☆2月9日
今日は、関東で雪が降る予報だ。自宅を出る5時頃は、すでに細かな雪が舞っていた。八ヶ岳周辺は、日中の時間に数時間降る予報となっている。気温は、この冬で最も低くなりそうな予報だ。雨より雪の方が助かるが、視界が悪いと思われるので、気をつけて行こうと思う。
計画では、白樺高原国際スキー場から山頂を目指す予定だったが、スズラン峠駐車場からのコースの方が、今は一般的でトレースも多いようなので、急遽計画を変更して、スズラン峠側の蓼科山登山口から登ることにする。ただ、こちらは登りはじめの標高が低く、急坂が続く体力を必要とするコースだ。ただラッセルが続くよりは楽なので、変更したコースを上ってみる。
茅野駅からタクシーで登山口に向かう。蓼科温泉付近まではほとんど雪がなかった。雪の多い場所ではないが、この時期に全くないのもめずらしい。
女乃神茶屋前の登山口を登っていく。登山道に土の出ているところがあるくらい、積雪は少ない。まだ雪は降っていないが、すでに雲の中に入っていて、視界は20メートルほどだ。
順調に登り、2,113mの小ピークに着く。ここで昼食タイムとする。登山口の駐車場には十数台の車が止っていたので、かなりの人数が登っていると思っていたが、それほど多くはないようだ。自家用車の人たちは、登山開始の時間が早いため、私たちが出会う人は、みんな下山の人たちだ。
休憩場所からしばらく緩やかなアップダウンとなるが、いよいよ急坂が始まる。積雪も増えてきたので、視覚障害者のFさんたちは歩きやすいようだ。ただ、Iさんが遅れ始めた。
Iさんは、70代とは思えない体力の持ち主で、いつもみんなのサポートをしてくださっている。立ち止まって待つのは、プライドを傷つけるのではないかと思い、追いつくまでゆっくり登っていく。追いついたところで、少しペースを戻したが、Iさんにはそれがきつかったようで、追いついたところで少し立ち休憩をするべきだったと反省した。
Iさんは、調子が出ないので、途中で待っているという。寒いからゆっくりで良いから登ってきてくださいと言うが、途中で私たちと別れる。
Fさん夫妻は、日頃からランニングをしていることもあり、体力がある。急坂をしっかりと登っている。すでに雪は降り始めており、この標高まで登ってくると、樹氷も見られるようになる。上から下りてきた人が、上はものすごい強風なので、ゴーグルが必要だというが、私はゴーグルを使ったことがなく、今日も持ってきていない。吹雪くと曇って見えなくなるので、結局ゴーグルは外すことになるため、若い頃に2回ほど使っただけで、その後は全く使っていない。
樹林帯を終えると、岩場となる。ここからは、やはり強い風が吹き付けるようになるが、この程度の風は冬山なら普通の風、というより少し弱い風のようにも思われる。
しかし、岩と雪のミックスなので、慎重に登っていく。岩場には鎖も付けられている。やや右寄りにトラバースしていくと蓼科山頂ヒュッテに到着した。山頂標識は、そこから10mほどの所にある。無事に山頂に到着できた。
山頂は風が強く、霧に包まれていて、展望は全くないので、写真だけ撮ってすぐに下山にかかる。岩場の箇所は特に慎重に下る。Fさん夫妻は、強風を正面から受けるため、まつげが凍り付いて、おじいさん、おばあさん状態になっている。
樹林帯に入ると風は非常に弱くなる。急坂だが、アイゼンが小気味良く決まり、快適に下れる。登りに1時間40分かかった2,113mまでは50分で下れた。ここでタクシー会社に電話して、約1時間後に迎えに来てもらうことにする。
Iさんが寒い思いをして待っているだろうと思い、急いで下る。一度だけ、夫のFさんが、足を途中の岩に下ろして、転倒したが、それ以外は順調に下っていく。
登山口に下りたとき、Iさんが女乃神茶屋から歩いてきて、合流できた。タスシーも、少し早めに来てくれて、予定よりかなり速い電車で松本に向かうことができた。
松本では、私が財布をなくしたと思い、大騒ぎになり、みなさんや警察の方などに迷惑をおかけしてしまったが、ポケットに財布があった。もう認知症が始まってきたのかも知れない。
☆2月10日
松本バスターミナル発高山行きのバスは、7時50分発。ホテルでゆっくり朝食を摂ってから出発する。
今日は、好天の予報だが、北アルプス方面は低い雲に覆われていて、山は全く見えない。新島々の手前までかなりの雪が降っていた。今日は、降る雪の中を歩くことになるかなと思っていたが、途中から青空が広がってきた。
山に近づくと再び雲が広がるようになっていた。中の湯でバスを降り、釜トンネルの中を歩く。トンネル内は、11度の傾斜がある登りだ。釜トンネルを抜けるとすぐに上高地トンネルが始まる。ここも、途中から登り坂になっている。
上高地トンネルを出たところで休憩する。多くの人が歩いていて、氷っていないので、アイゼンは付けないことにする。IさんとNさんは、スノーシューを付けたが、途中で外した。
太兵衛平のカーブを回り込むと穂高連峰が見えるはずだが、今日は下の方まで雲に包まれて見えない。道を下っていくと大正池の取水口に着く。一部氷っているが、上流側は氷っていないようだ。
大正池ホテルの裏側で休憩する。昨年6月のキャンプできたときもここで休憩した。当然、今回は一面、雪の世界だ。
ここから、車道沿いに行くつもりだったが、遊歩道を多くの人たちが歩いていて、つぼ足でも全く潜らないため、遊歩道を歩くことにする。
今日は、日が差したり、雪が舞ったりを繰り返す天気だ。山の稜線は吹雪いていると思うが、上高地はほとんど風はない。気持ちよく歩ける。積雪は1mほどだろうか、地面の様々なものを隠し、一年の雪原になっている。冬の上高地でなければ味わえない、純白の雪原を楽しみながら歩く。梓川は氷ることなく、夏と同じように流れている。その畔を歩いて行く。
雪原をスノーシューで歩く人もいる。見上げると、六百山と霞沢岳につながる稜線も見えてきた。穂高方面も見えるときがあるのではないかと、歩きながら何度も見上げる。一瞬だけ、ジャンダルムが見えるときがあった。
なんとか、河童橋まで行って、昼食にしようと思ったが、バスターミナルのベンチでお昼にしたいという意見があったので、そこで昼食とする。カップラーメンを食べた後、河童橋に行きたいという夫のFさんと二人で河童橋に向かう。妻のFさんは、トイレの順番待ちで遅くなってしまったようだ。
河童橋で、写真だけ撮ってすぐに戻る。妻のFさんとKさんも戻っていた。中の湯15時発のバスに遅れたら困るので、急いで戻ることにする。
時間を気にしつつも、穂高が姿を現してくれないか、何度も振り返り、振り返り歩いて行く。みんなから少し遅れて歩いていると、田代橋の下の梓川にカワガラス発見。雪の表面の結晶をマクロレンズで写真に収めたり、田代池の写真を撮ったりしながら、ストックで漕ぐようにして急ぎ足でみんなに追いつく。
上高地トンネルを出たところで、焼岳が姿を現してくれた。釜トンネルを歩いていると、妻のFさんが、路肩に足を取られて転倒したようだ。額の左側をぶつけてしまい、雪で冷やしながら歩いていた。
中の湯からバスに乗ると、吸い込まれるように爆睡してしまった。白銀の穂高連峰は見えなかったけど、雪の上高地を楽しむことができました。みなさま、お疲れ様でした。
記:網干
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