鈴鹿山脈(御在所岳、鎌ヶ岳、藤原岳)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 1名 健常者 4名
平成24年3月10日~12日 鈴鹿山脈(御在所岳、鎌ヶ岳、藤原岳) 合計 5名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
3/10 三交湯の山温泉(12:15)…藤内小屋(13:45)
3/11 藤内小屋(7:30)…藤内壁出合(8:10-8:30)…国見峠(9:30-9:50)…御在所岳(10:40-11:00)
   …武平峠(12:15-12:40)…鎌ヶ岳(13:50-14:00)…武平峠(15:20-15:30)…
   三交湯の山温泉バス停(17:00)
3/12 西藤原駅(8:10)…五合目(9:30-9:35)…標高960m(11:20-11:30)…西藤原駅(14:05)
天気:
3/10 曇り、
3/11 晴れ後雪、
3/12 雪

★3月10日
 夜行バスで名古屋駅に着き、Uさんと合流する。四日市に向かう予定の電車まで時間があるので、私はなつかしい人たちに会う時間をいただく。

 

 新幹線で来たKさんと合流し、名古屋駅を後に、湯の山温泉に向かう。桑名の伊勢朝日駅付近で、かつて住んでいた寮を探そうとしたが、様子もかなり変わっていたようで、見つけることができなかった。

 

 三交湯の山温泉バス停で昼食を取るが、風があり寒くて、ゆっくりできなかった。名古屋周辺の東海道を歩いてきたMさんと合流し、私のかつての山仲間だったMuさんとFさんとも合流して、藤内小屋に向けて出発する。

 

 Fさんたちと昔話をしながら、Muさんの先導で歩いていく。北谷に入って、少ししたところに滝があり、そこを巻くように左側に進むが、ここが岩のバンド状になっていて、一部狭いところがあり、ここの通過が一番厳しい箇所だった。MuさんやFさんの助けを借り、無事に通過することができた。

 

 そこを過ぎると、左から来る林道に出会う。それ以降は、丸太の橋が何ヶ所かあったが、それほど危険なところはなく、午後2時前に藤内小屋に着いた。

 

 藤内小屋は、3年ほど前の上流の沢からの大規模な崩落で、後の小屋が壊れ、全く使えない状態になり、本館の小屋も、小屋ごと前に数十センチ押し出されたらしい。しかし、小屋の女将さんがとても良い感じの方で、気持ちよく迎えてくださった。別館は、私たちだけの泊まりなので、自由に使って良いという。あの頃にタイムスリップしたようだねという感覚で、なつかしい話しに花が咲き、ついアルコールメーターがオーバーしてしまい、夕食の後はすぐに眠りについてしまったようだ。

 

★3月11日
 夜半に起きると、月が煌々と照っていて、ヘッドランプを使う必要がなく、自分の頭だけで十分だった。四日市の夜景もすばらしい。

 

 朝、仕事があるMuさんが6時前に出発したので、それを見送る。久しぶりの御在所なので、藤内壁をよく見ておこうと遠くの壁を見上げるMuさんが印象的だった。

 

 朝食後は、自由に飲んで良いというコーヒーをいただき、リッチな気分で小屋を出発する。小屋の女将さんが、ここから少し上までが、26年前と最も変わったところだよと教えてくれる。午後から仕事のFさんは、行けるところまで一緒に行ってくれるという。

 

 樹林帯の中だった登山道は大きく変わり、見晴が良くなっている。オーバーハングした大きな石を見て、名クライマーのFさんは、血が騒いだようで、岩に近づきルートを確認している。

 

 スズメバチに10匹刺されたなつかしい兎の耳の岩塔は、今も健在だ。27年ほど前、人工登攀ばかりしていないで、ハードなフリークライミングに目覚めよという意味で命名された「ウェイクアップ」というルートを目で追う。短パンで登ったなつかしいルートだ。

 

 登山道は、兎の耳を過ぎたところから、岩場を上がるため、鎖が付けられている。ここも新しいコースになったようだ。水場を過ぎ、さらに登ったところにある藤内壁出合で休憩する。昔、一晩過ごした岩小屋のような岩も健在だった。休憩中にFさんと二人で藤内壁のテスト岩まで行ってみる。ところどころ凍っていて、注意が必要だった。

 

 一の壁がよく見え、宇宙遊泳と名付けられたルートを持つ一の壁フランケも当時と変わらない姿だった。中尾根バットレスもよく見え、藤内滝にはもう水が流れていた。前尾根P7の取り付きも良く分かり、ただただなつかしい想いでいっぱいだった。

 

 藤内壁の出合まで戻り、Fさんとお別れする。またいつか会える日を期待して、Fさんと分かれて登りはじめる。

 

 ここから先は、昔と変わらない道のようだ。登るにつれて雪が現れ始めた。そして、上の方には樹氷の木々が見えてきて、期待が高まる。ところどころに美しいつららがある。

 

