咲いている。小さなニョイスミレも咲いている。田代池への分岐にある湿原からは、穂高連峰がよく見える。湿原にはレンゲツツジが咲き始めている。足下にはツマトリソウが咲いている。
田代池は、昔と大分様子が変わったようだが、趣があって美しい。池にはヤマメの稚魚が泳いでいた。
田代橋の左岸側にあるトイレで用を済ませ、さらに梓川沿いの遊歩道を歩く。梓川が右に折れ曲がると、荒々しい霞沢岳方面がよく見えるようになる。さらに行き、バスターミナルによる。明日の帰りのバスの整理券を確保する。
河童橋で集合写真を撮り、小梨平に行く。今回はB型ケビンを予約している。風呂に入ってから、夜の部に移る。Sさんが中心になってメニューを考え、食材を準備してきていただいた。焼き肉や多くの野菜などに舌鼓を打ち、明日の早起きに備えて、早めに床につく。
★6月3日
夜半、ホトトギスの声がケビンの中でもよく聞こえた。4時に、Fさんの目覚まし時計の音がしたが、予定の4時30分までもう少し休ませていただく。今朝は、雑炊だ。昨晩、少し飲み過ぎて傷ついた胃腸に優しいことがありがたい。女性陣の配慮に感謝です。
キャンプ場の管理室は、6時前から開いている。山に登る人たちのことを考えて、早くから開けてくれているのだろう。ここでも、思いやりの気持ちに感謝だ。
気持ちよい小梨平を出発して梓川沿いに出る。早朝の日を受けた穂高連峰や焼岳が美しい。梓川の流れの音も心地よい。快晴の穂高連峰を背に、河童橋で再び集合写真を撮る。焼岳の上には月も出ている。
今日は、徳沢までのハイキング。梓川右岸沿いの遊歩道を歩く。カワガラスが梓川に長い時間潜って川底の虫などを食べていたようだ。左岸には荒々しい六百山が佇んでいる。
湿地帯で写真を撮っていた人に、全員での集合写真を撮っていただく。湿地帯を過ぎて樹林帯を歩いていく。周囲の林からは、キビタキの声が何度も聞こえてくる。歩いていると、すぐ近くで声がする。少し探してみたら、キビタキが見つかった。かなり近い場所だったので、みんなが肉眼で見つけられたようだ。
次に現れたのはウグイス。キビタキのようなきれいな姿をしていないが、声は美しい。さらにコマドリまで姿を見せてくれた。
日本三鳴鳥とは、ウグイス、オオルリ、コマドリのことを言う。あとオオルリが姿を見せてくれたら、三鳴鳥が勢揃いなのだが。オオルリの声はよく聞こえている。
湿原が現れると、こんもりとした枯れ草の上に草が茂っている面白い現象が見られた。谷地坊主と呼ぶらしい。そこから少し行くと明神池への分岐だった。今回は、拝観料を払って明神池を見ることとする。
神聖な池の奥の方にオシドリが見えた。しかし、あまりにも遠すぎる。池には、岩魚が泳いでいた。
明神池から出て、明神橋を渡る。コナシは、満開の花を付けている。秋には、サクランボのようなきれいな実がぶら下がることだろう。何十回も来ている上高地だが、この季節に来ることが少ないので、コナシの花を見ることが少なかった。
徳本峠への分岐を過ぎ、梓川の左岸沿いに林道を歩く。林道横の斜面でアズマシャクナゲが咲いていた。コイワカガミやコミヤバカタバミも咲いている。普段歩いている季節と違うので、新しい自然との出会いも多い。
サンカヨウやシロバナエンレイソウ、それにオドリコソウも咲いていた。林道の横では、キジバトが翼を広げて虫干しをしている。ニリンソウが増えてきて、ベニバナイチヤクソウも咲いている。
程なく徳沢に到着する。木々の上には、小説「氷壁」の舞台になった前穂東壁が見える。足下にはニリンソウの群生地がある。ここで昼食タイムとする。
のんびり休憩して、引き返す。今度は蝶の写真を撮ることができた。面白いもようの蝶はサカハチチョウだった。スジグロシロチョウも舞っていた。
近くの梢でオオルリの声が聞こえる。100万円以上のレンズを付けたカメラを持っている男性とオオルリを見つける。歩いていた人に教えるが、手前の木の枝の隙間の向こうにある木の枝に止っているので、見つけることができなかった。しかし、これで日本三鳴鳥の姿を写真に収めることがで来た。再び、キビタキやコマドリも見つけることができた。特にコマドリは、5mくらいの近さでいきなり、ヒンカララとさえずってくれた。
来るときには気づかなかったノビネチドリにも出会えた。ノビネチドリとの出合は初めてだ。小梨平で、女性陣は預けていた荷物を受け取る。河童橋周辺より、キャンプ場の食堂が空いているので、ここで食事を取る。
河童橋からは、スッキリと晴れ上がった空の下で、残雪を抱いた穂高連峰がくっきりと見えていた。若い頃、育ててもらった穂高に、感謝しながら上高地を後にした。
記:網干 |