週間天気予報は、週末があまり良くなかったが、登山の日が近づくにつれてよい予報に変わってきた。そして、当日はすばらしい天気に恵まれた。新幹線の車窓からは富士山がよく見え、小海線の佐久平駅のホームからは北アルプスの槍穂高連峰がよく見えた。八ヶ岳はまだ雲に隠れていた。
小海駅で電車を降り、ジャンボタクシーに乗り込む。今日は100kmウルトラマラソンだったようで、道路をランナーが走っていた。今朝5時に野辺山をスタートしたらしい。みんなとてもがんばっている。
私たちは、途中からマラソンコースから別れ、栗生登山口へと向かっていく。バスの終点からさらに林道を走って、登山口まで行ってもらう。これで30分程度時間を稼げた。
登山口では、梢でオオルリがきれいな声でさえずっている。登山口からは沢に沿って登っていく。時々沢から離れるが、ほぼ沢通し。しかし、沢は時々水の流れが見えないところもある。
しばらく登ると、不動の滝に到着する。水量は少ないが、日差しを受けて水流や岩がまぶしい。滝のそばにはハシリドコロがまだ咲いていた。ジュウイチの声やヒガラ、キクイタダキ、ミソサザイ等の歌声を聞き、時折アカゲラかアオゲラの声もする。
滝から少し登ると、少し展望のあるところに出る。天狗山とその向こうに奥秩父方面の山が見えていた。
登っていくとミツバツツジがきれいに咲いているところに出た。この付近は、急坂をジグザグに登っている。倒木をくぐり抜けるところもある。ここをぐんぐん登っていくと、岩に人が怒っているような顔をペンキで描いた所に出る。誰かの落書きだろうか。
さらに登り、山頂まで500mの標識を過ぎ、岩を回り込むように進むと、鎖場に到着した。木の根っこが多く、恰好のホールドに恵まれている。鎖は3本ほど続き、その上は展望のよい場所となる。そこからもう少し鎖のある岩場を登っていく。
鎖場を過ぎてさらに登ると、山頂手前の小ピークに出る。ここからは一旦下り、痩せている尾根を行くことになる。これから向かう山頂が見えるところもあった。こちら側がすっぱり切れ落ちた岩の山頂だ。迫力がある。
さらに鎖場を下り、最後の山頂への上りにかかる。登り始めるとシャクナゲが現れてきた。少しだけ咲いている花もあった。足下にはイワカガミも咲いている。八ヶ岳もよく見えるようになってきた。
そして、山頂の一角となる最後の岩尾根に出る。ここは、岩壁側に落ちたら一巻の終わりなので、慎重に行動する。視覚障害者の人たちのサポートも、みんながしっかり行ってくれる。
昼食場所にするところを決め、そこにザックを置いていく。細い岩の尾根を慎重に歩いて山頂に到着した。山頂は、八ヶ岳はもちろん、その右手に北アルプスが見える。さらに右には妙高の山々、湯ノ丸山から浅間山方面、そして上越の山も見え、近くには両神山も見える。八ヶ岳の左側には、甲斐駒ヶ岳や北岳が見える。さらに奥秩父は、端牆山から金峰山、国師ヶ岳、甲武信ヶ岳まで見えている。好天に恵まれ、すばらしい展望だ。みんなからは、新幹線を使っても来る価値のある山だったとの声が聞こえてくる。計画してよかったと思う。
山頂には、缶ビールを10本近く飲んでいる人がいた。いつもこうだと言うが、安全な登山道ではないので心配だ。
山頂で50分ほど休み、下山にかかる。下山は岩場の下りが多いので、慎重に下る。痩せた尾根を通過し、小ピークを越え、鎖場も無事に通過。予約したタクシーの時間には余裕があると思ったが、登山口に着いたのは予約時間の5分前だった。ジャンボタクシーに乗って小海駅に向かう。車道では、まだウルトラマラソンのランナーが歩いている。救護班の車も走り、その後はランナーがいなかったので、最終ランナーだったのだろう。かなり大勢のランナーが歩いていた。
すばらしい展望を楽しみ、帰りも少しリッチに新幹線で帰らせてもらった。
記:網干 |