 登っていくと、樹氷の中に入り始める。さらに登ると、国見峠に到着する。この付近も一面の樹氷の中で、逆光にキラキラ輝き、とにかく美しい。御在所岳の山頂方面も見えている。

 

 この世のものと思えないほど美しい樹氷の中を緩やかに登っていく。車道に出ると、そこは山上公園だ。近くの国見岳から釈迦ヶ岳、竜ヶ岳、そして明日登る予定の藤原岳も見えている。今日は、天気が良く、すばらしい展望だ。

 

 山上のスキー場は、樹氷が満開の桜のように見える。人工降雪の雪が多いと思うが、昨年よりかなり多いらしい。車道を歩いていくと、鎌ヶ岳も見えてきた。ピラミダルな山容は、鈴鹿の槍ヶ岳といわれるようだ。

 

 御在所岳の山頂に到着し、集合写真を撮る。雨乞岳がよく見え、展望もすばらしいが、周囲の樹氷はさらにすばらしい。望湖台と呼ばれるピークに行くと、さらに雨乞岳がよく見える。琵琶湖は、わずかに見えていたようだ。その向こうに見える白い山は、比良山地だったのではないだろうか?

 

 御在所岳の次は武平峠に下り、鎌ヶ岳を目指す。雪が多いため、スパッツを付ける。一部、分かりにくい箇所があったが、どんどん下り、12時過ぎに武平峠に到着する。

 

 Mさんは、ここで待っているというので、4人で鎌ヶ岳を目指して登りはじめる。雪の壁のようなところがあったり、岩場もあって、やはり鈴鹿の槍ヶ岳と呼ばれるだけのことはある。ふり返ると御在所岳がよく見えていたが、天気は悪化してきているようだ。

 

 最後のがれ場まじりの岩場を登ると、鎌ヶ岳の山頂に飛び出した。空はどんより曇ってきて、かなり寒い。写真を撮り、下りに備えて、ロープを繋ぎあう。鎖やロープを頼りに慎重に下っていく。山頂直下の難所を過ぎると、取りあえず一安心だ。その後の岩場なども無事に通過し、Mさんの待つ武平峠に到着する。Kさんは、入会当初は下りが苦手だったが、今回は本当に上達したなと感じた。

 

 武平峠から鈴鹿スカイラインに下り、しばらく登山道を歩いたが、途中から車道を歩くことにする。通行止めとなっているので、車の心配をしなくてすむので、コーナーリングも最短コースを取る。

 

 一箇所だけ道を間違いそうになったが、引き返して湯の山温泉に向かう。車道に出た頃からちらちら降り始めた雪は、湯の山温泉では、雨に変わっていた。バス停に着くと、最終バスが終わっていたが、名古屋までの直行バスがあり、湯の山温泉駅まで乗せてもらえないかお願いしたら、保養所前までなら乗せられるということだったので、そのバスに乗せてもらって保養所前から湯の山温泉駅まで歩く。

 

 電車で四日市まで行き、食事をしてホテルで泊まる。この頃には、雨は本降りになっていた。

 

★3月12日
 翌朝は、雪で空けた。天気予報は、朝方は雪で、午後から晴れることになっているので、早めに回復することを期待して電車で西藤原駅に向かう。電車の中から見える景色はすっかり雪景色となり、本降りの雪となっている。時折雪が止むので期待するが、すぐに本降りとなる。そんな繰り返しの天気だ。

 

 SLが止まっている西藤原駅から歩きはじめる。神武神社から登山道に入り、順調に登っていく。標識は2合目からあり、順調に登っていることが分かる。天気も次第に良くなり、青空が広がって、良い天気になってきた。ただ、山頂方面は雲に被われている。

 

 良い天気になったと思ったら、また吹雪のようになる繰り返しが続く。しかし、登るほど、天気は悪くなり、雪も多くなってきた。昨晩から30センチ近く積もったのだろうか? 10日ほど前に福寿草を見つけたという報告をインターネットで見たが、今日は全てが積雪に被われている。完全に冬山に逆戻りだ。

 

 9合目を過ぎ、藤原山荘までもう少しだったが、天気も悪く、疲れた人も出てきたので、引き返すことにする。下りが苦手な人には軽アイゼンを付けてもらい、下りはじめる。

 

 時折晴れ間が見えて日が差すと、木の枝に付いた雪が花のように美しい。しかし、晴れたと思うとまた雪が降り出すことの繰り返し。それでも、順調に神武神社の下にある休憩所に到着する。ここで、靴を洗い、トイレを済ませる。

 

 予定よりかなり早く西藤原駅に着いたので、帰りの時間に余裕ができた。みんなで名古屋駅できしめんを食べて帰路に就く。三重県側は雪だったが、名古屋はよい天気だった。

 

 期待したフクジュソウやセツブンソウは、雪に埋もれてしまって全く見られなかったが、御在所岳で見た樹氷はすばらしい美しさで私たちを迎えてくれた。私にとっては、26年ぶりの鈴鹿の山と山仲間、みなさんのおかげで、すばらしい想い出がまた一つ増えました。お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

 

                                                                 記:網干